
ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
子供のような傲慢さを露呈するスピッツァーやペリカーノ
10代の若者は往々にして不滅を信じているものだ。嘘だと思ったら聞いてみるといい。悪いことは自分たちにではなく、大人だけに起こると思っている。
若者たちがそう思うのはよく理解できる。だが、立派な大人が——特に、会社の社長や弁護士といった特権階級の大人が——同じような言動をとると、あきれ果てる。ここのところ注目を浴びている事件の中に、若者の様に無鉄砲で、全くもって愚かな大人を何人か目にする。いや、むしろ傲慢と言った方がいいか。
大の大人たちが、怪しいクールエイド(注:子供用の粉ジュース)などを飲んでいるから、ベアー・スターンズほどの巨大投資銀行を転覆させてしまうことになる。何度も言うが、 “大人たち”とは、まさしく最高経営責任者たちといった権威のある大人たちのことを指しているのだ。彼らは会社がどんどんダメになっていっている時にも、自分たちに年俸を200億円から300億円ほども出していた(カントリーワイド社の最高経営責任者アンジェロ・モジロしかり)。それに、エリオット・スピッツァーに対しては、売春婦には現金で支払って州外に留めておくべきだと、たとえティーンエイジャーでさえ教示してあげられただろうに。
また、IACという会社を大株主のジョン・マローンに相談もせずに解散させると決めてしまったのも、ちゃんとした大人のバリー・ディラーだ(その前年には会社の株が44%も落ち込み、すでにマローンはカンカンになっていた)。
若者たちがそう思うのはよく理解できる。だが、立派な大人が——特に、会社の社長や弁護士といった特権階級の大人が——同じような言動をとると、あきれ果てる。ここのところ注目を浴びている事件の中に、若者の様に無鉄砲で、全くもって愚かな大人を何人か目にする。いや、むしろ傲慢と言った方がいいか。
大の大人たちが、怪しいクールエイド(注:子供用の粉ジュース)などを飲んでいるから、ベアー・スターンズほどの巨大投資銀行を転覆させてしまうことになる。何度も言うが、 “大人たち”とは、まさしく最高経営責任者たちといった権威のある大人たちのことを指しているのだ。彼らは会社がどんどんダメになっていっている時にも、自分たちに年俸を200億円から300億円ほども出していた(カントリーワイド社の最高経営責任者アンジェロ・モジロしかり)。それに、エリオット・スピッツァーに対しては、売春婦には現金で支払って州外に留めておくべきだと、たとえティーンエイジャーでさえ教示してあげられただろうに。
また、IACという会社を大株主のジョン・マローンに相談もせずに解散させると決めてしまったのも、ちゃんとした大人のバリー・ディラーだ(その前年には会社の株が44%も落ち込み、すでにマローンはカンカンになっていた)。

アンソニー・ペリカーノ
アンソニー・ペリカーノは、毎日ティーンエイジャーの様にふてぶてしい態度で法廷に臨んでいる。著名人や成功者たちは明らかに、自分たちのような成功者は、プロの盗聴者を雇っても法的に裁かれないと勘違いしていたらしい。彼らの表向きの立ち位置は、ペリカーノは腕のいい私立探偵で、慎重な調査を基に泥を掻き出すことが出来ると思っていた、というものである。
私はアンソニー・ペリカーノに会ったことがあるが、彼が腕がよくて慎重だ、というようなことを私に告げる輩は、ベアー・スターンズに追いやられてしまえばいい。
この裁判自体は退屈でぎこちないものだ。しかし、一見したところ、こんな特徴がある。会社重役は、ライバルを必死で蹴落とすためにどんな手段も厭わない。弁護士たちも勝つために必死になっていて、必要とあらば、どんな法的近道をも利用する。
繰り返すが、こういった人々は皆、スピッツァーのように、自分たちは不滅だと思っているのだ。まるでボーっとしたティーンエイジャーのように、自分のやったことのしっぺ返しが来ることなど考えてもみない。
しかし、実際、評判は落ちていく。世間は、多くの権力者たちが、賢明さではなく脅迫でのし上がったのだと気づくことになる。ペリカーノを雇うということは、弁護士たちが陰湿なやり方を選んだと発表したも同じ。さあ、道を開けろ、と。
以上のようなことを見ていると、基本的な疑問が湧いてくる——なぜ、こんなにもたくさんの著名人たちが、大きな代償を払うことがわかっていながら、こんなに大変なリスクを背負うのだろうか?
ティーンエイジャーたちなら、天真爛漫に弁解することが出来るだろう。 “大人って、権力を振りかざすものでしょ”、と。
数年前、友人であるピーター・グーバーと私に、数日違いで、それぞれスタジオの上級職の依頼が来た。グーバーは私に電話をかけてきて、おめでとうと言う代わりに忠告をした。「互いに、ただオフィスを間借りしているだけだと思っておくことにしよう。我々がオフィスを所有しているのではなく」と、彼は宣言した。グーバー語を訳すと、こうだ。彼は私にも自分にも、我々の脆弱性を言い聞かせていたのである。
滅ぶことなどないと信じているのは愚か者のみ。だが、重要人物の多くが、この妄想を信じているようなのである。
私はアンソニー・ペリカーノに会ったことがあるが、彼が腕がよくて慎重だ、というようなことを私に告げる輩は、ベアー・スターンズに追いやられてしまえばいい。
この裁判自体は退屈でぎこちないものだ。しかし、一見したところ、こんな特徴がある。会社重役は、ライバルを必死で蹴落とすためにどんな手段も厭わない。弁護士たちも勝つために必死になっていて、必要とあらば、どんな法的近道をも利用する。
繰り返すが、こういった人々は皆、スピッツァーのように、自分たちは不滅だと思っているのだ。まるでボーっとしたティーンエイジャーのように、自分のやったことのしっぺ返しが来ることなど考えてもみない。
しかし、実際、評判は落ちていく。世間は、多くの権力者たちが、賢明さではなく脅迫でのし上がったのだと気づくことになる。ペリカーノを雇うということは、弁護士たちが陰湿なやり方を選んだと発表したも同じ。さあ、道を開けろ、と。
以上のようなことを見ていると、基本的な疑問が湧いてくる——なぜ、こんなにもたくさんの著名人たちが、大きな代償を払うことがわかっていながら、こんなに大変なリスクを背負うのだろうか?
ティーンエイジャーたちなら、天真爛漫に弁解することが出来るだろう。 “大人って、権力を振りかざすものでしょ”、と。
数年前、友人であるピーター・グーバーと私に、数日違いで、それぞれスタジオの上級職の依頼が来た。グーバーは私に電話をかけてきて、おめでとうと言う代わりに忠告をした。「互いに、ただオフィスを間借りしているだけだと思っておくことにしよう。我々がオフィスを所有しているのではなく」と、彼は宣言した。グーバー語を訳すと、こうだ。彼は私にも自分にも、我々の脆弱性を言い聞かせていたのである。
滅ぶことなどないと信じているのは愚か者のみ。だが、重要人物の多くが、この妄想を信じているようなのである。






















