今年のベルリン国際映画祭で最優秀新人作品賞を受賞した熊坂出監督。都会のラブホテルの屋上にある小さな公園……そんな不思議な舞台で繰り広げられる空中庭園ドラマ『パーク アンド ラブホテル』は、一体どんな場所で生まれたのか?
滅私奉公という点では、どんな仕事も同じ

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「この場所は、人とやり取りをする仕事上の大事な拠点ですが、僕の創作の拠点はファミレスかもしれません(笑)。企画書を書く時等、ここや自宅よりもはるかに捗ります。特に家には様々な“引っかかり“があるから仕事できないんです。猫もいるし漫画もあるし(笑)。図書館だと、眠ることが公認されている気がして、とっても自分勝手な意見ですが、とにかくダメなんです。ファミレスはうるさかったり隣の席の人の会話が面白くて聞いちゃったりしますが、何故か作業が捗ります。『パーク~』の絵コンテも全部ファミレスで描きました。都内のいろんなファミレスに行きました」

こっちにもカーソルを☆
「『パーク~』の脚本を練る1年間の中で “自分は一体何者なのか”と中学生みたいに(笑)、変な悩み方をした時期がありました。そういう考えに決別した時期と、主人公を59歳の艶子でいこうと決めた時期は重なっています。それ以降、映画に限らずテレビでもVPでも何でも、人様に何かを差し出していくという点、滅私奉公という点では、どんな仕事も同じだと思うようになりました」
映画には、作り手がどれだけ無知か出てしまうものだから

ガムテープを使ったペン刺しは、ハンドメイド!
子どもの頃から漠然と抱いていたという映画監督への憧れは、グラフィックデザイナーとしてムービー制作に携わっていた、25歳の時の作品『影を切る男』で初めて映画として実を結んだ。『影~』も『パーク~』も、テーマよりまず先に具体的なイメージが浮かんでくるのだとか。本作の場合は「ラブホテルの屋上は水子が天に登っていく出発点なのか」というユニークな発想から生まれた屋上公園だった。
「たとえば塚本晋也監督の『BULLET BALLET バレット・バレエ』は東京が舞台ですが、都市としての抽象感を立たせることで、観客の想像を多分に促す作品世界になっていると思うのです。そういう風に抽象化することとか、映画を開かすといったことについては、意識するようにしています。例えば今回、その方法論の一つとして色味を工夫しました。コントラストを強くしたりシーンによっては緑がかった色味にしたり。艶子が大きな誤解をしてしまう、美香と一緒に眠るシーンは、真暗闇から薄暗闇に変化させています。目が暗闇に慣れてくるみたいに。人物の肌の見え方と布団の見え方のバランスを取るために、灰色のシーツに取り替えて撮影しました。そういうふうに観客の方々の解釈や想像を促すための工夫は凝らします。何にせよ、映画は、作り手がどれだけ考え切ったか、逆に言えばどれだけ無知かという事が出てしまうものだから、がんばって勉強してしっかりとしたものを作っていきたいです」
「たとえば塚本晋也監督の『BULLET BALLET バレット・バレエ』は東京が舞台ですが、都市としての抽象感を立たせることで、観客の想像を多分に促す作品世界になっていると思うのです。そういう風に抽象化することとか、映画を開かすといったことについては、意識するようにしています。例えば今回、その方法論の一つとして色味を工夫しました。コントラストを強くしたりシーンによっては緑がかった色味にしたり。艶子が大きな誤解をしてしまう、美香と一緒に眠るシーンは、真暗闇から薄暗闇に変化させています。目が暗闇に慣れてくるみたいに。人物の肌の見え方と布団の見え方のバランスを取るために、灰色のシーツに取り替えて撮影しました。そういうふうに観客の方々の解釈や想像を促すための工夫は凝らします。何にせよ、映画は、作り手がどれだけ考え切ったか、逆に言えばどれだけ無知かという事が出てしまうものだから、がんばって勉強してしっかりとしたものを作っていきたいです」
老成とナイーブのアンビバレンス
本作での女性たちの描き方に感じた老成さとはまったく異なる、少年のようなナイーブな発言! そのアンビバレンスが興味深い。
「これからもその時々に応じて、主人公は男の人だったり女の人だったりするんでしょうけど、生きていく上での強さというか根本というか、そうしたものを描く時には女の人になる気がします。男も女も女から生まれてくるし、精神的にも肉体的にも圧倒的に女の人の方が強いと思います。男って、自分の体内に自分とは別の命を宿すポテンシャルがないから足掻くのかもしれません。だから何か作ろうとするのかもしれません、女になるために。そういえば女の子って生理を境目に女になっていくものだと思いますが、男の子はいつまで経っても男の子というか(笑)」
現在は、23歳くらいの女の子と60歳後半のおじいさんの、2本の脚本を執筆中とのこと。「映画監督はなりたいと思ってなるものではなく、まず作りたいものありき」という熱い言葉を裏打ちするような、アンビシャスなエナジー! 次作を、世界の観客が待っている。
「これからもその時々に応じて、主人公は男の人だったり女の人だったりするんでしょうけど、生きていく上での強さというか根本というか、そうしたものを描く時には女の人になる気がします。男も女も女から生まれてくるし、精神的にも肉体的にも圧倒的に女の人の方が強いと思います。男って、自分の体内に自分とは別の命を宿すポテンシャルがないから足掻くのかもしれません。だから何か作ろうとするのかもしれません、女になるために。そういえば女の子って生理を境目に女になっていくものだと思いますが、男の子はいつまで経っても男の子というか(笑)」
現在は、23歳くらいの女の子と60歳後半のおじいさんの、2本の脚本を執筆中とのこと。「映画監督はなりたいと思ってなるものではなく、まず作りたいものありき」という熱い言葉を裏打ちするような、アンビシャスなエナジー! 次作を、世界の観客が待っている。
●熊坂出
1975年3月17日、埼玉県出身。1998年立教大学文学部卒業後、グラフィックデザイナーに。2002年より(株)テレビマンユニオンにて、PV、テレビ番組のタイトルバックなど、多くの映像制作に助監督として携わる。2004年自主映画『珈琲とミルク』がぴあフィルムフェスティバル/PFFアワード2005で審査員特別賞、企画賞、クリエイティブ賞をトリプル受賞。2008年ベルリン国際映画祭最優秀新人作品賞を受賞した『パーク アンド ラブホテル』は、PFFスカラシップ挑戦権を受け、企画コンペで選定され、製作された。
1975年3月17日、埼玉県出身。1998年立教大学文学部卒業後、グラフィックデザイナーに。2002年より(株)テレビマンユニオンにて、PV、テレビ番組のタイトルバックなど、多くの映像制作に助監督として携わる。2004年自主映画『珈琲とミルク』がぴあフィルムフェスティバル/PFFアワード2005で審査員特別賞、企画賞、クリエイティブ賞をトリプル受賞。2008年ベルリン国際映画祭最優秀新人作品賞を受賞した『パーク アンド ラブホテル』は、PFFスカラシップ挑戦権を受け、企画コンペで選定され、製作された。

(c)PFFパートナーズ
『パーク アンド ラブホテル』
●ラブホテルの屋上を公園にしているオーナーの艶子(りりィ)を主人公に、心に傷を負った3人の女性たちとの関わりを綴った、空中庭園ヒューマンドラマ。
●2007年/日本/カラー/35ミリ/111分/1:1.85ビスタ/モノラル/4月26日より日本公開開始
●配給/マジックアワー
photographs by Nobuyuki Kobayashi
text by Kana Ishimura(Variety Japan Tokyo)
●ラブホテルの屋上を公園にしているオーナーの艶子(りりィ)を主人公に、心に傷を負った3人の女性たちとの関わりを綴った、空中庭園ヒューマンドラマ。
●2007年/日本/カラー/35ミリ/111分/1:1.85ビスタ/モノラル/4月26日より日本公開開始
●配給/マジックアワー
photographs by Nobuyuki Kobayashi
text by Kana Ishimura(Variety Japan Tokyo)
























