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『ピーター・バート、かく語りき』
断崖を臨むハリウッド

 
2007/11/02

ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。

  業界はストライキにかかる費用見込みを加算
 「結論はこうだ:ハリウッドがいまだかつて、こんなに良かったことはない。だからみんな欲深くなっているのだ」

 これはあるスタジオのベテランが、2007年11月頃、業界の状況を分析して語った言葉である。多くの人が彼に同意するだろう。スタジオやテレビのネットワークは自分たちのマージンが減っていると文句を言い、スタッフは分け前が少ないと文句を言う。しかし、ハリウッド全体の繁栄のレベルは堅調である。だからこそ、経営側とスタッフ組合との間の戦争が暗く不気味に迫っているのだ。

 最初の小競り合いである脚本家組合との問題が、どのように解決されるのか、未だ誰にもわからない。だが、ある時点では、満場一致であった。経営側も労働者側も、この問題について述べる際、政治的手腕どころか最低限の明快さも見せなかった。「しばらくの間、脇役に徹するよ」と、ある主要な会社のCEOが言った。そして、彼の姿勢は彼と同等の立場にいる多くの人々の意識を反映するものだろう。

 こういった態度は組合員を刺激する。もちろん正当な理由があってのことだが——組合員たちは、大企業のうちの何社かはストライキを歓迎していると信じている。そして、WGAの怒りに満ちた説明から判断するに、経営側は、逆に、脚本家たちが自ら対立を招いていると考えているようだ。最後に配られた文書によると、経営側はぎりぎりになって、年金や健康保険の補助の引き下げを要求している。

 弁論が過熱してきた時でさえ、ハリウッドでは神経質にストライキが起こった場合の費用見込みを加算している。ある一流の脚本家は「クリスマスの一週間後、請求書が山積みになっていて、エージェントはクビになっていてつかまらず、私は『なぜこんなことになったんだ?』と考えている、という光景が目に見えるようだ」

 近い将来の恐怖とは別に、脚本家たちの間では長期戦になった場合のインパクトについても心配している。その筋書きは恐ろしいものだ:広告費はテレビからウェブへ激しく流れ、テレビの運命は狭まる一方。一旦、ストライキに触発されて急増した映画製作は自然の経過をたどり、スタジオは製作スケジュールを極端に減らし、スタッフや製作の契約をどんどん切っていく。夏以降、景気が後退すると予測されるため、タレント・エージェンシーやその他の補助的ビジネスの職が減らされる。

 「我々は今、とてもいい状態にあるので、人々はどんなにひどい状態になり得るかということに気がついていないのだ」と、あるベテラン監督は言う。彼は、組合の不調和や企業間の意見の相違から、ストライキが長期化したり、頻発する可能性を指摘する。

 大手エージェンシー、エンデバーのアリ・エマニュエル氏は、自分のブログにこう書いている。「ストライキをすることによって、得るものよりも失うものが多いならば、それは上手い交渉とは言えない」。脚本家と監督を代表する交渉人たちは、脚本家たちのストライキのデッドラインまでに、ほとんど交渉をしていない。脚本家たちの中には、組合のストライキ規定に怯えていた者もいる。例えば、「脚本検証プログラム」と呼ばれていた、脚本家たちが作業中の脚本を組合に提出しなければならない、といったルールだ。

 たとえ組合内で怒りが悪化し続けたとしても、大会社のCEOたちは、内部論争を隠そうともしない。「強硬派はパレードを先導しているが、彼らは皆をどこに誘導しようとしているかわかっていない」と、あるCEOは打ち明けた。

 「まるで第二次世界大戦が勃発した時のベルリンか、革命が起こる前のベイルートにいる気がする」と、ある脚本家は観察している。「最高の時間を過ごしていたのに、最悪の時は突然どこからやってきたのだ?」

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