
白井久也
1996年東京大学経済学部経営学科卒業後、数々の証券会社を経て、2005年5月にモルガン・スタンレー証券㈱に入社。コーポレート・クレジット部にてプリンシパル投資業務に従事。特に、メディア・エンタテインメント・コンテンツ業界とのネットワークを生かし、当該業種への幅広い投融資を検討・実行。今般、メディア・エンタテインメント・コンテンツ業界の分野に特化したブティック型の投資および金融サービスを提供するホワイト・ノーツ( http://www.whitenotes.jp)を設立。
1996年東京大学経済学部経営学科卒業後、数々の証券会社を経て、2005年5月にモルガン・スタンレー証券㈱に入社。コーポレート・クレジット部にてプリンシパル投資業務に従事。特に、メディア・エンタテインメント・コンテンツ業界とのネットワークを生かし、当該業種への幅広い投融資を検討・実行。今般、メディア・エンタテインメント・コンテンツ業界の分野に特化したブティック型の投資および金融サービスを提供するホワイト・ノーツ( http://www.whitenotes.jp)を設立。
金融側から見たエンタテインメント・コンテンツ業界 - 宝くじ、博打、水物
会社を設立して以来、数々のファイナンシャル・アドバイザリー業務(資金調達のお手伝い)を行っているが、打合せの際によく金融側の担当者から「この業界は博打だから……」とか「宝くじのようなものだ」と言われてしまう。その担当者自身、不確実性の高いと言われるバイオ・ベンチャーやハイテク系の企業に対する出資など幾つも行っているが、そんな中でもコンテンツ系になると、より一層「水もの」という印象が強くなるようだ。弊社が実際に経験した業務実績を通じて、この「水もの」と言われる理由を検証していくと、大きく2つの原因が見えてくる。
① まずは、よく言われていることであるが、過去のパフォーマンス実績が開示されていないというポイントが考えられる。
特に、失敗した事例に関する情報開示が極めて少ない。開示されている情報のみを抽出して業界全体のパフォーマンスを検証すると、実際とはかけ離れた驚くほどの素晴らしい実績となってしまう。
例えば「映画」を例にすると、ある監督Aの作品に出資を検討する場合、出資する作品が何%の確率でヒットするか、ということを検証することができない。監督Aが過去に2作品のヒットを生み出したとする。しかし、2作品のヒットを生み出した裏側で、20本の失敗作品があったのか、3本の失敗作品しかなかったのかで同じ2作品に対する出資を検討する場合にも、ハードルは全く異なってくる。
ただし、20本の失敗作品がある場合でも、出資できない訳ではない。ヒットする確率が「2/(20+2)」となるだけで、その分、高い(極めて高い)利回りを要求すれば投資商品になる。問題なのは、このような20本の失敗作品があるのか、3本の失敗作品があるのかの情報がない(=不確実性)ことである。ヒットする確率「2/●●」の●の部分が分からなければ、「水もの」と言われてもある意味、仕方がない。
だが、●の部分についても、徐々にではあるが情報開示され始めているのではないか。過去のデータベースを活用して、統計的なアプローチで●の部分を分析するようなプロフェッショナルな会社もある。そういったデータベースを活用しながら、不確実性を排除していくことでこの問題を少しずつ解決することができるように思われる。
② 次に、収支計画や事業計画などの基本的なビジネスに関する計画に根拠が少ないポイントが考えられる。
収支計画などの計数管理のような業務は、ある意味とても地味な業務だと思われがちだが、せっかくの作品がどのくらい優れたパフォーマンスを出せるかを示すレポートでもある。そこで計画した数値目標を達成することが、ビジネス化に向けた第一歩であり、金融側は、この事業計画が現実的かどうかに神経を集中する。おそらく、現実的な事業計画を作成することができるかどうかが、資金調達をする際にもっとも大切なポイントであると言っても過言ではない。
①とは違い、このポイントは、自身の努力で解決できる問題でもあり、一番基本的な問題でもある。事業計画の作成ばかりに時間を取られて、肝心のコンテンツ製作に時間が割けないということが起こっては、本末転倒だ。ただ、事業計画を検証して、何通りかのケース・スタディを行っていくことによって、現実的な計画か否かが分かってくることも事実である。
①のデータベースの整備については、自助努力のみでは解決できない問題であるが、係数管理や事業計画については、自助努力で解決できる。弊社としても、その部分をサポートしていくことが、少しでも投融資環境の整備に繋がっていけばと思う。
① まずは、よく言われていることであるが、過去のパフォーマンス実績が開示されていないというポイントが考えられる。
特に、失敗した事例に関する情報開示が極めて少ない。開示されている情報のみを抽出して業界全体のパフォーマンスを検証すると、実際とはかけ離れた驚くほどの素晴らしい実績となってしまう。
例えば「映画」を例にすると、ある監督Aの作品に出資を検討する場合、出資する作品が何%の確率でヒットするか、ということを検証することができない。監督Aが過去に2作品のヒットを生み出したとする。しかし、2作品のヒットを生み出した裏側で、20本の失敗作品があったのか、3本の失敗作品しかなかったのかで同じ2作品に対する出資を検討する場合にも、ハードルは全く異なってくる。
ただし、20本の失敗作品がある場合でも、出資できない訳ではない。ヒットする確率が「2/(20+2)」となるだけで、その分、高い(極めて高い)利回りを要求すれば投資商品になる。問題なのは、このような20本の失敗作品があるのか、3本の失敗作品があるのかの情報がない(=不確実性)ことである。ヒットする確率「2/●●」の●の部分が分からなければ、「水もの」と言われてもある意味、仕方がない。
だが、●の部分についても、徐々にではあるが情報開示され始めているのではないか。過去のデータベースを活用して、統計的なアプローチで●の部分を分析するようなプロフェッショナルな会社もある。そういったデータベースを活用しながら、不確実性を排除していくことでこの問題を少しずつ解決することができるように思われる。
② 次に、収支計画や事業計画などの基本的なビジネスに関する計画に根拠が少ないポイントが考えられる。
収支計画などの計数管理のような業務は、ある意味とても地味な業務だと思われがちだが、せっかくの作品がどのくらい優れたパフォーマンスを出せるかを示すレポートでもある。そこで計画した数値目標を達成することが、ビジネス化に向けた第一歩であり、金融側は、この事業計画が現実的かどうかに神経を集中する。おそらく、現実的な事業計画を作成することができるかどうかが、資金調達をする際にもっとも大切なポイントであると言っても過言ではない。
①とは違い、このポイントは、自身の努力で解決できる問題でもあり、一番基本的な問題でもある。事業計画の作成ばかりに時間を取られて、肝心のコンテンツ製作に時間が割けないということが起こっては、本末転倒だ。ただ、事業計画を検証して、何通りかのケース・スタディを行っていくことによって、現実的な計画か否かが分かってくることも事実である。
①のデータベースの整備については、自助努力のみでは解決できない問題であるが、係数管理や事業計画については、自助努力で解決できる。弊社としても、その部分をサポートしていくことが、少しでも投融資環境の整備に繋がっていけばと思う。






















