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エコフレンドリーなアカデミーの裏の顔

2008/02/21

スターたちが華々しく歩いた道のあとに、花を咲かせること—— それがアカデミー賞の新たな使命

 アカデミー賞とひと口に言っても、それは授賞式一日のことではない。そのクライマックスの夜のために、数カ月も前から準備が始まり、ハリウッドの街全体を巻き込んだイベントが日々繰り広げられているのだ。

 映画芸術アカデミー主催のノミネート関係者たちを集めたパーティ、メディアを集めたイベント、各映画会社主催のパーティ、スターが主催するパーティなど、イベントの数は無数にある。それらのイベント会場には、数百人から数千人規模のゲスト、イベントを支える大勢のスタッフの他、世界中からメディアも集まる。

 彼らが移動するための車、食料、そして事務作業に使用された紙や電気……など、嵐のあとに残されるものは、ゴミ、紙、無用になった大道具、リネン、そして二酸化炭素……。どれだけのエネルギーと物資が毎年この時期に消費されているかを考えると、たちまち、 “ハリウッド=廃棄モンスター” といったイメージが浮かび上がる。

アカデミー賞関連イベントのエコフレンドリーな取り組み

 環境問題への取り組みが表面化してきたハリウッドにおいて、アカデミーは昨年初めて“環境にやさしいアカデミー賞”を実行した。環境保護団体 Natural Resources Defense Council(自然資源保護委員会)のアドバイスを受け、イベント会場となるホテルなどとの協力体制の下に、細部に至るまで実に驚くべき配慮を見せた。

 その取り組みの一部を10個のキーワード別に見てみよう。

キーワード1:再生紙

 まずは、一般的なエコ活動である、再生紙の使用。これはアカデミー賞のノミネートや受賞者の投票用紙、授賞式や晩餐会への招待状、授賞式のパンフレット、会場で使用されるナプキンなどなど、あらゆる紙を対象にしている。

キーワード2:リサイクル

 そして、リサイクルの実行。会場の大道具や家具などはリースするか、または、もともとあったものをベースにして制作し、再利用が可能な状態にしておく。当日会場を彩る花も、たとえ切花であっても使用後には花屋へと返されるという徹底ぶり。

キーワード3:材料

 セットを作る時の材料の吟味も大切なプロセスの一つ。ペンキや糊は、揮発性有機化合物の含有量が少ないものを使用している。

キーワード4:エネルギー

 また、エネルギーへの配慮は重要な問題でもある。アカデミー協会は、公共機関との協力でエネルギー消費量や費用節約の計画を練るだけでなく、授賞式やレッドカーペットのインタビュー、晩餐会などの開催時と映像を放映する際に放出される二酸化炭素を、環境問題対策の団体とオフセットする、という取り組みを進めている。
再生紙を利用した、アカデミー賞の投票用紙
キーワード1:再生紙を利用した、アカデミー賞の投票用紙
今年のアカデミー賞の授賞式のセット
キーワード2:今年のアカデミー賞の授賞式のセット
毎年、再利用されているオスカー像 特別なペンキでお色直しされ、今年も登場
キーワード3:毎年、再利用されているオスカー像 特別なペンキでお色直しされ、今年も登場

さらに、アカデミーらしく

キーワード5:オーガニック

 環境問題と共に、ヘルシー嗜好でもあるセレブたちのための式典とあって、晩餐会で出される豪華な食事の材料はほぼ100%がオーガニック。野菜だけでなく、魚や乳製品、オスカー像を模ったチョコレートなどもそうだ。これも、実は立派なエコ活動。

キーワード6:寄付

 また、授賞式後の晩餐会に出席する1,500人のゲストのために十分すぎるほど準備され、余ってしまった食事は、ロサンゼルスのエンジェル・ハーヴェストという団体に寄付され、一部の市民が堪能できることになっている。チャリティ活動に熱心なハリウッドらしい裏側だ。
晩餐会のお菓子たちもオーガニック
キーワード5:晩餐会のお菓子たちもオーガニック
余った食事は、ロサンゼルス市内の施設へと運ばれる
キーワード6:余った食事は、ロサンゼルス市内の施設へと運ばれる

こだわりはまだまだ続く

キーワード7:竹串

 たかが竹串といえども、アカデミーは無駄にはしない。オードブルの一つとして出される “串” は、日本では竹製が一般的だが、アメリカでは余り使われていない。しかし、そこはアカデミー。リサイクルし易いという理由から、竹製のものを使用しているという。たとえオスカー受賞者と言えども、“串”すら捨ててはいけないのだ。

キーワード8:とうもろこし

 さらに、会場で配られる水は、ミネラルウォーターというだけでなく、容器にまでこだわりがある。通常、ペットボトルは石油から出来ており、埋め立て廃棄された場合は、分解されるまでに1000年かかると言われている。だが、アカデミー賞が採用した水は、バイオータ社によるもの。同社によると、この水の入ったペットボトルは、とうもろこしから出来ており、約10週間ほどで分解が可能だという。

 同様に、スタッフたちに配給される昼食を入れたボックスも、とうもろこしを原料とした容器を使用している。
キーワード8:バイオータ社の水は、とうもろこしから出来た容器に入っている
キーワード8:バイオータ社の水は、とうもろこしから出来た容器に入っている

セレブたちへのアピールも万全

キーワード9:ゴミの分別

 言わずもがな、もちろんゴミの分別だってばっちり。

キーワード10:呼びかけ

 そして、アカデミー協会は、スターたちに、この取り組みについて理解してもらうことで、さらなる影響を広げようと考えているようだ。楽屋や控え室には、環境についての雑誌を置いたり、会場の化粧室にも、「環境問題へ配慮しています」という旨のアピールを忘れないアカデミーである。

 この他にもまだまだ、挙げればきりがないほど詳細に至るアカデミー協会のエコへの取り組み。その具体的な内容の一部を分かっていただけただろうか。

 今年も、環境にやさしいアカデミー賞のイベントが、日々、進行中だ。

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