
仕事の活力 今日のごはん
「すごい!」と他人をうならせる仕事をしているクリエイターはみな、食いしん坊だ。映画監督のみならず、建築家やデザイナー、シェフ、ミージシャンなどなど職種関係例外なく、間違いなく、健啖家である。ここでは忙しい毎日を送っているクリエイターたちが、創造的な仕事の合間を惜しんで食べる「ごはん」にフォーカスしていく。おなかが減ること、間違いなし!
「すごい!」と他人をうならせる仕事をしているクリエイターはみな、食いしん坊だ。映画監督のみならず、建築家やデザイナー、シェフ、ミージシャンなどなど職種関係例外なく、間違いなく、健啖家である。ここでは忙しい毎日を送っているクリエイターたちが、創造的な仕事の合間を惜しんで食べる「ごはん」にフォーカスしていく。おなかが減ること、間違いなし!
落合務●おちあいつとむ シェフ。東京・銀座のイタリアン・レストラン〈ラ・ベットラ・ダ・オチアイ〉はオープンして10年たつ今も予約がとれない大人気店。赤坂〈グラナータ〉で日本でのイタメシ人気に火をつけた立役者。

普通のトンカツ屋さんの2枚分くらいの量をペロリ。シェフは肉体労働だ。
10月×日。本日も朝8時起床。1時間くらいで準備を整え愛車—今日は93年型ベンツW2G E600に乗って、銀座一丁目の〈ラ・ベットラ〉に出勤。クルマに乗るために働いてているのヨと常々豪語していたが、最近は大宮や相模大野など、オレが見ている店でちょっと郊外にあるところに30分ほどドライブするだけが、唯一の気分転換になってしまったよ。
10時に店の近くにある事務所に急いで、ディレクションを請け負っている店のメニューを考えたり、ファックスやメールをチェックしたり。あっという間にランチが始まる11時半が近づいて、本店の近くにある〈ベットラ・ビス〉〈ドルチェ・ラ・ベットラ〉に顔を出した後、〈ラ・ベットラ〉に出る。
朝ごはんの賄いは、スパゲティだ。いつもそう。ゆでてソースで合えればいいだけだからな。時々「ホイコーロースパゲティ」みたいな一見不思議なものも、出る。
さあ、そのあとが戦場だ。キッチンで働きながら、「なんか今日はトンカツ喰いてえよな」といってみる。
最後のお客様が帰る14時くらいまで、ずっと立ったまま、休む暇がない。でもオレは、ヒマっていうのは本当につらいことだと、身にしみてわかっているので、忙しいって、まだ欲されていることだと思って、ホントありがたいよ。ヒマってのはいくら努力しても前向きには考えられないからね。
14時過ぎにランチが終わったら、すぐ事務所で午後の打ち合わせ。今日はホテルのイベント、今度乗船する豪華客船「飛鳥」の準備、メニュー制作など、あっという間に時間がたった。
16時頃、また店に戻り、さてそこで昼夜兼用のメインの賄いメシを食べる。リクエストしたとおりのトンカツとトン汁。白いごはん。仕入れ業者がサンプルで置いていったちょっと変ったトマトのサラダもついている。
実はオレの分だけ、別皿にキレイに盛り付けてある。というのも、20人以上のまかないを作るのは、若い子たちの修行なんだ。カツ揚げながら「油の中で火を通すのは85~90%で、あとは余熱で通るようにしておくとトンカツがしっとりする」とか、そういったことを実践で学べるから。盛り付けも勉強になる。ソースも、なんかいろいろ工夫してたりするよ。
そのあとがシエスタだ。小一時間ほど、会社の長椅子で眠る。なんたってディナーは18時過ぎからラストオーダー22時、最後のお客様が帰る23時半ごろまでノンストップだ。ここで寝ないと、後がもたない。
よく「落合さんほどの有名シェフで、店にこんな頻度で出てる人いませんよ」と言われるけれど、オレはこの店があるから、いろんなオファーや仕事がくるんだと思っている。大切なんだ。
店なんかさ、金がありゃ1年に100軒だって作れるんだよ。作ろうと思えばな。でも店ってのは人なんだ。ものづくりとサービス、これに尽きる。そして人を育てるのには何年も時間がかかるんだよ。
そのうち30坪くらいの小さな店—キッチンが20坪、客席10坪くらい—学校兼レストランみたいなのやりたいな、と思ってる。
そうこうするうちに閉店、ただ、今日は集まりがあるんだよな。夜中に集まるみんな、この仕事してるから、遅くても2時にはお開きにしたい、そう思ってる。明日も朝8時起きだからな。
10時に店の近くにある事務所に急いで、ディレクションを請け負っている店のメニューを考えたり、ファックスやメールをチェックしたり。あっという間にランチが始まる11時半が近づいて、本店の近くにある〈ベットラ・ビス〉〈ドルチェ・ラ・ベットラ〉に顔を出した後、〈ラ・ベットラ〉に出る。
朝ごはんの賄いは、スパゲティだ。いつもそう。ゆでてソースで合えればいいだけだからな。時々「ホイコーロースパゲティ」みたいな一見不思議なものも、出る。
さあ、そのあとが戦場だ。キッチンで働きながら、「なんか今日はトンカツ喰いてえよな」といってみる。
最後のお客様が帰る14時くらいまで、ずっと立ったまま、休む暇がない。でもオレは、ヒマっていうのは本当につらいことだと、身にしみてわかっているので、忙しいって、まだ欲されていることだと思って、ホントありがたいよ。ヒマってのはいくら努力しても前向きには考えられないからね。
14時過ぎにランチが終わったら、すぐ事務所で午後の打ち合わせ。今日はホテルのイベント、今度乗船する豪華客船「飛鳥」の準備、メニュー制作など、あっという間に時間がたった。
16時頃、また店に戻り、さてそこで昼夜兼用のメインの賄いメシを食べる。リクエストしたとおりのトンカツとトン汁。白いごはん。仕入れ業者がサンプルで置いていったちょっと変ったトマトのサラダもついている。
実はオレの分だけ、別皿にキレイに盛り付けてある。というのも、20人以上のまかないを作るのは、若い子たちの修行なんだ。カツ揚げながら「油の中で火を通すのは85~90%で、あとは余熱で通るようにしておくとトンカツがしっとりする」とか、そういったことを実践で学べるから。盛り付けも勉強になる。ソースも、なんかいろいろ工夫してたりするよ。
そのあとがシエスタだ。小一時間ほど、会社の長椅子で眠る。なんたってディナーは18時過ぎからラストオーダー22時、最後のお客様が帰る23時半ごろまでノンストップだ。ここで寝ないと、後がもたない。
よく「落合さんほどの有名シェフで、店にこんな頻度で出てる人いませんよ」と言われるけれど、オレはこの店があるから、いろんなオファーや仕事がくるんだと思っている。大切なんだ。
店なんかさ、金がありゃ1年に100軒だって作れるんだよ。作ろうと思えばな。でも店ってのは人なんだ。ものづくりとサービス、これに尽きる。そして人を育てるのには何年も時間がかかるんだよ。
そのうち30坪くらいの小さな店—キッチンが20坪、客席10坪くらい—学校兼レストランみたいなのやりたいな、と思ってる。
そうこうするうちに閉店、ただ、今日は集まりがあるんだよな。夜中に集まるみんな、この仕事してるから、遅くても2時にはお開きにしたい、そう思ってる。明日も朝8時起きだからな。
text by Shoko Yamamoto(Variety Japan TYO) photographs by Yumiko Kinoshita






















