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『ピーター・バート、かく語りき』
ニュースというビジネスの著しい縮小

 
2008/07/23

ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。

深刻なニュースとその読者が不足

 ようやく夏が来た。どうやら皆が軽いものに興味を持つ傾向にある。軽い読み物、軽いエンタテインメント、軽い会話、軽いビール。ガソリンの値段の話やイラクや不況の話ほど、その場を白けさせるものはない。それに、大統領選挙はまだちゃんと始まってもいないというのに、もうすでに世間はうんざりしている。

 こういった状況を考えると、深刻なニュースを欲しがっている読者はあまりいないと言える。これはむしろいいことなのだ。なぜなら、そもそもそんなにたくさん深刻なニュースがあるわけではないのだから。ニュース(ほんとうのニュース)を絶滅危惧種のリストに入れるとしても、大げさな話ではない。

 ほとんどすべての新聞が(ロサンゼルス・タイムス紙が最近の例だが)ニュース報道を大量に減らし、先週だけで1000人ほどの新聞各紙の従業員たちが職を失った。かつて栄えていたニュース・マガジン各誌も広告に飢え、原則的に読者はもうニュースを必要としていないのだと決め付けた。読者が欲しているのはゴシップと解説記事の混じったようなものだ。

 こういうわけで、ニューズウィーク誌の夏の特大号の表紙には、熟考版と書かれてあり、さらにまだそれでも脅迫が足りないだろうと言わんばかりに、主要な記事の題名は「リンカーン対ダーウィン:どちらがより重要か?」という。もし「どっちも重要でない」という読者がいたら、定期購読を止めなければならないだろう。

 それに負けじと、タイム誌の主要記事は「真の意味での愛国主義」という題で、マッケインとオバマの生の声を取り上げている。さらに、火急の問題ではないことはわかっていながら、もっと切迫したようにもうひとつの見出しが付け加えられている。それは「神はもっとセックスを推奨しているか?」というものだ。

 即答してあげよう。もちろんだ!(福音の教祖はセックスだけでなく、たまにはフェラチオも勧めるだろう)

 そして、U.S.ニュースとワールド・レポートという雑誌も、この社会問題に大胆なアプローチをしている。つまり、出版を刺し止めしてしまった。

 多くの人はラジオやテレビからニュースを得られるという意見もあるだろうが、それは、「ニュース」の定義をどう考えるかということにもよる。ラッシュ・リンボウ(アメリカのラジオ司会者。政治ネタに強い)は好条件で契約を更新したばかりだが、彼は宣伝業界にいて、ニュース業界にいるわけではない。一方、地方テレビ局のニュース・ディレクターたちは高速道路でのカーチェイスや飲酒運転の逮捕のニュースを流して視聴者を麻痺させ、人質にしている。

 新聞社の経営者たちは、新聞の役割は特集をとりあげることだと主張するようになってきた。人々がコンピューターや携帯機器で真面目なニュースを読むことが出来るようになった頃からだ。彼らが言うには、こういった情報を紙媒体が印刷するまでに、流通が減退する。

 しかし、インターネットを支配しているものは、特集と意見だ。自己流の集積者たちやブロガーたちの意見が、基本的な事実ではなく、分析を欲している人々によって重宝される。

 実際インターネットでは、ほとんど見聞がないものの方が、事実と呼ばれるものを確認するよりも、より超現実的だ。インターネットは我々を自由にしてくれるはずなのに、虚報や誤報に溢れている。そういった間違いも、訂正されるのではなく、永久に保持されていく。

 それゆえ、硬いニュースは政治的に扱い難いものになり、メディアが敬遠し始めた。誰も時間や金をかけてそれを供給しようという者がいない。世間は、カール・ローヴ(ジョージ・W・ブッシュ大統領の元スタッフ)のような者には完璧なターゲットだ。つまり、彼のような政治家付きメディア担当アドバイザーたちは、偽のブランド構築や偽造した事実を伝播することができる。

 失業中のジャーナリスト達が増えるのを見ているのは心が痛む。概して、彼らはニュースが大好きで、もともと自分の仕事に魅力を感じていた。そして、まさかニュースが過去の遺物になろうとは、思ってもみなかっただろう。

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