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『ピーター・バート、かく語りき』
監督たちは個別に和平交渉

 
2008/01/26

ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。

WGAは不明瞭のまま——スターたちは旧態を歓迎

 この冬は、脚本家たちのストライキのおかげで、まったく不思議なことが起こっている。

 テレビの深夜トークショーの司会者たちは、自分で書いたネタをしゃべっておきながら、なんだか出来がいまいちだとボヤいてみたり。

 高いギャラを取っている出演者たちがピケに加わり、『我が谷は緑なりき』に出てくる炭鉱労働者さながらにプラカードを掲げ、新しいメディア絡みの難解な契約で、もっと分け前を、と要求しているのも目にした。

 普段スターたちにインタビューをしているテレビ番組司会者たちが、ゴールデングローブ賞の受賞者の名前を、汗だくになりながら発表している姿も観た。

 脚本を必要とする番組が放送できず、慌てて寄せ集められたリアリティ番組が、高視聴率をマークしたことにも驚かされた。

 挙句の果てに、ストライキが終わってもいないのに、ハリウッドは混沌を乗り切ろうとしている。そして、“結局勝者ナシ”という、ストライキのマイナス・ポイントが、再び顕著になろうとしている。

 現時点では、脚本家や俳優たちが監督たちと同じように、あのすっきりした条件を受け入れるかどうかはわからない。はっきりしているのは、この職人たちは皆、経済的危機に陥っており、深刻な不況が迫っているということだ。しかし、怒りに震えて頭が混乱している口先だけの布陣は、まだ状況を悪くしている。

 振り返ってみると、両方の側が交渉をしている時から、戦いたくてうずうずしていたのはおかしな話だ。もし経営者側が真剣に契約することを考えていたなら、なぜ官僚を代表として送り、毒を吐かせるのか。脚本家たちもそうだ。妙に好戦的じゃないか。だからニューヨークの脚本家たちが深夜の行進などをすることになる。

 業界が、革命的時代の変化に見舞われているというのに、それぞれの権力者たちが互いに敵対していてる場合か? 監督たちの交渉では、それぞれの団体が、話のわかる “大人”を代表に出し、論理的に話し合いをした。弁論大会ではなく、ちゃんと契約締結が行われたのだ。

 かくして、プレッシャーは監督側から他の者たちへと移る。ピーター・チャーニンとボブ・アイガーは、監督たちとの交渉が上手く行ったので、脚本家たちとの今後の交渉にも同じ手口を使ってくるだろう。急進的な仲間を和解に応じるように説得できるか、出演者や有名どころの脚本家たちの腕次第だ。さらに、今後数週間のうちに、トップ・スターたちが俳優組合の穏健派をとりまとめ、圧力をかけるつもりのようだ。

 ここ数週間で学んだことは、穏健派は自分たちの組合の舵取りを出来なかったということ。監督組合の交渉決着と、この冬の災難がきっかけで、彼らもすぐに正気に戻るかもしれない。

 ウォルト・ディズニーも、かつて労使問題を抱えていたが、ある時、私にこう打ち明けたことがある。ハリウッドは甘ったれた子供で一杯だ。雇う側も雇われる側も——。彼はどちらの側も信用していなかった。思うに私も、彼に同感なのである。

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