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最もハリウッド俳優に信頼される男、今の映画界の内幕を語る
イギリス人がハリウッドを制す日!?

2008/04/09
(c) 2007 Universal Studios. All Rights Reserved.
(c) 2007 Universal Studios. All Rights Reserved.
最後に、視点を俳優から作品に移してみよう。
アカデミー賞にノミネートされた映画は、アメリカでヒットするのか?
そもそもイギリス映画はアメリカでどう捉えられているのか?
日本で“イギリス映画好き”がいるように、
アメリカの観客も「これはイギリス映画」と意識して観ているのか?
そのあたりをバラエティUS誌副編集長・ティムに
もう少し聞いてみることにする。


アメリカで成功したイギリス映画にはどんなものがありますか?そして、その成功の理由は?


アメリカで一番興行的に大ヒットするのは、やはりハリウッド映画なんですよ。『トランスフォーマー』とか『スパイダーマン』とか。でも、イギリス映画は賞がらみで成功する傾向があります。『つぐない』とか、『クィーン』とかそういったたぐいのイギリス映画です。

 多くのアメリカ人はイギリス映画をあまり見ません。たとえば、10年ほど前のイギリス映画で『秘密と嘘』 という作品がありました。これはアメリカでもヒットしたのですが、アメリカでこの映画を見たのは、ある特定のタイプの観客でした(註5)。でも、『スパイダーマン』を見るような観客は、見なかったんですね。最近はイギリス映画はアメリカでは大きなヒットは出していませんね。

 でも、最近の映画は、インターナショナルな形で作られていますからね。『アラビアのロレンス』は1962年の映画ですが、プロデューサーはアメリカ人で、監督とキャストのほとんどがイギリス人。撮影監督もイギリス人でした。イギリスでは、これはイギリスの作品だと思っているし、アメリカでは「いや、これはアメリカ映画です」と思っている。みんなが『アラビアのロレンス』は自分の国の映画だと思いたい。このように色々な国が共同で制作したり、出資したりする映画が多いのです。

 ジュリア・ロバーツヒュー・グラント出演の『ノッティングヒルの恋人』もそうですね。アメリカ人とイギリス人のスターが主演し、撮影はイギリス、監督もイギリス人。見た目はものすごくイギリス的な映画でした。でも制作資金の多くはアメリカから出たんです。だから一口に「イギリス映画」と言っても、なかなか難しいんですよ。もちろん、小さなイギリス作品だったら別ですけど。
ヒュー・グラント
ヒュー・グラント

最近イギリス英語をしゃべる男性タレントが、かっこいいとされている気がするんですけど。


イギリス英語は本当にたくさんの種類のアクセントがあります。主に上流階級のアクセントと労働者のアクセントがあります。イギリスの上流階級のアクセントを聞くと、アメリカ人は多少コンプレックスを感じる。でも、北部やリバプールや、ロンドンの東部などの労働者クラスのアクセントには、それは感じない。むしろ、多くのアメリカ人にとって、イギリスの労働者階級のアクセントは魅力的に聞こえるんじゃないでしょうか。

とくにかっこいい男性が使うと、若くて、クールでヒップな感じがすると。ははあ、だから、最近アメリカのテレビ番組の司会に起用されたイギリス人の若い男性(註6)が、「アメリカ人の女の子の気を弾くために、わざとイギリス英語のアクセントを強くしたりするよ」と言ってたんですね。

ところで、最近アメリカでイギリスのファンタジー小説が映画化されてヒットしていますよね。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに始まり、『ハリー・ポッター』シリーズもそうですし、『ナルニア国物語』も、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』もそうですよね。そのヒットの理由は?

イギリスの作品だからということではなく、良い作品だから成功したんでしょうね。トールキンの「指輪物語」がイギリスの小説だと知らないで読んでいるアメリカ人もいますよ。でも、やはり、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッター』がヒットしたから他が続いたんですね。あの2作品があれだけヒットしなければ、『ナルニア』もつくられなかったでしょう。そして、たまたまヒットした『ロード』がイギリスの作品だったので、ハリウッドは「もっとこの路線で行こう。イギリスのファンタジーものはヒットする」ということになったのです。成功は成功を呼ぶので、ナルニアもヒットしたわけです。

 また、もし『ロード』や『ハリポタ』がカナダの作品だったら、今ごろは、「カナダのファンタジーもので行こう」ということになっていたでしょうし、フランスの作品だったら、「フランスのファンタジーものだ!」ということになっていたでしょう。


『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』

アメリカで成功しているイギリス人監督も多いですよね。サム・メンデスとか。彼らはどうして成功したと思いますか?

それは良い質問ですね。ちょっと考えさせてください。彼はイギリスの舞台出身の監督ですね。でも、この流れは今に始まったわけじゃない。ハリウッドがスタートしたばかりにも、主にヨーロッパから、大勢の映画人を連れてきました。たとえば、ビリー・ワイルダーとか。英語をしゃべらない人もいましたよ。スウェーデンのビクター・シーストロムとか。また、チャーリー・チャップリンもイギリス人だったんですよ。ハリウッドに長く住んだので、アメリカ人だと思っていた人も多いのでは? ハリウッドには、そういった歴史があるんですよ。

 ポール・バーホーベンもオランダから来ましたね。で、彼は、自国では、小さなパーソナルな映画をつくっていたのに、ハリウッドに来てからは、『ロボコップ』や『ショーガール』などをつくりましたからね。イギリスから監督を連れてきたことは多いですね。でも、それによって作品がイギリス的になるかというとそんなことはなく、個人的な才能が評価されたんだと思います。
サム・メンデス監督
サム・メンデス監督

Text and Interview by Atsuko Kohata(Variety Japan LA)
Editorial Direction by Shoko Yamamoto(Variety Japan Tokyo)

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