
ガス・ヴァン・サントに発掘された
16歳の現役高校生
2003年に発表した『エレファント』で、映画監督としての新境地を切り開いたガス・ヴァン・サント監督。新作『パラノイドパーク』でもまた素人を起用し、思春期の若者が抱く焦りや苛立ちを鮮やかに描写している。主人公のアレックス役に起用されたのは、ポートランド在住の現役高校生、ゲイブ・ネヴァンス。まだあどけなさの残る16歳の少年だ。
「スケートショップにエキストラ募集のチラシが貼ってあったんだ。友達と応募しようと盛り上がったんだけど、結局友達は行かなくて、僕は母親と一緒にオーディションに行った。主役に決まった時は本当に驚いたよ。有名になりたいと思っていたわけじゃないし、演技の経験もなかったから。恐くて断ろうと思ったけど、好奇心もあったから、やってみようと思ったんだ」
しかし、ゲイブはそれまでガス・ヴァン・サント監督の映画を見たことがなかった。
「実は、ガスがどういう映画を撮ってきたかも知らなかった。撮影前に何度も会ってはいたけど、どういう演出をするのか、どういう編集をするのかもわからなかった。何年か前に家で母親と『エレファント』は見たことはあるんだけど、10分ぐらいで止めちゃったんだ。当時の僕にはまったくわからなかったから。でも、撮影を通して彼のことを理解できるようになってから見直してみたら、すごく楽しめた。今ではすごく好きな映画だよ」
しかし、ゲイブはそれまでガス・ヴァン・サント監督の映画を見たことがなかった。
「実は、ガスがどういう映画を撮ってきたかも知らなかった。撮影前に何度も会ってはいたけど、どういう演出をするのか、どういう編集をするのかもわからなかった。何年か前に家で母親と『エレファント』は見たことはあるんだけど、10分ぐらいで止めちゃったんだ。当時の僕にはまったくわからなかったから。でも、撮影を通して彼のことを理解できるようになってから見直してみたら、すごく楽しめた。今ではすごく好きな映画だよ」
素人にも自由を与える
ガス・ヴァン・サントの演出法
実際に撮影が始まると、ゲイブはガス・ヴァン・サントの演出法に驚いた。数々の名作を生み出してきた巨匠が、素人である役者たちにも意見を求めたのだという。
「僕は原作も読んでなかったし、台本もきちんとしたものがなかった。大まかなことだけ決まっていて、後はその場その場で話し合って決めていく現場だったんだ。僕らはみんな素人だったのに、監督はすごく意見を聞いてくれたよ。だから、僕らも監督のことを信頼できたんだ。まず役者には自由を与え、即興で演技させる余地をもたせてくれる。今回はほぼ全員が素人だったけど、それがいい具合に化学反応を起こしたんじゃないかな」
ゲイブが演じたアレックスは、スケボーに熱中している高校生。セックスに興味津々なガールフレンド、離婚寸前の両親にうんざりしていたアレックスは、不良と遊んでいる最中、殺人を犯してしまう……。
「普通のティーンにとっては、セックスがいちばんの関心事だと思う(笑)。でもアレックスの場合は、いろんな問題を抱えているんだ。親が離婚しそうだし、ガールフレンドのことがそれほど好きではないことにも気付き始めている。セックスすることによって、彼女と今より親密になってしまうことがイヤだったんだと思う。人を殺してしまったのに、親にもガールフレンドにも相談できないから、アレックスは一人で悩むんだ」
「僕は原作も読んでなかったし、台本もきちんとしたものがなかった。大まかなことだけ決まっていて、後はその場その場で話し合って決めていく現場だったんだ。僕らはみんな素人だったのに、監督はすごく意見を聞いてくれたよ。だから、僕らも監督のことを信頼できたんだ。まず役者には自由を与え、即興で演技させる余地をもたせてくれる。今回はほぼ全員が素人だったけど、それがいい具合に化学反応を起こしたんじゃないかな」
ゲイブが演じたアレックスは、スケボーに熱中している高校生。セックスに興味津々なガールフレンド、離婚寸前の両親にうんざりしていたアレックスは、不良と遊んでいる最中、殺人を犯してしまう……。
「普通のティーンにとっては、セックスがいちばんの関心事だと思う(笑)。でもアレックスの場合は、いろんな問題を抱えているんだ。親が離婚しそうだし、ガールフレンドのことがそれほど好きではないことにも気付き始めている。セックスすることによって、彼女と今より親密になってしまうことがイヤだったんだと思う。人を殺してしまったのに、親にもガールフレンドにも相談できないから、アレックスは一人で悩むんだ」
世界中のスケーターが憧れる
伝説の公園での撮影
劇中で“パラノイドパーク”と呼ばれる公園は、“バーンサイド・スケートパーク”というポートランドに実在する公園。スケーターたちが勝手にセメントを流し込んで作ったというこの公園は、スケーターたちにとっての聖地だ。
「僕はまだそんなにスケボーが上手くないから、バーンサイドスケートパークには行ったことがなかった。でも、あそこからプロのスケーターが何人も誕生していて、憧れの場所なんだ。実際に撮影で行った時は、なわばり意識みたいなものがあってちょっと恐かったよ。エキストラのギャラを払っているのに、お金だけ受け取って帰っちゃうスケーターとかいてね」
華々しいスクリーンデビューを飾ったゲイブだが、今は平穏な高校生活に戻っているという。
「学校に戻ることに関しては、ガスもすごく賛成してくれた。映画に出たことでいろんなことが起こるだろうけど、自分で対処していくことが大切なんだと教えてくれたよ。学校に戻ってみると、最初はみんなから質問攻めにされたけど、もし立場が逆だったら僕でもそうしただろうなって。僕自身、あんまり興奮せずにけっこう冷静さを保てていると思う。ガスは、どのエージェントがいいかとか、いろいろ相談に乗ってくれたんだけど、役者を続けていくつもりは今のところないんだ。でも、ガスやクリス(撮影を担当したクリストファー・ドイル)と仕事してみて、映画の世界にはすごく興味が湧いたから、映画学校に行ってみたいと思っているんだ」
text by Takeshi Oka
photographs by Munetaka Harada
「僕はまだそんなにスケボーが上手くないから、バーンサイドスケートパークには行ったことがなかった。でも、あそこからプロのスケーターが何人も誕生していて、憧れの場所なんだ。実際に撮影で行った時は、なわばり意識みたいなものがあってちょっと恐かったよ。エキストラのギャラを払っているのに、お金だけ受け取って帰っちゃうスケーターとかいてね」
華々しいスクリーンデビューを飾ったゲイブだが、今は平穏な高校生活に戻っているという。
「学校に戻ることに関しては、ガスもすごく賛成してくれた。映画に出たことでいろんなことが起こるだろうけど、自分で対処していくことが大切なんだと教えてくれたよ。学校に戻ってみると、最初はみんなから質問攻めにされたけど、もし立場が逆だったら僕でもそうしただろうなって。僕自身、あんまり興奮せずにけっこう冷静さを保てていると思う。ガスは、どのエージェントがいいかとか、いろいろ相談に乗ってくれたんだけど、役者を続けていくつもりは今のところないんだ。でも、ガスやクリス(撮影を担当したクリストファー・ドイル)と仕事してみて、映画の世界にはすごく興味が湧いたから、映画学校に行ってみたいと思っているんだ」
text by Takeshi Oka
photographs by Munetaka Harada
『パラノイドパーク』
●監督・脚本・編集:ガス・ヴァン・サント 撮影監督:クリストファー・ドイル、レイン・キャシー・リー 原作:ブレイク・ネルソン サウンド・デザイナー:レスリー・シャッツ 製作:ニール・コップ、デイヴィッド・クレス
●出演:ゲイブ・ネヴァンス、テイラー・モンセン、ジェイク・ミラー、ダン・リュー、ローレン・マッキニー、スコット・グリーン
●2007年/アメリカ=フランス/カラー/スタンダード/ドルビーSRD/85分/4月12日よりシネセゾン渋谷ほか全国にて順次日本公開
●配給:東京テアトル/ピックス
●監督・脚本・編集:ガス・ヴァン・サント 撮影監督:クリストファー・ドイル、レイン・キャシー・リー 原作:ブレイク・ネルソン サウンド・デザイナー:レスリー・シャッツ 製作:ニール・コップ、デイヴィッド・クレス
●出演:ゲイブ・ネヴァンス、テイラー・モンセン、ジェイク・ミラー、ダン・リュー、ローレン・マッキニー、スコット・グリーン
●2007年/アメリカ=フランス/カラー/スタンダード/ドルビーSRD/85分/4月12日よりシネセゾン渋谷ほか全国にて順次日本公開
●配給:東京テアトル/ピックス




























