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『ピーター・バート、かく語りき』
民主党支持者たちはヒラリー後にクルリ?

 
2008/06/18

ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。

女性たちは今度はミシェル・オバマを応援?

ヒラリー・クリントン
ヒラリー・クリントン
 ヒラリー・クリントンが民主党の大統領候補に敗退して約2週間。しかし、怒りはまだ収まっていないようだ。怒りとは、つまり、彼女の女性支持者たちによるもの。ヒラリーを支持していただけでなく、彼女によって女性が社会的に権力を持つことが出来ると信じていた。

 いろいろなメディアが取り上げたが、真っ先に記事にしたのはウォール・ストリート・ジャーナルだった。同紙は数カ月前、もしヒラリーが負けた場合、「一部の男性をつけあがらせることになり、ビジネスや政治などの部分で権力を分担しようとする女性の努力を拒絶する男性が現れるかもしれない」と報じた。

 ニューヨーク・タイムス紙のモーリーン・ダウドが、後日、その意見を擁護した。「フェミニズムのためのすべての努力が激しい反発を買うきっかけとなった。結果的に、フェミニズムの勢力は衰えてしまった」。

 「権力のある女性は性差別を引き起こす」とダウドは結ぶ。「そして、攻撃はより個人的になる」。

 エンタテインメント業界には、こういった現象に毎日のように直面している女性の権力者が大勢いる。一時間毎に男性から売り込みをもちかけられる製作会社の女性重役たちは、英語という言語の中で、最も相手を骨抜きにする一言を発する。それは「ノー」という言葉だ。

 ほとんどの男は、男から「ノー」と言われるより、女から「ノー」と言われる方が傷つく、と白状するだろう。不思議なことに、女性から「ノー」と言われると、個人的にとらえてしまうのだ。

 恐らくこういった理由から、先週私が話した女性重役のうちの何人かは、異業種の女性に比べると、ヒラリーの件をすんなり受け入れていたようだ。「残念だけど、まあいいわ。たとえ大統領にならなくても、ヒラリーは私たちの助けになる。決して害にはならないわ」と、ある女性重役は言った。

 ダウドでさえ、「ヒラリーは不屈でずうずうしい」とした上で、「彼女が負けたのは女性だからではない」と主張した。負けた理由は「自分と夫が犯した間違い」のせいだと言う。

 別の言い方をすると、彼女が負けたのではない。オバマが勝ったのだ。エンタテインメント業界の女性たちは、戦いのルールを理解しており、現実を受け入れることが出来る。

                   * * *

「セックス」と結束

ミシェル・オバマ
ミシェル・オバマ
 皮肉なことに、ヒラリーが負けたことへの怒りは『セックス・アンド・ザ・シティ』に関する議論にまで波及してしまった。Internet Movie Databaseというウェブサイトによると、女性観客と男性観客では、この映画を好きな人の数が倍も違うということだ。今週のニュースウィーク誌は、「『セックス・アンド・ザ・シティ』を嫌う人とヒラリーを嫌っている人とは共通だという結論を出したくなる」と書いている。

 ロサンゼルス・タイムス紙のRachel Abramowitzも、この2つの共通点について触れていた。「女性結束というテーマ」がヒラリーによって推進されたのだと吹聴する。Abramowitzはこともあろうに、ワーナーの重役は女性が主人公の作品を作らないように指示したとさえ言った(これは後でワーナーが否定した)。彼女自身はこれが本当ではないことをわかっていたのだが、「業界にいる女性たちの多くが、男性のスタジオ重役たちのほとんどは影でそう考えているのだろうと疑っている」という。

見えない真実

 では、本当のところはどうなのだろう。ヒラリーの件で怒っている者たちは、ミシェル・オバマ(バラック・オバマの妻)への猛烈な攻撃をどう見ているのだろうか? 共和党は、ミシェルが白人のことを「ホワイティ」と差別的に呼んだ証拠となるテープを持っていると糾弾している。もちろんオバマ側は否定している。このテープはいつか公表されるのだろうか? また、ヒラリーに向けられた性差別者の部隊に怒りを感じていた面々は、現在包囲されている別の女性を応援するのだろうか?

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