
時代の欲望を表現化した作品

バガボンド
井上雄彦 吉川英治
講談社(~27巻)
井上雄彦 吉川英治
講談社(~27巻)

へうげもの
山田芳裕
講談社(~5巻)
山田芳裕
講談社(~5巻)
今、時代劇がおもしろい。「バガボンド」「へうげもの」「シグルイ」と人気作、話題作が目白押しである。なぜ時代劇がこれほどまでにはやるのだろう。
かつて阿久悠氏がこんなことを語っている。ヒットを生み出すのは闇に向かってボールを投げるようなものだ。ほとんどのボールは闇に消えてしまうが、たまに跳ね返ってくるボールがある。それは時代が抱える飢餓感という壁にぶつかったボールだ。
歌は世につれ、世は歌につれ等と言うがコミックも同じだろう。時代の抱える飢餓感、つまり欲望を見事に表現化した作品がメガヒットになっていく。そしてヒットしたコミック作品は二つの側面を持っている。一つは時代の深層に横たわる欲望を掘り当てていることであり、さらに来るべき時代の預言者であることである。
「ドラえもん」というメガヒット作がある。四次元ポケットから何でも欲しいものを出してくれるドラえもん。テーマは雑な言い方であるが物質的満足感と精神的満足感とは別物であるということだ。
かつて阿久悠氏がこんなことを語っている。ヒットを生み出すのは闇に向かってボールを投げるようなものだ。ほとんどのボールは闇に消えてしまうが、たまに跳ね返ってくるボールがある。それは時代が抱える飢餓感という壁にぶつかったボールだ。
歌は世につれ、世は歌につれ等と言うがコミックも同じだろう。時代の抱える飢餓感、つまり欲望を見事に表現化した作品がメガヒットになっていく。そしてヒットしたコミック作品は二つの側面を持っている。一つは時代の深層に横たわる欲望を掘り当てていることであり、さらに来るべき時代の預言者であることである。
「ドラえもん」というメガヒット作がある。四次元ポケットから何でも欲しいものを出してくれるドラえもん。テーマは雑な言い方であるが物質的満足感と精神的満足感とは別物であるということだ。
来るべき時代の鋭い預言者

シグルイ
南條範夫 山口貴由
秋田書店(~9巻)
南條範夫 山口貴由
秋田書店(~9巻)
連載当初からヒットしたように言われる「ドラえもん」だが、1969年に始まった当時はそれほどの人気作品ではない。この作品がブレイクするのは80年代に入ってからである。
物質的に満たされることだけを人々が追い求めた経済成長の70年代、さらに精神的な豊かさを追い始めた80年代。つまりこの作品は来るべき時代の鋭い預言者でもあったのだ。
弱肉強食を唯一の真理として生きる武蔵の勝負を描く最高峰時代マンガ「バガボンド」がスタートしたのはバブル崩壊、失われた10年が終わりかける1998年。その後、時代は年功序列社会の崩壊、リストラ、実力主義導入と、まさに弱肉強食の様相を呈し始める。
弱者は滅び、強者のみが勝ち残る戦国武将の権力闘争を生き抜く数寄者、織部を描く「へうげもの」。
ついには死こそ美学と語る、残酷時代劇の頂点「シグルイ」。
格差社会の到来、年金崩壊、ワーキングプアーの誕生。まさに時代の激変を予言した時代劇ブームだったが、来年こそは明るい時代の兆しを夢見たいものである。
物質的に満たされることだけを人々が追い求めた経済成長の70年代、さらに精神的な豊かさを追い始めた80年代。つまりこの作品は来るべき時代の鋭い預言者でもあったのだ。
弱肉強食を唯一の真理として生きる武蔵の勝負を描く最高峰時代マンガ「バガボンド」がスタートしたのはバブル崩壊、失われた10年が終わりかける1998年。その後、時代は年功序列社会の崩壊、リストラ、実力主義導入と、まさに弱肉強食の様相を呈し始める。
弱者は滅び、強者のみが勝ち残る戦国武将の権力闘争を生き抜く数寄者、織部を描く「へうげもの」。
ついには死こそ美学と語る、残酷時代劇の頂点「シグルイ」。
格差社会の到来、年金崩壊、ワーキングプアーの誕生。まさに時代の激変を予言した時代劇ブームだったが、来年こそは明るい時代の兆しを夢見たいものである。
文:熊田正史
京都精華大学マンガ学部マンガプロデュース学科教授。「ヤングサンデー」「スペリオール」誌などの編集長を経て現在に至る。中古バイク屋のオヤジを夢見つつ、漫画家の卵を育てている。






















