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『ピーター・バート、かく語りき』
ハリウッドが新しい確かなブレインを模索中

 
2008/03/20

ピーター・バート
米バラエティ誌 編集長。ウォール・ストリート・ジャーナル紙とニューヨーク・タイムス紙のレポーターを経て、1967年にパラマウント・ピクチャーズへ。『ゴッドファーザー』『ペーパー・ムーン』『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の名作のプロデュースに関わり、77年、独自の製作会社を設立。そこで『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作品をプロデュースする。MGM/UAの上席副社長を経て、89年よりバラエティ誌の編集長兼副社長を務める。

グレイザーの師事グセを見習うべきは誰か

ブライアン・グレイザー
ブライアン・グレイザー
 ブライアン・グレイザー(注:イマジン・エンタテインメントの創立者で映画プロデューサー)が長い間、個人的に “文化的アドバイザー”を雇っており、現在、新しい人材を探しているという事態が発覚し、この街に不穏な空気を巻き起こしている。

 グレイザーのライバルにあたるプロデューサーは、こう言う。「私だって脚本を(代わりに)読んでもらう人を頼むことは出来るが、グレイザーの様に“人生”を代行してくれる人を探すことはできないね」。また、ニューヨーカー誌でさえ、プロシアの国王フレゼリク2世を引き合いに出し(注:フレゼリク2世は北方七年戦争の際、有能な執事官の貢献で和平締結を結ぶに至っている)、グレイザーの位置を皮肉に称賛している。

 本当のところ、グレイザー本人は、かなり研究熱心な男で、ある種の “住み込み家庭教師”的な人材をお抱えにしていることは、友人たちの間では周知の事実であった。その家庭教師は、彼が難解な問題にぶつかった時に答えてくれたり、好奇心を刺激するような人々に会わせてくれたりする。例えば、冒険家や歴史家といったような人たちにも。

 彼に会うといつも、質問攻めでがんじがらめにされ、意味不明の愉快なやりとりで盛り上がる。例えば私が「ブライアン、最近どうだ?」と尋ねると、彼は「ヴェトナムな感じだ。あなたは?」と返すといった具合だ。他のプロデューサーたちがビジネスの噂を持ち出すと、グレイザーは突然、自分の気に入っている絵画やロシアの歴史的事件について饒舌に語りだしたりする——こういった話は、恐らく彼が最近になって懇意にしている “発想の権威”から学んだものなのだろう。

 このような知的情緒不安を見下す者もあるかも知れないが、私は、グレイザーのこの性癖から恩恵を受けることが出来るであろう人たちも知っている。それは、以下の様な人々である。

ブリトニー・スピアーズとアラン・ローゼンバーグ
ブリトニー・スピアーズとアラン・ローゼンバーグ
●サム・ゼル:シカゴのコングロマリット経営者であるゼルは、ロサンゼルス・タイムス紙の新しい経営者として、スカトロ表現的メッセージを次々と自分の部下に撒き散らした。彼に“文化的アドバイザー”がいれば、メッセージを明確にすることができるだろうし、彼の視野ももっと広げることが出来るだろう。

●ボブ・シェイ:長年ニューラインの代表を務めてきたこの人物は、タイム・ワーナーがこの華々しい会社を没収したことにより、名目上、手持ち無沙汰になっている。そもそもニューラインの遺産は、その予想のつかないところに魅力があった。“Harold and Kumar Go to White Castle”(注:10代後半から20代前半の若者を対象にしたコメディ映画。日本未公開)のような作品から 『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のようなものまで生み出してしまうのだ。もし彼にご意見番がいたら、短気なシェイを落ち着かせて、新しい展望を発見する手助けが出来るかも知れない。

●アンソニー・ペリカーノ:重い懲役に直面し、このハリウッド御用達探偵は、必死に自己弁護を試みているようだ。しかし彼は、かつての雇い主でもある弁護士団に圧倒されそうになっている。彼らの手法は、法律より脅迫を使うところにある。ペリカーノは先日、処女小説を書き終えた。それを読むと、彼自身も“文化的アドバイザー”から知的なコメントをもらう準備が出来ていそうだ。彼の法的戦略を鑑みるに、彼はこういった教えを追及する時間はたっぷりあるのではないだろうか。

●ジョン・マローン:かつてのケーブル王が、近々バリー・ディラーからIACの支配を引き継ぐかもしれない。だが、ディラーの戦略的主導権に当惑させられていた者が多いように、マローンの指導力に不安を抱いている者もたくさんいる。素晴らしい革新者であるディラーは、マローンにとっては、発想のアドバイザーになるのではないか。

●アラン・ローゼンバーグ:米俳優組合(SAG)の強硬派組合長は、強引な方針を貫くようで、業界で活躍している俳優たちに、自由な時間をたくさん与えてくれることになるかもしれない。俳優組合は知的レベルを上げてくれる家庭教師団をお抱えにすればいい。脚本家組合のストライキ中にピケを張っていた面々の中には、なんだか哀れな者もいた。深刻な顔をしながらドーナツをくわえていたり、経済的影響について語り合ったりしていた様子が、だ。俳優たちは、ドーナツではなく出張シェフでも雇うのかもしれないが、そいうところにこそ、家庭教師が役に立つだろう。

●ブリトニー・スピアーズ:個人的成長の必要性を感じている映画プロデューサーがいたら、ブリトニー世代の若者たちは皆、そのプロデューサーを見習ってはどうか? ダイエットやお洒落のカリスマたちをもてはやしている場合ではない。グレイザーにはどうやら新しい家庭教師候補が大勢いるらしい。この知性の宝庫のような人物が新しい機会を得るのを見るのが私は楽しみなのだ。この機会、さしずめ“知性的リハビリ”とでも呼ぶか。

 もしかするとグレイザーの製作会社イマジン・エンタテインメントは、その知性の宝庫を拡大させようと考えるかもしれないがね。

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