
ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
ビューカス国での生活は、どんなものになるであろう?
世界最大のメディア企業タイム・ワーナー(TW)は新しいCEO(最高経営責任者)を緊急に任命した。9万6000人の関係者たち(その通り。産業従事者全般ということだ)は、ジェフリー・L. ビューカスが行う改革に興味津々である。
言っておくが、ビューカス本人は気骨のある、とても傷ついたTWの社員であり、何も語っていない。—もちろんそうだろう。チェスの最中に自分の戦略を暴露するやつはいない。この巨大企業の内でも外でも、手に負えないくらい荒れ狂っているのだ。中には(Googleのように)良案の賜物のような会社もある。だが、TWは企業衝突の産物だ。
実際、TWは会社というよりも、5つの異業種ビジネスを集めた可燃性の同盟団体である。それらのビジネスは相互関係がほとんどない。多くの部門でトップに立っているものの、株価はもう何年も活気がなく、ライバル会社の勢いのある上昇を尻目に見ている。
ビューカスは、この440億ドルもの歳入のある、扱い難い民族国家的企業を活性化することが出来るのか? ジャーナリストたちの記事やアナリストたちによるTWについてのレポートを読んでいくと、誰もが、だんだん呆然とし、失望してくる。企業の歴史は戦いの痕ばかり。そして通り過ぎた道の脇には横たわった死体がゴロゴロ——レヴィン、ケイス、ピットマン、ニコラス、コリンス、フュックスなどなど。
しかし、メディア・ビジネス界には、ビューカスを熱烈に支持する一群がいる。ビュークス国は数ヶ月後にはずっと健全な場所になっていると彼らは信じている。成長拡張のための削減と起動が行われているはずだと。
これを実現させるためには、新CEOは(ディック・パーソンの後任となる)多くの手ごわい質問に立ち向かわなくてはならない。
●AOLはライバルのポータルを振り落とす、もしくはそれらと調和することが出来るか? また、会員制主体から広告主体へ変革出来るか?(6年前ビューカスは、AOLはTWではなくeBayを買収するべきだと熱烈に語っていたが、その時は負けに終わった。)
●TWケーブルは——84%をTWが所有しているが—混沌としたデジタル界において、自社独自の役割を見つけるために、別の事業体として再構築され得るか?
その他にも、そこまで宇宙的ではないにしろ早急に進めなければならない問題がいくつかある。TWはボブ・シェイとニューラインとのビジネスを続けたいか? また、タイムの出版物は、さらなる相乗効果や社内での連携に向けて売られ続けるべきか?
知的に落ち着きがなく、皮肉な冗談を好むビューカスは、チェス盤上の駒を動かすのが好きだ。HBOにいた頃、自分の周りのクリエイティブなエネルギーを燃え立たせる能力を見せ付けた。賢明だが人事に疎いマイケル・フュックスから引き継いだ時、ビューカスは討論を巧く利用するという、機転の効いた戦略をとり、迅速に自分の地位を築いた。
討論は必ずしも彼の思った通りにはいかず、実際、彼の友人の中には、ビューカス自身が車に撥ねられて道端に転がった死体のようになっていたことに驚いたものもいる。その理由の一つは、彼がHBOを守ろうとしていたこと。さらに言うと、つまるところビューカスはコンピューターの専門家であると同時に、どんな議論になっても、単に反対論者たちを消耗させてしまうような過激な話術を持っている人物だということだ。
例えばある同僚はこう言う。「内輪の話を言うと、ビューカスこそ、この会社始まって以来、初めてトップに立つ真のビジネスマンだ。契約を気にしたり、政治的に振舞うことがない。彼はビジネス戦略を重んじる、安定した人物だ。反対意見も受け入れるが、彼に一杯食わそうなどと考えない方がいい。彼には気づかれてしまうし、そうなったら、大変なことになる」
HBO時代のビューカスについて、あるTWのエグゼクティブは言う。ビューカスは歳入を3倍に伸ばしたが、それは「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」のような番組のおかげではなく、「彼がうまい配給方法を考え出したから」。彼の予見はそれほどまでに「大規模な戦略」で、今になってTWの表面に浮かび上がってきたのだ。
しかしながら、彼の新しい役割は、彼にとっては全く別のリーグでの戦いとなる。抜け目のないマードックや、新しくなって機敏なディズニーたちと張り合わなければならない。これを達成するためには、ビューカス国は大しけとなるばかりか、時には敗走しなければならないだろう。
巨大なチェスゲームはかつてないほどに過熱していく。ビューカスはニヤリと笑いながら照準を合わせているようだ。
世界最大のメディア企業タイム・ワーナー(TW)は新しいCEO(最高経営責任者)を緊急に任命した。9万6000人の関係者たち(その通り。産業従事者全般ということだ)は、ジェフリー・L. ビューカスが行う改革に興味津々である。
言っておくが、ビューカス本人は気骨のある、とても傷ついたTWの社員であり、何も語っていない。—もちろんそうだろう。チェスの最中に自分の戦略を暴露するやつはいない。この巨大企業の内でも外でも、手に負えないくらい荒れ狂っているのだ。中には(Googleのように)良案の賜物のような会社もある。だが、TWは企業衝突の産物だ。
実際、TWは会社というよりも、5つの異業種ビジネスを集めた可燃性の同盟団体である。それらのビジネスは相互関係がほとんどない。多くの部門でトップに立っているものの、株価はもう何年も活気がなく、ライバル会社の勢いのある上昇を尻目に見ている。
ビューカスは、この440億ドルもの歳入のある、扱い難い民族国家的企業を活性化することが出来るのか? ジャーナリストたちの記事やアナリストたちによるTWについてのレポートを読んでいくと、誰もが、だんだん呆然とし、失望してくる。企業の歴史は戦いの痕ばかり。そして通り過ぎた道の脇には横たわった死体がゴロゴロ——レヴィン、ケイス、ピットマン、ニコラス、コリンス、フュックスなどなど。
しかし、メディア・ビジネス界には、ビューカスを熱烈に支持する一群がいる。ビュークス国は数ヶ月後にはずっと健全な場所になっていると彼らは信じている。成長拡張のための削減と起動が行われているはずだと。
これを実現させるためには、新CEOは(ディック・パーソンの後任となる)多くの手ごわい質問に立ち向かわなくてはならない。
●AOLはライバルのポータルを振り落とす、もしくはそれらと調和することが出来るか? また、会員制主体から広告主体へ変革出来るか?(6年前ビューカスは、AOLはTWではなくeBayを買収するべきだと熱烈に語っていたが、その時は負けに終わった。)
●TWケーブルは——84%をTWが所有しているが—混沌としたデジタル界において、自社独自の役割を見つけるために、別の事業体として再構築され得るか?
その他にも、そこまで宇宙的ではないにしろ早急に進めなければならない問題がいくつかある。TWはボブ・シェイとニューラインとのビジネスを続けたいか? また、タイムの出版物は、さらなる相乗効果や社内での連携に向けて売られ続けるべきか?
知的に落ち着きがなく、皮肉な冗談を好むビューカスは、チェス盤上の駒を動かすのが好きだ。HBOにいた頃、自分の周りのクリエイティブなエネルギーを燃え立たせる能力を見せ付けた。賢明だが人事に疎いマイケル・フュックスから引き継いだ時、ビューカスは討論を巧く利用するという、機転の効いた戦略をとり、迅速に自分の地位を築いた。
討論は必ずしも彼の思った通りにはいかず、実際、彼の友人の中には、ビューカス自身が車に撥ねられて道端に転がった死体のようになっていたことに驚いたものもいる。その理由の一つは、彼がHBOを守ろうとしていたこと。さらに言うと、つまるところビューカスはコンピューターの専門家であると同時に、どんな議論になっても、単に反対論者たちを消耗させてしまうような過激な話術を持っている人物だということだ。
例えばある同僚はこう言う。「内輪の話を言うと、ビューカスこそ、この会社始まって以来、初めてトップに立つ真のビジネスマンだ。契約を気にしたり、政治的に振舞うことがない。彼はビジネス戦略を重んじる、安定した人物だ。反対意見も受け入れるが、彼に一杯食わそうなどと考えない方がいい。彼には気づかれてしまうし、そうなったら、大変なことになる」
HBO時代のビューカスについて、あるTWのエグゼクティブは言う。ビューカスは歳入を3倍に伸ばしたが、それは「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」のような番組のおかげではなく、「彼がうまい配給方法を考え出したから」。彼の予見はそれほどまでに「大規模な戦略」で、今になってTWの表面に浮かび上がってきたのだ。
しかしながら、彼の新しい役割は、彼にとっては全く別のリーグでの戦いとなる。抜け目のないマードックや、新しくなって機敏なディズニーたちと張り合わなければならない。これを達成するためには、ビューカス国は大しけとなるばかりか、時には敗走しなければならないだろう。
巨大なチェスゲームはかつてないほどに過熱していく。ビューカスはニヤリと笑いながら照準を合わせているようだ。






















