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マリオン・クロムファス

2007/11/12

日本人の中だけで完結している映画が増えている

 
 
 「北野武監督の『HANA-BI』が、1997年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を取ったことが、ヨーロッパでの日本映画ブームの引き金になりました」
 ドイツはフランクフルトで、“Nippon Connection”という日本映画に特化した映画祭を開いているマリオン・クロムファスは言う。
 「いまではずいぶん増えましたが、まだヨーロッパではアジア系の映画を中心に据えた映画祭は珍しい時代。 それでも続けていくうちに、ドイツでは、ここで上映した数本がミュンヘン、ハンブルグなど数ヵ所でも上映されるようになり、日本映画に親しむ機会が増えています」


アジアの中で日本はちょっと
置いてきぼりになっているかも

“Nippon Connection”は2000年にファンドを使って立ち上げられた。当時、学生であったマリオンは、北野監督の『ソナチネ』で衝撃を受け、仲間と日本映画の上映を一回限りで計画。それが“Nippon Connection”の始まりだ。
 「好きな作品は豊田利晃監督の『ポルノスター』や岩井俊二監督の『PiCNiC』とか。深作欣二監督作品や三池崇史監督作品、『女囚さそり』シリーズも素晴らしいわ」

 映画祭の常任メンバーは、マリオン以下5人。常時、ボランティア含め30名ほどのスタッフを擁し、映画祭開催中には約150人にも膨れ上がる。
 「イタリアやフランスは文化の国。でもドイツは産業がメインで、文化にお金を回そうという発想が少ないうえに、国内で16もフェスティバルがあるので、まだ歴史の浅い“Nippon Connection”は、なかなか厳しい立場にあるんです。でもフランクフルトやデュッセルドルフの日本企業や日本領事館、ジャパンファウンデーションが出資してくれるので、なんとか続けてくることができました」
 とても感謝している、と書いておいてと念を押す。最近は、経済発展著しい、中国系企業がドイツ国内でも成長を遂げ、それに伴い中国映画も注目されており、同じ映画祭を開くのでも中国映画祭にはすぐお金が集まるのだそうだ。
 「アジアの中で、日本はちょっと置いてきぼりを食っているように見える」と彼女は言う。

ドイツと日本、
もっともっと交流させていきたい

 “Nippon Connection”は、00年立ち上げ後、一年のブランクを経て、02年から毎年行っている。今年4月には5日間で50作品を紹介し、1作品約4回、計400上映を行った。日本からのゲストは40名。その中で、“Nippon Connection”が正式に招待した監督はたった5名。
 「海外で上映するチャンスだし、若いヨーロッパの観客とディスカッションできると、一度ご招待した後、毎年自費で来てくれる監督が増えています。また監督同士で仲良くなって、一緒に近隣の町に遊びに行ったりもされていて、春のドイツを満喫されてますね(笑)」
 映画祭では映画だけでなく、“NIPPON CULTURE”というコーナーを展開し、「邦楽のDJパーティ」「酒のワークショップ」「指圧」「そば」「カラオケ」などさまざまな日本文化にも親しめるようになっている。
 「今年、ショートフィルムを撮ったドイツの若い監督たちと日本の監督の対談を行ったんですが、そういうふうにもっと交流させていきたいと思います。これが乗じて、日本でも「ドイツ・コネクション」が開催されるようになったら、本当に素晴らしいですよね!(笑)」
 そんな彼女の深刻な悩みはこれだ。
 「ここ近年、上映作品を日本や海外の映画祭に選びに行っても、なかなかこれはという作品に出会えない。今年の選考のために150本見ましたが、どれも日本人の中だけで完結している作品ばかりで、どの国の人が見ても共感できる普遍的な映画が少ないんです。はっきり質の低下も感じています」
 日本映画が活況を呈していることも一因しているのだろうか? 国内で需要と供給がまかなえるため、日本人のみをターゲットに作られた数々の映画が、 “Nippon Connection”の、日本映画への興味を失わせているのか。
 日本映画への情熱だけで成立させてきた映画祭を、日本映画の“力”で失わせては本末転倒である。

 

Marion klomfass 2000年からドイツのフランクフルトで開催されている日本映画祭「ニッポン・コネクション」のフェスティバル・ディレクター。第20回東京国際映画祭の「ある視点」部門の審査員も務めた。
http://www.nipponconnection.de/

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