知識に基づいた冒険—エリザベスの衣装のバイブルを紐解く
「もちろん、細部まで研究し、深い知識を得ることで初めて、その知識を基に何を選択するべきかがわかってくる。その時代に溶け込み、そこから今の時代へと翻訳し直すことが出来るのです。信憑性も忘れてはいません。参考になった二冊の文献は、ジャネット・アーノルドの “Queen Elizabeth’s Wardrobe Unlock’d” という本と、ロイ・ストロングの “Gloriana: The Portraits of Queen Elizabeth I”という本です」ターニングポイントはバレンシアガの衣装との出会い
「デザインの方向性を決めるのにターニングポイントとなったのは、バレンシアガによる衣装でした。彼は40年代にスペインの女優アリス・コセアのために16世紀の貴族の衣装をデザインしたのですが、それが私のインスピレーションになりました。クチュールとエリザベスの融合です」エリザベスの権力を衣装で表現
「なぜなら、いろいろ研究するうちに、エリザベス一世という人は、見た目の持つパワーを意識していたということがわかったからです。彼女が当時のクチュールを自分の権力の象徴に利用していたということを、観客には、歴史的な詳細にこだわることなく、映画から感じて欲しかったのです。例えば、ドレスが大きく広がっていると、周囲の人は簡単には彼女に近づけない、というような権力の示し方もそうです。バレンシアガの衣装をインスピレーションにしながらも、当時どういう素材を使用していたか、また、どうやって縫製したかなどを調べ、今の時代に翻訳していく、という作業を繰り返しました。デザイン画をほとんど描かず、直接体に合わせるようにして作り上げていく。時々、「アレっ?」というようなこともあったけど、とてもワクワクしたわ(笑)」


























