
ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
政治作品が占める秋公開作品リスト

オリバー・ストーン
これほどまでに政治が熱心に(あるいは腹立たしげに)語られている様子をいまだかつてみたことがない。政治はコメディの世界をむさぼり喰う。サラ・ペイリンに扮したティナ・フェイ(注:米人気コメディ番組に出演するコメディアン)の、ほとんど神話的とも言える状態を見てもそう思う。住宅ローンや投資、または食料品に関する議論でさえ、すぐさまイデオロギーによって押し殺されてしまうのだ。
昨年、イラク戦争に関する数本の映画が失敗してから、政治映画は過去の遺物だという運命を与えられていたはずだ。ところが今秋の公開スケジュールをちょっと見ただけで、すぐにそうではないとわかる。むしろ、政治映画はより政治的になっている。
レオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウ主演の “Body of Lies”は中東におけるCIAのヘマについて猛烈に論じている。“The Boy in the Striped Pajamas”は、8歳の少年の目を通してアウシュヴィッツの悪夢を見るという大胆なストーリーだ。
先週、オリヴァー・ストーンの新作 “W.”を観た。心をすっかり奪われてしまうこの作品は、『プラトーン』の監督が鋭さを失っていないということを我々に知らしめてくれる。時に論客的、時にパロディ的な“W.”は、ジョージ・ブッシュ親子の愛憎関係を掘り下げている。クライマックスは、ブッシュ父が怒りを込めながら、息子のおかげで今後2度とブッシュ家から政治家が選出されることはないだろうと宣言する、という衝撃的な(そして想像上の)シーンだ。
“W.”の米公開は“Body of Lies”の一週間後の10月17日。もうひとつの政治作品であるショーン・ペン主演の “Milk”は11月26日公開だが、同様の挑戦を課せられるだろう。
昨年、イラク戦争に関する数本の映画が失敗してから、政治映画は過去の遺物だという運命を与えられていたはずだ。ところが今秋の公開スケジュールをちょっと見ただけで、すぐにそうではないとわかる。むしろ、政治映画はより政治的になっている。
レオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウ主演の “Body of Lies”は中東におけるCIAのヘマについて猛烈に論じている。“The Boy in the Striped Pajamas”は、8歳の少年の目を通してアウシュヴィッツの悪夢を見るという大胆なストーリーだ。
先週、オリヴァー・ストーンの新作 “W.”を観た。心をすっかり奪われてしまうこの作品は、『プラトーン』の監督が鋭さを失っていないということを我々に知らしめてくれる。時に論客的、時にパロディ的な“W.”は、ジョージ・ブッシュ親子の愛憎関係を掘り下げている。クライマックスは、ブッシュ父が怒りを込めながら、息子のおかげで今後2度とブッシュ家から政治家が選出されることはないだろうと宣言する、という衝撃的な(そして想像上の)シーンだ。
“W.”の米公開は“Body of Lies”の一週間後の10月17日。もうひとつの政治作品であるショーン・ペン主演の “Milk”は11月26日公開だが、同様の挑戦を課せられるだろう。

ジョージ・W・ブッシュ現米大統領(中央)と父親のジョージ・H・W・ブッシュ元大統領(右)
“W.”の中で、息子ブッシュに対して取り上げられている点は、イラク戦争への責任問題だ。実際、父の堪忍袋の尾を切ったのは、息子ブッシュの戦争への対応だ。しかし、現大統領の顔に完全なる絶望感を浮かび上がらせているのは、追記で生々しく描かれている現在の経済崩壊である。つまるところ、ブッシュ家の支配はすべて金と権力。経済の混乱は言語道断だ。
最初に映画について語った時、ストーンは「私はブッシュに共感しているので、彼の真実の人となりを正当に描きたい」と強調した。ストーンは伝記映画には確固たる実績がある。これまでにニクソン、ジム・モリスン、JFK、アレキサンダー大王、などなどの映画を作っている。
しかし、ブッシュ支持者たちは——そういう人が残っていればだが——ストーンが言うところの客観性を認めるかどうかは疑問である。映画の中に描かれている大統領は、独善的で自己中心的、比類なく頑固なアイビーリーグ出身者。そして神の英知に直接通じていると信じているテキサス人である。
アメリカ映画界では政治映画は誇りある伝統だ。さかのぼればプレストン・スタージェスの風刺ドラマ『サリヴァンの旅』や、反核映画(『シルクウッド』、『チャイナ・シンドローム』)、政治妄想ジャンル(『パララックス・ビュー』)などもあった。
新しいところでは、例えばスティーヴン・ソダーバーグの『チェ』は、60年代の(ジロ・)ポンテコルヴォやコスタ・ガブラスの作品への先祖がえりを象徴するかのように、より怒りに溢れた過激なイデオロギーのように思われる。
オリヴァー・ストーンはそういう仲間たちのことを忌み嫌ってはいないだろう。そして、彼の作品はおそらくそういったレベルの激しい怒りを奮起させることだろう。
実際、10月の混雑した週末には、怒りを撒き散らしたくなるようなことがたくさんあるのだろう。
最初に映画について語った時、ストーンは「私はブッシュに共感しているので、彼の真実の人となりを正当に描きたい」と強調した。ストーンは伝記映画には確固たる実績がある。これまでにニクソン、ジム・モリスン、JFK、アレキサンダー大王、などなどの映画を作っている。
しかし、ブッシュ支持者たちは——そういう人が残っていればだが——ストーンが言うところの客観性を認めるかどうかは疑問である。映画の中に描かれている大統領は、独善的で自己中心的、比類なく頑固なアイビーリーグ出身者。そして神の英知に直接通じていると信じているテキサス人である。
アメリカ映画界では政治映画は誇りある伝統だ。さかのぼればプレストン・スタージェスの風刺ドラマ『サリヴァンの旅』や、反核映画(『シルクウッド』、『チャイナ・シンドローム』)、政治妄想ジャンル(『パララックス・ビュー』)などもあった。
新しいところでは、例えばスティーヴン・ソダーバーグの『チェ』は、60年代の(ジロ・)ポンテコルヴォやコスタ・ガブラスの作品への先祖がえりを象徴するかのように、より怒りに溢れた過激なイデオロギーのように思われる。
オリヴァー・ストーンはそういう仲間たちのことを忌み嫌ってはいないだろう。そして、彼の作品はおそらくそういったレベルの激しい怒りを奮起させることだろう。
実際、10月の混雑した週末には、怒りを撒き散らしたくなるようなことがたくさんあるのだろう。






















