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日本のアニメ&マンガがハリウッドを制覇する日!? 【2】

2008/07/03

次なるヒットを求めて: グラフィック・ノベルやマンガに注目するハリウッド

グラフィック・ノベル “Wanted”
グラフィック・ノベル “Wanted”
 ハリウッドはいつも新たなキャラクターを求めて、アメリカのコミック出版社を探求してきた。

 アメリカには数多くの有名なヒーローを生み出してきた2大マンガ出版社マーベル・コミック(スパイダーマン、X-メン、ハルク、ファンタスティック・フォー、アイアンマンなど)とDCコミック(スーパーマン、バットマン、ベオウルフなど)がある。しかし、その大手出版社のヒーローが出尽くした今、ハリウッドはそれ以外のアメリカの小規模なコミック出版社に目を向ける。そこで発見したのが、グラフィックノベルだ。

 アメコミが主に子どもやティーンを対象としているのに対して、グラフィックノベルは、大人向けに描かれたコミックだ。社会的や歴史的なテーマを扱うこともあり、その多くは、芸術性の高いカラー絵本のようなつくりになっている。


『300』も原作はグラフィック・ノベル
『300』も原作はグラフィック・ノベル
 ギリシャのスパルタ兵士たちの戦いを映像美満載で描いた映画『300<スリーハンドレッド>』も、原作はDark Horse Comic 社から出版されたフランク・ミラーのグラフィック・ノベルだ。

 この映画のヒットの影響で(米国内興行収入は2億1100万ドル、世界興行収入4億5700万ドル)、Dark Horse Comic社のようなアメリカの中規模&小規模なコミック出版社の作品が映画業界から注目されるようになった。たとえば、コミック出版社Top Cow のグラフィック・ノベルの『ウォンテッド』はアンジェリーナ・ジョリージェームズ・マカヴォイ主演で映画化され、アメリカで公開中だ。また、Oni Pressのグラフィック・ノベル”Whiteout”はケイト・ベッキンセール主演のサスペンス・アクション映画になる。そのほか、Platinum Studios, IDW、イギリスのヴァージン・コミックスなどのコミック出版社の作品が軒並み映画化される予定だ。

日本のマンガはアイデアの宝庫

英訳されてアメリカの書店に並ぶ日本のマンガ
英訳されてアメリカの書店に並ぶ日本のマンガ
 そんななか、ハリウッドの業界関係者たちは、日本のマンガを発見した。マンガは、アメリカのティーンエイジャーの間では数年前から当たり前の存在になっていた。しかし、「スピード・レーサー」や「ガッチャマン」のテレビアニメは知っていたハリウッドのプロデューサーたちも、「マンガ」の存在に気づいたのはごくごく最近のことだ。

 英訳され、一般書店に並ぶようになったのが、2000年に入ってからということもあり、アメリカの30代後半以上は、ほとんどマンガを読んだことがない。そんな彼らに、「日本のマンガは日本版アメコミのようなものだ」と説明すると、20ページほどのカラー刷りのアメコミの日本語版を想像されてしまう。アメリカ人にとって、200ページ近くあるマンガの単行本や、それが何巻も続いていること、また「少年ジャンプ」のような分厚いマンガの週刊誌や月刊誌があることは想像の範中を超える。初めてマンガを目のあたりにした時は、さぞ新鮮に映ったことだろう。

 アメリカで日本のマンガの単行本の英訳やマンガの月刊誌の英訳が一般書店に並ぶようになったのは、2002年以降のことだ。

 「日本のマンガ(単行本)を手に取ったハリウッドの業界関係者たちは、その情報の多さに驚いて、『すごいぞ、こんなにたくさんの映画の素材があるぞ!』と喜んだわけです」と、バクスター氏は振り返る。

 さらに、「日本のマンガほど、種類も品数も豊富なものはどこにもないですからね。また欧米のコミックの読者が主に子どもや青年が中心なのに対して、日本の場合は子どもから大人までと、読者層が大変広い。日本のマンガは、ひとつの大きな文化になっていますからね」と付け加えた。

マンガに目をつけるハリウッドの映画人たち

ハーヴェイ・ワインスタイン氏
ハーヴェイ・ワインスタイン氏
 新たな映画の素材を探すため、スタッフにマンガを読ませているというワインスタインCo.のハーヴェイ・ワインスタインも同意見だ。

 「日本のマンガは感動的で、オリジナリティーに富んでいて、ユニークなものが本当に多いです。これは映画にするのにぴったりなんです。手塚治虫の『鉄腕アトム』もそういった意味で映画にぴったりのすばらしい作品だと思いました」

 また、「マンガの魅力に本当にはまってしまいました」と語るのは、『チャプター27』などを手がけたハリウッドの独立系プロデューサー、アレクサンドラ・ミルチャン氏だ。

 「まるで、おいしそうなキャンディーがいっぱい並んでいるお菓子屋さんに入ったみたいに、目移りしてしまう。それに1冊読んだら、次から次へと読みたくなります。気がついたら、何100冊も読んでいて、そのどれもが面白いじゃないですか。いったいどれを映画化したらいいのか。ポイントは、自分の撮りたい映画に一番向いているのはどれかということですね」

ジェイソン・ホフス氏
ジェイソン・ホフス氏
 アメリカでの日本のマンガ出版社の最大手ビズメディア(Viz Media)の映画製作会社VIZ Productionsの代表ジェイソン・ホフス氏は、「日本のマンガのキャラクターは、週刊誌や月刊誌などの連載で、読者と作家の間で長い時間をかけて練り上げられている。そのため、大変深くキャラクターが描かれているし、魅力的だ。そんなキャラクターは、映画の主人公としても成功しやすい」と説明する。

 面白い原作はないかと目を光らせているハリウッドのプロデューサーたちにしてみれば、マンガは映画の素材の宝庫なのだ。

 確かに世界のどこを見渡しても、日本のマンガのように種類も数も読者層も豊富なものはない。そして、歴史も長い。手塚治虫のように、単行本で何巻も続く長編の物語をすでに1960年代に描いていた作家はアメリカにはいない。そういう意味では、日本のマンガ文化は世界の中でもかなり先端を行く存在だ。

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