ヘッダーの始まり

グローバルナビゲーションの始まり
ホームニュース特集(選択中)インタビュー動画コラムレビューランキングフォトギャラリーピックアップ
最新映画情報V ブログ教えて!エンタ業界転職情報フロムジャパンV プラスメールマガジンプレゼント映画データベース
パンくず式ナビゲーション

中田秀夫

2007/12/21

いい映画とは普遍的な人間のエモーションを
きちんと捉えているもの

 『リング』の記録的なヒットによってジャパニーズホラーの旗手となり、2005年には『ザ・リング2』でハリウッド・デビューも果たした中田秀夫監督。『デスノート』シリーズの番外編『L change the WorLd』の仕上げ作業を終えたばかりの中田監督に、日米の製作環境の違いについてきいた。

ワインを飲みながら、
映し出される数字に一喜一憂

 「ハリウッドで映画を作ることのメリットは、プロデューサー的にはビジネスの大きさかもしれないですけど、監督としては、作品がより多くの人に、世界中の人に見てもらえることだと思います。製作に関しても、予算が多いので時間をかけて1本の映画を作ることができます。『ザ・リング2』の場合も三ヶ月半かけて撮影ができましたし、仕上げにも半年費やせました。日本だと仕上げは2カ月くらいでやってしまうので、大きな差があります」

 その仕上げ作業において、ハリウッドで非常に重要な役割を果たすのがテスト・スクリーニングと呼ばれる試写である。

 「まだ完成していない、編集過程のものを400人くらいの劇場で上映し、アンケートをとりながら彼らの評価を数値化していきます。10回ぐらいやる映画もあるようですけど、『ザ・リング2』の場合は3回だした。僕はテスト・スクリーニングの観客の反応を自分の味方につけようと思っていたので、非常に積極的に彼らの意見を取り入れて編集し直しました。でも、これには悪い面もあると思います。大衆の意見ばかりを基準にすると、最大公約数的な映画づくりになり、監督の個性が全開しているようなエッジの効いた作品は出にくい状態になってしまいます。ハリウッドの人間もわかった上でやっているとは思いますけど、ちょっと数字にこだわりすぎだと感じることはありますね」

 数字に敏感なハリウッドの、さらに印象的なエピソードも。

 「公開初日には、まるで選挙速報のように、映画会社のヘッドオフィスのプロジェクターに次々と映し出される“何時の回に何人入った”という詳細な情報を、関係者が集まって見るんです。みんなでワインかなんかを飲みながら、映し出される数字に対して“THE GRUDGE(『THE JUON 呪怨』)よりちょっと勝っている”とか言いながら一喜一憂する(笑)。ライバル作品の数字も並べてあってね。まるで大統領選挙を見ているかのようで、とてもアメリカ的で面白かったですね」

まず日本でヒットしなければ
海外でのヒットもない

 日本映画が海外でもヒットし、評価されるようになるには、どうすべきか。日米の違いを体感した中田監督だからこそ辿り着いた信念がある。

 「例えば、『L change the WorLd』は海外で上映されることが大前提です。韓国、香港、台湾は2月9日の同日公開ですし、かなりの数の国で公開されるはずです。ただ、海外のお客さんの目を意識して日本映画を作るということはないですね。まずは日本のお客さんに受け入れられないと仕方ないし、日本でヒットしなければ海外でもまずヒットしませんから。僕は国際映画祭で日本以外の観客の反応を体感しているので、受け入れられ方の違いは多少わかっているつもりです。でも、いい映画とは普遍的な人間のエモーションをきちんと捉えているものだと思います。そうした映画を撮るという信念をもっていれば、日本にしかないものを描いても、海外の人にもおもしろがってもらえるはず。日本のおいしいお茶を海外に届ける、という発想と近いかもしれません」

 では、中田監督が目指す、いい映画とは?

 「エンターテイメント性の高い、商品価値の高い作品を作りたいと思ってはいますけど、やっぱりクリエイターとしての自分も満足させたい。自分も満足して、お客さんも喜んでくれるというのが僕の理想です。『L』は、まだ蓋を開けてみていないので観客の反応はわかりませんが、強い手ごたえを感じています。自分を満足させられているかというところでは、かなりいい線いっていると思うんです。そして、これからも国にはこだわらずに、そういう作品を撮られるところに行くつもりです」

 日本とアメリカを股にかけて活躍する中田監督は、そこにこそ自分の価値があるのかもしれないという。

 「日本ではヒットしないハリウッド映画も多くあります。200億かけた作品が、本国ではヒットしても、日本では10億の成績になることも。これにはハリウッドもかなりショックを受けているはずです。逆に、日本のワーナー・ブラザースが配給した『デスノート』の2作目が50億の興収を上げたとなると、それはほってはおけないということに本国でもなってきますよね。きっとワーナー以外のハリウッドの映画会社も、ますますローカルプロダクションを強化する傾向が顕著になるんじゃないでしょうか。もしかしたら、自分の商品価値とはそういうところにあるのかもしれないと思います。“英語も話せる秀夫を使って、アメリカでは英語の映画を撮らせて、日本では日本語の映画を撮らせよう”という。あまり自分のことを商品とは考えたくないですけどね(笑)」

text by Takashi Oka

Hideo Nakata 1961年岡山県生まれ。東京大学卒業。在学中、蓮實重彦の映画ゼミに参加し、大きな影響を受ける。85年、にっかつ撮影所に入社。助監督を経て、92年、テレビ朝日「ほんとにあった怖い話」シリーズの「幽霊の棲む旅館」、「呪われた人形」、「死霊の滝」で監督デビューを果たす。ホラーマニアではないが、監督としての節目には必ずホラーがあり、宿命的なものを感じるという。同年末、文化庁芸術家在外研修員として渡英。主な作品は、95年『女優霊』、98年『リング』『ジョセフ・ロージー/四つの名を持つ男』、99年『ガラスの脳』『リング2』、01年『仄暗い水の底から』、05年『ザ・リング2』、07年『怪談』ほか。現在、最新作『L change the WorLd』の仕上げを終えたばかり。

パンくず式ナビゲーション
広告エリアの始まり

フッターナビゲーションの始まり
フッターの始まり