
あえて時代に逆行する、 それでいいじゃないか、という思い。
撮影進行中の『ドラゴンボール』やウォシャウスキー兄弟が監督する『スピード・レーサー』など、日本のマンガ・アニメ原作の映画企画がハリウッドで続々進行している今。ハリウッド製のCGやロープアクションなどの仕掛けを使ったバトルシーンに大きな声で「NO!」と言う、熱い映画が出現した。
『魁!! 男塾』。600万部超の発行部数を誇った全盛期の週刊少年ジャンプに、巨匠・宮下あきらが連載、コミック単行本の部数2600万部を売り上げた、超人気漫画が原作の映画だ。監督・脚本・アクション監督・主演の4役を務めたのは、北村龍平監督『VERSUS』で主演デビュー、スピーディなガチンコアクションの迫力で、日本より先に海外から注目を集めた坂口拓。小学生の時から「男おいどん」「男一匹ガキ大将」など男臭いマンガを愛読、ジャンプ誌上で「魁!! 男塾」の連載が始まった瞬間、「えーっ、カッケえー!」と素直に感動したという坂口監督、語る言葉も男塾塾生のように、クールに熱い。
「この作品が好きすぎちゃって、誰かに先に映画化されるのが本当にイヤだった。ムダに男達が熱く、男が男であるために闘う。戦いには意味がない、それでいい、そこがいい。で、俺以外の監督がこのマンガを映画化した場合、アクションがCGの多様になってしまうのがイヤだった。1秒間に何十発もCGのパンチが出てくるような、軽いアクションには、この作品の魂がない。ごまかしがあるようでは『男塾』じゃない、そう思った」
「今の映画は、女性に受けないと当たらない、といわれているけれど、あえてその真逆を行くような映画を創ってしまいました」
そこには、常にガチンコで体を張ったアクションシーンを演じてきた役者としての矜持がある。
人物に“熱”を加えられるのが 実写映画の良さ
この熱い男の映画は、登場人物たちの数々の死闘エピソードで冒頭から飽きさせない。ストーリーはいたって単純、といえば単純である。坂口監督が演じる男塾一号生筆頭・剣桃太郎たちは、男が男を磨く「男塾」に入塾後、二号生や、元塾生・伊達臣人率いる豪学連と戦って強くなっていく。キモは主人公・剣桃太郎の本当に肉がぶつかる音がする格闘シーンだが、真のストーリーテラーは男塾一情けない男・秀麻呂。実のところは彼が「真なる男」に目覚め、一人前の男になっていく成長物語である。
「いい脚本が出来ないから、じゃあ、自分で書こうと思った」という坂口監督は、秀麻呂をストーリーの核のひとつに据えたことについて、こう語る。
「俺は役者としてはがっつりしていなくて欲がないんですよ。影の主役の秀麻呂が、ある意味お客さんの目線を代表してるんです。そんな彼が物語を動かしていくことで、格闘技なんかにあまり興味がない普通の観客にも楽しんでもらえたら、と。俺がこの映画で主役を演じているのは、監督として、他の役者さんには、体を痛めつけるようなガチなアクションをそこまで要求できないから。自分で演じれば、ガチなアクションも詰めてやれる。それだけなんです」
物語のラスト近く、富士山前の草原で行われるその“ガチなアクション”シーンは、長い。闘う二人は本当にヘロヘロになるまで、殴り合っている。そのこぶしの重さが、観ている側にも痛い。
「原作は誰でもタイトルを聞いたことがあるような、有名なマンガで、宮下あきら先生の絵の力も非常にダイナミックでパワフル。マンガのよさはマンガのよさであるけれど、俺は実写映画のよさって人物像に熱を加えられることだと思う。アクションシーンもそうだけれど、小さなエピソードを加えることによって桃太郎をリアルな肉体を持った人間として感じとってもらえれば」
男が男を認める瞬間。 男のレゾンデートルとは。
流れ飛び散る血しぶき、真剣に考えればありえない物語設定など、「うわ、ヤダ」とこの映画に異論のある向きもあるだろう。しかしながら、そういった拒否反応も理解した上で坂口監督は、自分のフィロソフィーを作品につぎ込んだ。すなわち、男とは何か、という大命題に対する彼なりの答えである。
「大前提、男とは、闘うために生まれてきたんです。加えて言うなら、女は幸せになるために生まれてきた。闘うのに、理由はない。男が男を認める瞬間。それがこの映画のテーマ」
小難しいことは誰でもいえる。が、シンプルな問いこそ、答えづらい。真摯に答えた坂口監督の勇気はまさに“男気”である。
坂口拓
1975年3月15日、石川県金沢市出身。上京後アクションを学び、ボクシングを始める。98年ごろから山口雄大とともに自主映画を作るうちに、北村龍平の誘いで『VERSUS』に参加、主演。アクションレパートリーは少林寺拳法、中国八極拳、キックボクシング、ボクシング、ムエタイ、時代殺陣、現代殺陣など。自身のアクションチーム「ZERO’S」を率いる。本作が初監督作品。
『魁!! 男塾』は1月26日より、全国公開。
http://www.otokojuku-the-movie.com/
1975年3月15日、石川県金沢市出身。上京後アクションを学び、ボクシングを始める。98年ごろから山口雄大とともに自主映画を作るうちに、北村龍平の誘いで『VERSUS』に参加、主演。アクションレパートリーは少林寺拳法、中国八極拳、キックボクシング、ボクシング、ムエタイ、時代殺陣、現代殺陣など。自身のアクションチーム「ZERO’S」を率いる。本作が初監督作品。
『魁!! 男塾』は1月26日より、全国公開。
http://www.otokojuku-the-movie.com/
<span class="small">text by Shoko Yamamoto(Variety Japan Tokyo)
photographs by Kenta Yoshizawa</span>



























