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米脚本家組合ストの余波直撃
本、漫画、ブログ……大手各社が素材探しに奔走

2008/04/18
アレックス・フリンの小説“Beastly”
アレックス・フリンの小説“Beastly”
 100日間続いた米脚本家組合(WGA)ストライキが2月中旬に終結した後、怒とうの脚本が押し寄せると期待していた米スタジオの長編企画開発担当たち。だが、フタを開けてみると脚本家たちのプレゼンや企画書の嵐の予感はなく、新年度の企画開発予算を持て余している各大手スタジオは、本や雑誌記事、漫画などに、長編映画のアイデア探しの目を向けている。

 では、各社はどのような素材を探しているのだろうか?

 ●米ワーナー・ブラザース

 3人の女性がメディアの仕事も恋人もあきらめ、1年間、世界旅行に出た様子をつづったブログ集“The Lost Girls”の78ページの企画書を購入。また、米国ではランダムハウスから出版予定の英国作家リズ・ジェンセンによる新小説“The Rapture”の映画化権も獲得した。こちらは、自然災害を予期する特殊能力を持つ若い少女が、心理学者や物理学者ともに、破壊的な地震につながるフロリダ沖の掘削プロジェクトをストップさせようとするストーリー。

 ●ドリームワークス

 3月の米Wired誌 に掲載されたジョシュア・デイヴィスの執筆記事“Deep Sea Cowboy” の長編映画化権を購入。沈没した巨大船や積み荷の海難救助のため、世界中を回る救助隊Titan Salvageの運営者リッチ・ハビブの姿を追ったもので、『トランスフォーマー』や来年公開予定の『スタートレック』シリーズ最新作の脚本家、アレックス・カーツマンロベルト・オーチーが脚色する。オーチーは、「壮大な視覚効果があるテクノ・スリラー的な現実に基づいている話だから、海洋冒険ものとして大きな可能性があると思うんだ」と、知られざる世界を脚本化することへ意気込みを見せる。

 ●ミラマックス

 Kevin Hellikerによるウォールストリート・ジャーナル誌の記事“The Heart Has Its Reasons”のオプション権を獲得、マンダレイが製作を担当する。有罪判決を受けた27歳の殺人犯ジョン・マナードと2児の母であり妻である48歳のソーシャルワーカー、トビー・ヤングの異質なロマンスを描いたものだ。カップルは、トビーの退職金4万2000ドルをもって駆け落ちし、テネシーの小屋で捕まっている。

 ●MGM

 『ボーン・アイデンティティー』シリーズの原作者ロバート・ラドラムのスリラー「マタレーズ暗殺集団」(1979年)を、Relativity ともに300万ドルで獲得。デンゼル・ワシントンの出演が決まっている。この契約をセットアップしたベテラン・エージェントは、「最近、フィクションを売ることは難しく、ノンフィクションの方が売りやすい。漫画はさらにいいね。スト終了後の3週間だけで、300もの企画書が出てきていたのだから、スタジオはこんなに本を買わなくてもいいはずだったんだ。長い目で見ると本の方が強いのかな? そうだといいね」とコメントしている。

 ●ワーナー・インディペンデント

 チャールズ・ボックの小説“Beautiful Children”の映画化権を獲得。

 ●CBSフィルムズ

 アレックス・フリンの小説“Beastly”の映画化権を購入。

 ●スコット・ルーディン

 9月発売予定のフィリップ・ロスの小説“Indignation”を先買するために、自己出資。

チャールズ・ボックの小説“Beautiful Children”
チャールズ・ボックの小説“Beautiful Children”
 こうした傾向について、“Beautiful Children”と“Beastly”のセールスをアレンジしたエージェントは、「どのスタジオも、1988年のときのように、ストライキ後に大量の脚本が押し寄せると予想していた。でも、今回のストでは敵対意識が強すぎて、脚本家たちは気を取られてしまったんだよ。全くの空白状態である今、本を買う以外にどんな手があるっていうんだ? 切迫感にあふれているよ」と語る。

 また、実在のストーリーや社会トレンド、興味深い話題などのきめ細やかな情報を網羅している雑誌記事は、スタジオの企画開発担当者たちの心をくすぐりやすい。特にコメディやアクション・アドベンチャーのジャンルにおいて、脚色したり、膨らませたりするのに適しているからだ。

 金銭面では、こうした書籍や記事に支払われる額は、90年代中後半の市場ブームからすると控えめなものだ。当時は、パット・コンロイの“Beach Music”がパラマウントに500万ドルで、マイケル・クライトンの 「エアフレーム-機体-」がディズニーに1000万ドルで売れ、2000年には、デイブ・エガースの“A Heartbreaking Work of Staggering Genius”がニューラインに300万ドルの値で取り引きされた。これらの映画化はまだ実現していない。

 このように、大手スタジオが、100万ドル単位の金額を作家に前払いすることは、いたって珍しい。そんな中、いくつかのスタジオが注目している小説3部作が“The Flag of Orpheus”。NBCの人気テレビドラマ・シリーズ「ヒーローズ」のクリエイターかつ主要脚本家であるティム・クリングが共同著者であることが大きな理由と思われる。書籍シリーズは300万ドルでクラウンが獲得しているが、映画化権はまだ購入されてない。

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