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栗田豊通

2007/11/12

タランティーノも驚いた日本映画の伝統的“工夫”

 

撮影の仕事とは
監督が何をしようとしているかを考えること

 相米慎二監督『お引越し』、大島渚監督『ご法度』、ロバート・アルトマン監督の『クッキー・フォーチュン』、フォレスト・ウィッテカー監督の『ホワイト・プリンセス』と、国内外で活躍するシネマトグラファー、栗田豊通に日米の撮影の違いを訊いた。

 「まず、国の違いということ以前に、撮影の仕事というのはその監督が何をしようとしているかを考えることなので、基本的には変わりません。というか監督による違いはある。またシステムの違いや、予算や機材による撮影方法の違いなどはあります。例えば、アメリカはひとつのシーンを撮るのに、アングルを変えて様々なショットを撮っておきます。編集する際の選択肢を、できるだけたくさん作っておくわけです。反面、日本では伝統的に、絵コンテをもとに必要な部分だけを撮影するので、効率的で経済的です」

 『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』の三池崇史監督はどうです?

 「三池さんもまず絵コンテをつくり、必要な部分だけ撮ります。これには出演したタランティーノもびっくりしてましたね。こういう撮り方もあるんだと。これはもうその国の映画産業がどう成り立ってきたかということで、予算の少ない日本映画が幾重にも考えた末の工夫でもあると思います。最近は日本でもアメリカ流の撮り方をする監督が増えてきていると聞いていますが」

アピールよりも友情や互いへの尊敬の念

 日本人がアメリカで成功するには自分をアピールする事が重要だと思いますか?

 「僕はそういう人間ではないし、僕と組みたいと思ってくれる人と仕事ができればいいと思ってるだけなので、日本以上にアピールしてきたということはありません。ただ英語はできないより、できた方がいいですね」

 人とのめぐりあいが大事だと?

 「それにはすごく感謝しています。僕の人生には素晴らしい出会いがありました。これが一番大きいかもしれません。鈴木達夫(『薔薇の葬列 』『太陽を盗んだ男』など)さんという素晴らしい感性を持った撮影監督の弟子につけたこと、アメリカで知り合った人達、フォレスト・ウィテカーとの出会いもそうです。友情や互いへの尊敬ですね。アピールということよりも」

 ひとつひとつの仕事をきちんとやって、自分のまわりに来てくれた人を大切にするということですね?

 「それしかないと思います。アメリカで映画製作に関わっている人は必ずしもアメリカ人ではなくて、いろんな才能を持った人たちが各国から集まっています。それがアメリカ映画の良さにもなっている。フォレストと組んでやった短編“Liquid Mountain”で言えば、フランスや香港やブラジルから来たスタッフがいて、それぞれがアクセントの違った英語を話しながらつくり上げていきました」

 国籍に関係なく“自分”を認めてくれる人との出会いが重要なようだ。


Toyomichi Kurita 1950年、茨城県水戸市生まれ。日本で10年間撮影アシスタントを務め、79年渡米。アメリカン・フィルム・インスティテュート卒業後、故・相米慎二監督の『お引越し』、ロバート・アルトマン監督『クッキー・フォーチュン』、フォレスト・ウィッテカー監督『ホワイト・プリンセス』などで、日米をまたにかけた撮影監督として活躍。今年9月には三池崇史監督作品『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』が公開されたばかり。

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