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『ピーター・バート、かく語りき』
ストライキでは誰も勝利しない

 
2007/11/26

ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。

業界の抗争の難しい問題

 
 ストライキの問題点は、誰が勝ったかがわからないということだ。

 1988年8月、5カ月間続いた脚本家のストライキがようやく終わった時、ある脚本家がビバリーヒルズのチーズ&キャビアの店に行った。そしてお祝いのために、大きなフォアグラを買った。店の者はストライキが終わったことをとても喜んでくれ、半額にしてくれた。その脚本家は、そのことを友達に話し、「(ストで勝ち獲った)再使用料より、フォアグラの値引き額の方が大きかった」と言ったという。

 ストライキは感情的なものだ。叫びと共に発せられる言葉が自由や正当性を呼びかける。だが、これはフランス革命ではない。デジタルのダウンロードについての問題だ。

 ストライキ関連の報道は、何か偏向や事実誤認がないかと全ての局面を入念に調査する。バラエティの編集長として、私もまた質問や疑問を浴びせられる。それは当然のことだ。以下に、質疑応答例を挙げてみる。

Q: 17年以上に渡り3つのスタジオの重役職を歴任されてこられたわけですが、ご自身は、マネージメント側の意見に傾いているということはないですか?

A: 外側にいると、スタジオはいつも数字を操作しているんじゃないかという噂を耳にします。スタジオの中にいると、数字操作の手伝いをします。こういう経験をしていると、二つの感情を持つようになります。一つは、自分たちのマージンを維持しようとするあの重役たちに共感するということ。そしてもう一つは、その課程における欠点をじかに理解しているため、ひどい仕打ちを受けている側の気持もわかるということです。

Q: 今回のストライキのタイミングは脚本家側に有利だと思われますか?

A: もし脚本家たちがテレビ局をこらしめたいのであれば、いいタイミングでもあるし、悪いタイミングでもあるでしょう。テレビのシーズンはまだフル回転の時期ですが、ホリデーシーズンが近づいてくると局は特番や再放送に入り、そして「アメリカン・アイドル」が始まります。88年のストライキの時は、リアリティ番組ブームが起こり、広告収入に頼っているケーブル・
チャンネルの視聴率が25.5%上がりました。07年のストは、局の視聴率が下がり、劇場興行収入が弱めの時に始まっています。火事や金融政策の案件もあります。そうすると、こんな風にも考えられますーストにちょうどいいタイミングなんてない、と。

Q: しかし、脚本家たちは力をつけていますよね。俳優たちのサポートもありますし。

A: そうですが、彼らを雇っている製作会社側も力を持っています。さらに大きくなっているし、より国際的になり、インターネットへの投資も増えています。インターネットの件は、今回のストライキの唯一真の勝利になるかも知れませんが。

Q: しかし、長引けば長引くほど、局やスタジオは損失を取り戻すことが出来ないとわかってくるのではないですか?

A: そして、長引けば長引くほど、俳優たちも収入を得られないということがわかってきて、プロデューサーたちには会社から電話があり、「あなたたちの優勢になるといいですね」と言われたりします。痛みが広がりますね。

Q: もし両方とも折れなければ、どうなるのでしょうか?

A: 脚本家たちが袋小路に追いつめられたと判断したら、 監督組合が製作会社側との調停に動くでしょう。もしうまく行けば、高額所得の脚本家たちはその条件を通すために、大変なプレッシャーを与えるでしょうね。

Q: どんなストライキにも、背後に隠された意味がありますが、今回の場合の意味とは?

A: 縁の下の力持ちの苦悩は、我々のあらゆるポップカルチャーに対して、怒りとなって現れています。脚本家たちは舞台で、より力を持っているし、映画なら監督がより力を持っている。しかし、ウェブに関しては、どの団体が主導権を勝ち獲るか定かではありません。脚本家たちはクリエイティブ面での支配権を失う危機に直面していることを感じ取っています。(映画でそうなったように。)また、経済上、おいてけぼりにされていることに気がついています。彼らの恐怖は本能的、かつサブリミナルでありながら、恐らく現実的でもあるでしょう。

Q: それで、誰が勝つのでしょうか?

A: 誰も。何か他に目新しいことはありますか?

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