ヘッダーの始まり

グローバルナビゲーションの始まり
ホームニュース特集(選択中)インタビュー動画コラムレビューランキングフォトギャラリーピックアップ
最新映画情報V ブログ教えて!エンタ業界転職情報フロムジャパンV プラスメールマガジンプレゼント映画データベース
パンくず式ナビゲーション

李鳳宇

2007/12/21

素晴らしい映画を観せるというのは
素晴らしい人を観せること

 『麦の穂を揺らす風』をはじめとするケン・ローチ作品、大ヒットした韓国映画『シュリ』、数々の映画賞を受賞した日本映画『フラガール』『パッチギ!』シリーズなど、クオリティの高い作品を送り出す映画会社として知られるシネカノン。配給だけでなく、映画ファンドを作り、製作や劇場運営(日本のみならず韓国でも)に成果をあげたり、学校を作り、人材を育成たりと、その活動はユニークで幅広い。この秋には韓国映画振興委員会(KOFIC)とともに、有楽町で「韓国映画ショーケース2007」を開催。韓国映画の紹介にとどまらず、両国の映画人、また映画ファンの交流にも一役買う上映会となった。社名はラテン語で、“絶対不可欠な”という意味なのだそう。代表取締役である李鳳宇さんにお話をうかがった。

今や東宝以外は全部インディーズ
いろいろなことを試みる時期

 まず、なぜいま『韓国映画ショーケース2007』なのかを問う。

 「民間の会社はもとより、文化庁、KOFICなど日韓両国が様々な方法で行ってきた映画を見せ合う交流を経て、次の段階へと向かう必要があるんじゃないか。そう考えてKOFICと一緒に立ち上げたのが、この『韓国映画ショーケース2007』です。観せる作業と同時に、お互いの産業のためのお手伝いをする。具体的には、韓国映画業界からプロデューサーや映画の投資家、マネージメント会社を招き、テーマを設けて、これまでなかったタイプのビジネスミーティングを開催するつもりです。パーティでの名刺交換から実のある形には発展させにくい。韓国の映画人は、あらゆる形で日本とコラボレーションしていくことに関心を持っています。でも具体的な方法論がわからない。例えば、日本の小説の映画化権を取るにはいったい誰にアクセスすればいいのかとか、原作料のほかにビデオグラムのロイヤリティが1.75%かかるとか。そういうことを知るすべがない。また韓国では映画ファンドを使う製作が一般的なので、日本の(製作会社、配給会社、パッケージのメーカー、テレビ局、出版社、ネット関連の会社などが出資する)製作委員会方式には戸惑うだろうし、それこそ映画の製作費が日本より高騰している韓国だからこそ、日本のシステマティックな方法を学ぶべきだとも思う。日韓映画人は、いまこそ対話する必要があると思いませんか?」

 結果、韓国映画ショーケースは、具体的な成果をあげ、終了した。
http://www.cqn.co.jp/news/#bnqete0000003syg
http://www.varietyjapan.com/news/movie/u3eqp3000001zark.html


 「日本側ももっと積極的に議論に参加するべきだと思います。話が進んで、いざムーブメントが起きても、いつも日本側の関心が薄くて話がとまってしまう。それはこれまで日本のメジャー、東宝、松竹、東映が有する国内マーケットが大きく、海外市場を切り拓く必要がなかったからですが、今や状況は大きく変わりましたからね。いろいろなことを試みる時期だと思います」

 いま韓国政府はマーケットをさらに拡大すべく、KOFICの支部をロサンゼルスにも開いた。

 「当然の選択だと思います。韓国国内の映画の市場は小さいので、世界に向けて映画市場を拡張していこうという戦略は正しいんじゃないでしょうか。また、その点では日本人よりも汗を流すだろうし、必要性という点でも我々とまったくモチベーションが違うので、相当がんばるんじゃないでしょうか。ハリウッド的な注文も取るだろうし、向こう何年間かでは、ハリウッドで成功する韓国映画も出てくると思います。市場を求めてどんどん出て行くのは当然のこと。この5年10年で日本との差が確実に出てくると思います」

日本人だからこその発想を
映画に活かして世界へ

 現在のところ、日本政府にその動きはない。だが、プロデューサーとして、シネカノンとしての未来に、その余地はないのか?

 「あります。ありますが、初めて『フラガール』をアメリカ人に観せた時、『この映画はアメリカでは全くダメだ』と言われたんです。アカデミー賞の日本代表にもなったのにと半信半疑でしたが、結果はやはりダメ。理由を聞くと、アメリカ人はダメになった町にこだわらない。ダメになったらその町を捨てて違う町に行くと言うんです。それがアメリカ人の美徳で、こだわっている方が卑怯者。新しい土地に行く勇気が正しいと。ハッとしましたね。一方で、イギリス人やドイツ人にはすごくウケる。メンタリティの問題なんですね。ただアメリカで成功させたいと思うなら変えなきゃいけない。日本人もアメリカ人も納得する最大公約数的な形に。でも僕が目指すアメリカでの成功とはそういうことではないんです」

 日本映画の可能性とはいかなるものなのか?

 「よく『シックス・センス』を引き合いに出すんですが、あの映画はM・ナイト・シャマランがインドの青年で、ヒンズーの多神教宗教観を持っているからこそ作りえたもの。死者であるブルース・ウィリスが教会に入るという発想はカトリックではありえないので、ああいうギミックはシャマラン独特のもの。日本映画にもその可能性はあると思うし、そこを何とかやりたい、やれるんじゃないかと思うんです」

 その前に乗り越えなければいけないことも。

 「海外では日本映画の話になると、いまでも必ず黒澤、溝口作品が話題に出るんですが、よく聞いてみると、彼らはその作品に登場した日本人が素晴らしいと言っている。『生きる』なら志村喬演じる主人公の人間性が素晴らしい。だから、心に長く残る。どこの国の映画もそう。『ローマの休日』を素晴らしいと思うのは、グレゴリー・ペック演じるだらしない新聞記者の、正義感であり、アメリカ人的な爽やかさ。観客はそれを美しいと思うわけです。結局、素晴らしい映画を観せるというのは、素晴らしい人を観せるということなんですよ。日本映画は、長らくそれができてない。別にできた人間を描けというのではないんです。例えば、『雨月物語』の登場人物はみんなひどい人ですよね。でも哀れも含め、みな社会を非常に正確に冷静な目で見ている。そういう日本人の凄まじさが描かれているんです。映画は人を描き、人に返っていくというか。難しいんですけどね」

 そこまで答えが見えていても、それを作るのは難しい?

 「難しいですね。今村昌平なんかはそれをやろうとしていた。僕は、ポン・ジュノの『殺人の追憶』を素晴らしいと思う。と同時に、なぜこれを日本人は作れないんだろうと思っうわけです。あれはある意味、韓国人の恥部というか、暗部を描いている。10人連続で人が殺される事件が起きる、それを追いかける刑事。あの刑事たちの有りようと、社会に対する視点の深さをもって、韓国をさらけ出してる。最後、アメリカから血液判定が出ても真犯人を捕まえられないもどかしさ。ザッツ・コリアを描いて、世界中の人をあっと言わせた。これだと思うんですよ。これがなければ、日本で50億円売上げようが、70億円売上げようが、あまり意味がない。もちろん製作委員会が儲かるというのも大切なんですけどね。どうしたらいいんでしょうね(笑)。ま、考えても、自分にはそういう才能がないんで」

韓国映画ショーケース2007で紹介された『千年鶴』
韓国映画ショーケース2007で紹介された『千年鶴』
LEE Bong-Ou 映画会社シネカノン代表。1960年京都府生まれ。朝鮮大学外国語学部卒業。フランス留学を経て、徳間ジャパンにて映画プロデュース業に就く。89年、配給会社シネカノンを設立。欧米の良質な映画に加え、韓国映画『シュリ』を大ヒットさせ、韓国映画ブームの火付け役に。92年には『月はどっちに出ている』を初プロデュース。国内外で映画賞を多数受賞し、高い評価を得る。主な製作作品に『のど自慢』『ゲロッパ!』『さよなら、クロ』『パッチギ!』『魂萌え!』『パッチギ!LOVE & PEACE』がある。06年の『フラガール』は日本の映画賞を総なめ状態。94年より劇場経営にも着手。シネカノン有楽町1丁目、シネカノン有楽町2丁目、渋谷のアミューズCQN、韓国のシネカノンミョンドンなどを運営。07年淀川長治賞を受賞。

パンくず式ナビゲーション
広告エリアの始まり

フッターナビゲーションの始まり
フッターの始まり