
ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。
企業はハリウッドに王手をかける
「今回の闘いの不気味な点は……」と、ストライキ中の脚本家の一人が先週、私に言った。「自分の味方が誰かはわかっているが、本当の敵がわからないということだ」
この脚本家の言うことは核心を突いている。ハリウッドにおける過去の労働問題の対立では、“敵”—普通はスタジオの大物のこと——は、前面と中心に居る。それはルイス・B・メイヤーやウォルト・ディズニー、その後ならルー・ワッサーマンあたりだったかも知れないが、常に、交渉の席の向こう側にいるのが誰かということは明白だった。
それが現在の論争では、各企業の指導者たちは皆、中心に立つことを避けている。明らかに、脚本家対“彼ら”の問題となっているのである。
この“彼ら”というのは、ハリウッドを所有している多国籍企業たちだ。実際、ストライキはこの年次々と起こった出来事の一つのエピソードに過ぎない。この出来事がハリウッドに、ハリウッドは国際的な組み立てラインの小さな歯車のひとつに過ぎないということを思い出させた。
この“複合企業”たちは、——バラエティは好んで彼らのことをこう呼ぶが——、2007年のニュースを独占した。夏の大作の興行的成功は、この複合企業たちの戦略の成功を反映している。また、MySpaceを含むインターネット関連の大きな契約もそうだ。スティーヴン・スピルバーグの企業ヒエラルキーにおける存在が「重要でない」と発言されたバイアコムとドリームワークス間の騒動もしかり。トム・クルーズの解任を始め、各スタジオで製作部門の重役たちが、入れ替わり立ち代りマーケティングのポジションに就いたりもした。
脚本家のストライキそのものや、それに続く対立は、映画やテレビから発生したものではなく、複合企業たちの金や権力によって、また、将来的なテクノロジーの締め付けの可能性によって発生したものである。
これらすべてのことが、街の年老いた脚本家やベテラン業界人たちに、ある程度のカルチャーショックを与えた。彼らはハリウッドが夢工場として建てられた時代を覚えている。映画は経済的な基盤であり、ニューヨークの銀行家たちと繋がっていたとは言え、経営の基盤はハリウッドにあった。
今日では、これら2007年の出来事が思い出させてくれるように、ハリウッドは国際的な複合企業のおもちゃの一つに過ぎず、ハリウッドの製品は生産ラインの比較的マイナーな部門を代表している。今日の経営者たちはルイス・B・メイヤーやルー・ワッサーマンからは程遠い。実際彼らはこういった出来事に関わりたくないのだ。
ソニーのサー・ハワード・ストリンガーはカルバー・シティーよりも東京にいる方が多い。タイム・ワーナーの新しいバラモンであるジェフ・ビューカスはニューヨークやテレビ業界、そしてテクノロジーにも強いコネクションを持つ、熟達した戦士である。バイアコムの今後の指導者は、終わりのない推測的な話題となっている。
さらに、ニュース・コープの面白い話もある。76歳のルパート・マードックが34歳の息子ジェームスに地位を譲ろうとしているというものだ。若いマードックの権力の掌握は、ピーター・チャーニンの将来に疑問を投げかけた。彼はハリウッドで最も頭の良い操縦者の一人であることは間違いないが、ニュース・コープのCOOとしての契約は2009年の夏に満了になる。
これらが象徴することは全て人目を引く。チャーニンは企業の権力者の一人であるが、階段を上っていく間にほとんどすべてのタイプのマーケティングや製作の仕事を担当した。一方で、若いマードックはイギリスのサテライト・テレビ会社BSkyBで働いただけた。
ある経済学者が先週述べたように、重要な株主たちの中には、あまり経験がない者が、大手国際複合企業を指揮するということについて不安に思っている者もいるという。
その経済学者はこう話す。すでに若いマードックの仲間たちは、父親が最近買収した企業を支配し始めている。ウォール・ストリート・ジャーナルのことだ。伝えられているところによると、チャーニンはこの契約に関してあまり情熱をかけていなかったようだ。マードックはこのダウ・ジョーンズのパッケージに65%の割り増し料金を支払った。
このジェームス・マードック=ピーター・チャーニンというシナリオは、「ハリウッドを動かすのは誰?」という長期間続いているメロドラマの新しい章である。そして、ストライキ中の脚本家はまた疑問を重ねる。つまり、“敵”とは誰だ? ということだ。
ハリウッドの将来を決定している企業のプレーヤーたちはどんどん個人主義になっているのかもしれない。彼らにとってハリウッドそのものが「重要でない」ものだというように(バイアコムの不朽の言葉のように)。
一見、限りのない富と財源を持つ国際的複合企業は、組合の交渉人たちにとって格好の的だ。しかし、その同じ財源こそが、交渉会議を次第に厳しくしている理由でもある。
昔、「私は未来を見たが、うまく行っていたよ」と言った理想主義者は誰だったっけ? まあ、典型的なストライキ決行人はこの言葉を借りて、「私は未来を見たが、恐ろしかったよ」と言うかも知れない。
この脚本家の言うことは核心を突いている。ハリウッドにおける過去の労働問題の対立では、“敵”—普通はスタジオの大物のこと——は、前面と中心に居る。それはルイス・B・メイヤーやウォルト・ディズニー、その後ならルー・ワッサーマンあたりだったかも知れないが、常に、交渉の席の向こう側にいるのが誰かということは明白だった。
それが現在の論争では、各企業の指導者たちは皆、中心に立つことを避けている。明らかに、脚本家対“彼ら”の問題となっているのである。
この“彼ら”というのは、ハリウッドを所有している多国籍企業たちだ。実際、ストライキはこの年次々と起こった出来事の一つのエピソードに過ぎない。この出来事がハリウッドに、ハリウッドは国際的な組み立てラインの小さな歯車のひとつに過ぎないということを思い出させた。
この“複合企業”たちは、——バラエティは好んで彼らのことをこう呼ぶが——、2007年のニュースを独占した。夏の大作の興行的成功は、この複合企業たちの戦略の成功を反映している。また、MySpaceを含むインターネット関連の大きな契約もそうだ。スティーヴン・スピルバーグの企業ヒエラルキーにおける存在が「重要でない」と発言されたバイアコムとドリームワークス間の騒動もしかり。トム・クルーズの解任を始め、各スタジオで製作部門の重役たちが、入れ替わり立ち代りマーケティングのポジションに就いたりもした。
脚本家のストライキそのものや、それに続く対立は、映画やテレビから発生したものではなく、複合企業たちの金や権力によって、また、将来的なテクノロジーの締め付けの可能性によって発生したものである。
これらすべてのことが、街の年老いた脚本家やベテラン業界人たちに、ある程度のカルチャーショックを与えた。彼らはハリウッドが夢工場として建てられた時代を覚えている。映画は経済的な基盤であり、ニューヨークの銀行家たちと繋がっていたとは言え、経営の基盤はハリウッドにあった。
今日では、これら2007年の出来事が思い出させてくれるように、ハリウッドは国際的な複合企業のおもちゃの一つに過ぎず、ハリウッドの製品は生産ラインの比較的マイナーな部門を代表している。今日の経営者たちはルイス・B・メイヤーやルー・ワッサーマンからは程遠い。実際彼らはこういった出来事に関わりたくないのだ。
ソニーのサー・ハワード・ストリンガーはカルバー・シティーよりも東京にいる方が多い。タイム・ワーナーの新しいバラモンであるジェフ・ビューカスはニューヨークやテレビ業界、そしてテクノロジーにも強いコネクションを持つ、熟達した戦士である。バイアコムの今後の指導者は、終わりのない推測的な話題となっている。
さらに、ニュース・コープの面白い話もある。76歳のルパート・マードックが34歳の息子ジェームスに地位を譲ろうとしているというものだ。若いマードックの権力の掌握は、ピーター・チャーニンの将来に疑問を投げかけた。彼はハリウッドで最も頭の良い操縦者の一人であることは間違いないが、ニュース・コープのCOOとしての契約は2009年の夏に満了になる。
これらが象徴することは全て人目を引く。チャーニンは企業の権力者の一人であるが、階段を上っていく間にほとんどすべてのタイプのマーケティングや製作の仕事を担当した。一方で、若いマードックはイギリスのサテライト・テレビ会社BSkyBで働いただけた。
ある経済学者が先週述べたように、重要な株主たちの中には、あまり経験がない者が、大手国際複合企業を指揮するということについて不安に思っている者もいるという。
その経済学者はこう話す。すでに若いマードックの仲間たちは、父親が最近買収した企業を支配し始めている。ウォール・ストリート・ジャーナルのことだ。伝えられているところによると、チャーニンはこの契約に関してあまり情熱をかけていなかったようだ。マードックはこのダウ・ジョーンズのパッケージに65%の割り増し料金を支払った。
このジェームス・マードック=ピーター・チャーニンというシナリオは、「ハリウッドを動かすのは誰?」という長期間続いているメロドラマの新しい章である。そして、ストライキ中の脚本家はまた疑問を重ねる。つまり、“敵”とは誰だ? ということだ。
ハリウッドの将来を決定している企業のプレーヤーたちはどんどん個人主義になっているのかもしれない。彼らにとってハリウッドそのものが「重要でない」ものだというように(バイアコムの不朽の言葉のように)。
一見、限りのない富と財源を持つ国際的複合企業は、組合の交渉人たちにとって格好の的だ。しかし、その同じ財源こそが、交渉会議を次第に厳しくしている理由でもある。
昔、「私は未来を見たが、うまく行っていたよ」と言った理想主義者は誰だったっけ? まあ、典型的なストライキ決行人はこの言葉を借りて、「私は未来を見たが、恐ろしかったよ」と言うかも知れない。






















