
ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
テレビのコメディは、本では表現し難いか
今話題の二冊の本が、両方とも実在しない人物によって書かれているということは、我々のポップカルチャーの現状と言えるのだろうか? どちらのペテンも、それほど成功しているとは言えないのだが。
この人たち(人とは言えないが)、誰かと言えばスティーヴン・コルバート(テレビ番組に登場する架空のキャラクター、コルバート)と、ボラット・サカディエフ(サシャ・バロン・コーエンが創り出した架空のキャラクター)である。この二人の本は、大爆笑を誘う部分もあり、両方とも売り上げは伸びるだろう(コルバートの本は、すでにほとんどのランキングで1位となっている)。
ただし問題は、テレビや映画用に作られた題材は、文章ではなかなか上手く表現できないということだ。
コルバートと彼のライターたちが書いた本は、 “I Am America (And So Can You!)”“我こそアメリカ(そして君もそうなれる!)”と題されている。いつだったか、「本なんてヘナチョコ野郎のためのものだ」と言っていたのは、コルバート本人だったのに。ベストセラーに近づいてきた今となっては、本は「コルバート国民」のためのもの、と謙虚な発言をしている。そういえば、彼は大統領にも立候補しているんだっけ。
ボラットの本は “Touristic Guidings to Glorious Nation of Kazakhstan” (栄光ナル国家カザフスタンへの旅行ガイド)という題で、こんな招待文から始まる。「あなたをカザフスタンにご招待したいと思います。私の家にお泊りになる予算がないということでしたら、私の食料を食べ、妹を使ってください(妹は男性のコーモンのようにキツイです)」
ところで、これらの本は本当の著者を象徴しているのだろうか? 私はコーエンともコルバートとも取材以外で話をしたことがあるが、二人が本当の人格と一致しているかどうかは分からないままだ。コルバートはジョン・スチュワートの改造版かオーライリーのクローンなのか? 正直分からない。コーエンは頭が良く、コメディのスタイルがこれから発掘されるピーター・セラーズ的なカメレオンなのか? そうかも知れない。どちらにしろ、本に名前を載せたからといって彼らのアイデンティティ・クライシスが制約されることはない。彼らが誰であれ、話題の本を出したのだ。
コルバートの本は、あの架空のキャラクターによるホラ吹き忠告で一杯だ。クローン作成について、彼は「こんなトラブルに見合うタダの労働はない」と観察している。また、彼のアドバイスはこうである。「この本にある私の写真は、いかなる目的があっても、削除されるべきではない。たとえ読書感想文を壁に張ったり、我々の友情を示すために財布の中に写真を入れるためだとしても。」
コルバートもボラットっぽいギャグを言うことをためらわない。例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図を再現しているところとか——コルバート本人が眼鏡をかけ、睾丸を大きくしている図なのだが。
しかしながら、ボラットのトレードマークである、ハードコアな低俗さには誰も近づけない。——彼がとんでもない水着を着ている写真や、「15リットルの殺虫剤を買ってあげた」最初の妻ルードミラの写真など。この妻は、ボラットが旅行に行っている間に「熊に襲われ、強姦され、めちゃめちゃにされてしまった」。ボラットの本は、別々の表紙がついた二冊のスクラップブックのようになっており、おぼつかな気に真ん中で合わさっている(そう。読者はまた最初から読むために、本をひっくり返さなければならない)。
ボラットはアメリカを旅して、率直な観察をこう述べている。「ほとんどのアメリカ人はキリスト教という宗教を信じている。これはイエス・キリストという男を崇拝するものだ。私が思うには、この男はきっとカザフスタン人だろう。彼は豚や牛にまみれて納屋で生まれたし、母親は誰の子供を妊娠したかわからなかったというから」
我々はこの二冊の本を必要としているか? 一方では、ちゃんと実在の人物が書いた本のために、本屋の棚を開けておくべきだという人もいるだろう。メディア界のスターたちを利用するような偽の本ではなく。
だが、そういった声は、ボラットやコルバートほど本が売れないヘナチョコ著者の泣きべそ混じりの不満としか取られないだろうが。
* * *
個人的注意書き:今がちょうどハリウッドの作家たちの大変な苦悩の時期だということに気がついた。という訳で、作家でない者たちが作家のフリをし、書いてもいないもので大変な金儲けをしていることについて書いた、ふざけたコラムを出すとなると、無神経だと思われてしまうかもしれない。
そんな風に不愉快になった人たちへ、私はこういう提案をしたい。こんな時だからこそ、他に収入を得る方法を考えるといい。そう、自分自身を再創造するとかね!
この人たち(人とは言えないが)、誰かと言えばスティーヴン・コルバート(テレビ番組に登場する架空のキャラクター、コルバート)と、ボラット・サカディエフ(サシャ・バロン・コーエンが創り出した架空のキャラクター)である。この二人の本は、大爆笑を誘う部分もあり、両方とも売り上げは伸びるだろう(コルバートの本は、すでにほとんどのランキングで1位となっている)。
ただし問題は、テレビや映画用に作られた題材は、文章ではなかなか上手く表現できないということだ。
コルバートと彼のライターたちが書いた本は、 “I Am America (And So Can You!)”“我こそアメリカ(そして君もそうなれる!)”と題されている。いつだったか、「本なんてヘナチョコ野郎のためのものだ」と言っていたのは、コルバート本人だったのに。ベストセラーに近づいてきた今となっては、本は「コルバート国民」のためのもの、と謙虚な発言をしている。そういえば、彼は大統領にも立候補しているんだっけ。
ボラットの本は “Touristic Guidings to Glorious Nation of Kazakhstan” (栄光ナル国家カザフスタンへの旅行ガイド)という題で、こんな招待文から始まる。「あなたをカザフスタンにご招待したいと思います。私の家にお泊りになる予算がないということでしたら、私の食料を食べ、妹を使ってください(妹は男性のコーモンのようにキツイです)」
ところで、これらの本は本当の著者を象徴しているのだろうか? 私はコーエンともコルバートとも取材以外で話をしたことがあるが、二人が本当の人格と一致しているかどうかは分からないままだ。コルバートはジョン・スチュワートの改造版かオーライリーのクローンなのか? 正直分からない。コーエンは頭が良く、コメディのスタイルがこれから発掘されるピーター・セラーズ的なカメレオンなのか? そうかも知れない。どちらにしろ、本に名前を載せたからといって彼らのアイデンティティ・クライシスが制約されることはない。彼らが誰であれ、話題の本を出したのだ。
コルバートの本は、あの架空のキャラクターによるホラ吹き忠告で一杯だ。クローン作成について、彼は「こんなトラブルに見合うタダの労働はない」と観察している。また、彼のアドバイスはこうである。「この本にある私の写真は、いかなる目的があっても、削除されるべきではない。たとえ読書感想文を壁に張ったり、我々の友情を示すために財布の中に写真を入れるためだとしても。」
コルバートもボラットっぽいギャグを言うことをためらわない。例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図を再現しているところとか——コルバート本人が眼鏡をかけ、睾丸を大きくしている図なのだが。
しかしながら、ボラットのトレードマークである、ハードコアな低俗さには誰も近づけない。——彼がとんでもない水着を着ている写真や、「15リットルの殺虫剤を買ってあげた」最初の妻ルードミラの写真など。この妻は、ボラットが旅行に行っている間に「熊に襲われ、強姦され、めちゃめちゃにされてしまった」。ボラットの本は、別々の表紙がついた二冊のスクラップブックのようになっており、おぼつかな気に真ん中で合わさっている(そう。読者はまた最初から読むために、本をひっくり返さなければならない)。
ボラットはアメリカを旅して、率直な観察をこう述べている。「ほとんどのアメリカ人はキリスト教という宗教を信じている。これはイエス・キリストという男を崇拝するものだ。私が思うには、この男はきっとカザフスタン人だろう。彼は豚や牛にまみれて納屋で生まれたし、母親は誰の子供を妊娠したかわからなかったというから」
我々はこの二冊の本を必要としているか? 一方では、ちゃんと実在の人物が書いた本のために、本屋の棚を開けておくべきだという人もいるだろう。メディア界のスターたちを利用するような偽の本ではなく。
だが、そういった声は、ボラットやコルバートほど本が売れないヘナチョコ著者の泣きべそ混じりの不満としか取られないだろうが。
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個人的注意書き:今がちょうどハリウッドの作家たちの大変な苦悩の時期だということに気がついた。という訳で、作家でない者たちが作家のフリをし、書いてもいないもので大変な金儲けをしていることについて書いた、ふざけたコラムを出すとなると、無神経だと思われてしまうかもしれない。
そんな風に不愉快になった人たちへ、私はこういう提案をしたい。こんな時だからこそ、他に収入を得る方法を考えるといい。そう、自分自身を再創造するとかね!






















