
昨年の授賞式風景
ニューヨーカーは、何かにけちをつけることが好きだ。NBAバスケットボールのニューヨーク・ニックスの経営しかり、州都市交通局の動向しかり。さらに、トライベッカ映画祭についても同様のことが言える。
7年目を迎える本映画祭は、さまざまな部分で批判を受けている。値上がりし続けるチケット代やメイン会場の欠落、多すぎる上映本数、上映作品の幅(ブロックバスター系の大作中心だったり単館系のインディー作品中心だったり)、そしてマーケットの活性化につながらない立ち位置だったりだ。
4月23日から5月4日まで開催される今年のトライベッカ映画祭。主催者たちは映画祭全体を入念に再調査し、大きな変化に挑戦する。上映会場の1つをダウンタウンにあるカフェバーにし、参加者に地域の輪を感じてもらうことを狙っている。2327本に及んだ応募作品から120本にまで絞られた上映作品は、昨年の160本よりも減少。
チケット代も値下がりし、週末と午後用のチケットは1枚18ドルから15ドルに、平日と深夜用のチケットは、1枚8ドルになった。同時多発テロ事件の惨劇から市民を一致団結させるために始まった本映画祭は、7年目にして初めて独自のアイデンティティーを模索し始めているのだ。
アート系作品のファンは、本映画祭をほかでは見られない作品の上映場所としてとらえている。そこに『スピード・レーサー』などの大作が上映されるならば、『パンズ・ラビリンス』や『4ヶ月、3週と2日』のために上映枠を空けておくべきではないのかと感じる。
本映画祭の共同創立者ジェーン・ローゼンタールは、トライベッカが大作を上映作品に選んでも、ほかの映画祭と比べて違和感はないと話す。「カンヌやトロントは大作も小作も上映している。前例がないわけではありません」。サンダンス国際映画祭でさえ、メインストリームの観客層に受ける作品を上演している。例えば、今年ならばバリー・レヴィンソン監督の“What Just Happened?”が該当するだろう。
「トライベッカは許容範囲が大きい。多くの意見はもらえるが、それと同時に上映作品のカラーを特定できない」と話したのは、“Married Life”をソニー・クラシックと共同でプロデュースした、タイニー・ダンサー・フィルムスのJawal Nga。
アーティスティック・ディレクターを務めるピーター・スカーレットは、とりあえず映画祭に参加してみるべきだと言う。「ニューヨークは、とにかくいろいろなことが同時進行しすぎている。野球の球団が1つしかなければ、どちらのチームを応援するか迷わなくて済むのにと思う。ニューヨーク市長は、地下鉄の線を削減すべきだ。そうすれば、どの線に乗るべきか考えなくて良くなる。たくさんの映画が世界中で作られていて、それぞれが違う文化を身にまとった作品。プログラムの多様性が、トライベッカの魅力だ」。
トライベッカがアメリカン・エキスプレスと結んでいる贅沢なスポンサーシップは、ほかの映画祭とは一線を画している点と言えるかもしれない。ロバート・デ・ニーロがそのスター・パワーを双方に発揮しており、両者にとって利益のある契約内容となっている。毎年の映画祭にかかる費用は、おおよそ1000万ドルから1200万ドル。アメックスが投資額を数100万ドル増やし、TargetやVeriszonなどが協力したにせよ、これまでは毎年100万ドル程度の赤字決算となっていた。しかしローゼンタールは、経費削減や再編などによって、今年は初めて黒字で終えられるのではないかと期待している。
また、本映画祭はコミュニティーを優先している。上映作品の選考だけに関わらず、映画祭と同時に開催されるお祭りや、スポーツ・チャンネルのESPNが主催するトライベッカ映画祭スポーツ・フィルム・シリーズなども、メインの1つ。スポーツをテーマにした作品を特集することで、独立系作品のファンだけでなく、スポーツ・ファンも呼び込むのが目的だからだ。
海外からの作品や初監督作品も多く上映している。今年のラインナップでは、長編・ドキュメンタリー合わせて18カ国24本の作品が、合計10万ドルの賞金を目指してしのぎを削る。出品作品の半分以上が監督デビュー作になる。
7年目を迎える本映画祭は、さまざまな部分で批判を受けている。値上がりし続けるチケット代やメイン会場の欠落、多すぎる上映本数、上映作品の幅(ブロックバスター系の大作中心だったり単館系のインディー作品中心だったり)、そしてマーケットの活性化につながらない立ち位置だったりだ。
4月23日から5月4日まで開催される今年のトライベッカ映画祭。主催者たちは映画祭全体を入念に再調査し、大きな変化に挑戦する。上映会場の1つをダウンタウンにあるカフェバーにし、参加者に地域の輪を感じてもらうことを狙っている。2327本に及んだ応募作品から120本にまで絞られた上映作品は、昨年の160本よりも減少。
チケット代も値下がりし、週末と午後用のチケットは1枚18ドルから15ドルに、平日と深夜用のチケットは、1枚8ドルになった。同時多発テロ事件の惨劇から市民を一致団結させるために始まった本映画祭は、7年目にして初めて独自のアイデンティティーを模索し始めているのだ。
アート系作品のファンは、本映画祭をほかでは見られない作品の上映場所としてとらえている。そこに『スピード・レーサー』などの大作が上映されるならば、『パンズ・ラビリンス』や『4ヶ月、3週と2日』のために上映枠を空けておくべきではないのかと感じる。
本映画祭の共同創立者ジェーン・ローゼンタールは、トライベッカが大作を上映作品に選んでも、ほかの映画祭と比べて違和感はないと話す。「カンヌやトロントは大作も小作も上映している。前例がないわけではありません」。サンダンス国際映画祭でさえ、メインストリームの観客層に受ける作品を上演している。例えば、今年ならばバリー・レヴィンソン監督の“What Just Happened?”が該当するだろう。
「トライベッカは許容範囲が大きい。多くの意見はもらえるが、それと同時に上映作品のカラーを特定できない」と話したのは、“Married Life”をソニー・クラシックと共同でプロデュースした、タイニー・ダンサー・フィルムスのJawal Nga。
アーティスティック・ディレクターを務めるピーター・スカーレットは、とりあえず映画祭に参加してみるべきだと言う。「ニューヨークは、とにかくいろいろなことが同時進行しすぎている。野球の球団が1つしかなければ、どちらのチームを応援するか迷わなくて済むのにと思う。ニューヨーク市長は、地下鉄の線を削減すべきだ。そうすれば、どの線に乗るべきか考えなくて良くなる。たくさんの映画が世界中で作られていて、それぞれが違う文化を身にまとった作品。プログラムの多様性が、トライベッカの魅力だ」。
トライベッカがアメリカン・エキスプレスと結んでいる贅沢なスポンサーシップは、ほかの映画祭とは一線を画している点と言えるかもしれない。ロバート・デ・ニーロがそのスター・パワーを双方に発揮しており、両者にとって利益のある契約内容となっている。毎年の映画祭にかかる費用は、おおよそ1000万ドルから1200万ドル。アメックスが投資額を数100万ドル増やし、TargetやVeriszonなどが協力したにせよ、これまでは毎年100万ドル程度の赤字決算となっていた。しかしローゼンタールは、経費削減や再編などによって、今年は初めて黒字で終えられるのではないかと期待している。
また、本映画祭はコミュニティーを優先している。上映作品の選考だけに関わらず、映画祭と同時に開催されるお祭りや、スポーツ・チャンネルのESPNが主催するトライベッカ映画祭スポーツ・フィルム・シリーズなども、メインの1つ。スポーツをテーマにした作品を特集することで、独立系作品のファンだけでなく、スポーツ・ファンも呼び込むのが目的だからだ。
海外からの作品や初監督作品も多く上映している。今年のラインナップでは、長編・ドキュメンタリー合わせて18カ国24本の作品が、合計10万ドルの賞金を目指してしのぎを削る。出品作品の半分以上が監督デビュー作になる。

デ・ニーロを囲んで、主催者たち
しかし、配給会社の多くはトライベッカのマーケットとしての価値は、まだ低いと感じている。「ロサンゼルスからわざわざ飛んでくるバイヤーはいない。ニューヨークにいるバイヤーは、1日が終わると家族の元に帰るか、職場に戻る」と話したのは、とあるセールス・エージェント。ローゼンタールも、「マーケットが確立されたら、それは素晴らしい。だけど無理強いできないこともある」と答えるのはローゼンタール。「たくさんの作品がトライベッカで買い付けられているが、まだビッグ・ヒットがないだけ」。
サミュエル・ゴールドウィン・フィルムスのバイヤーであるピーター・ゴールドウィン副社長は、トライベッカの専門家だ。ゴールドウィンとレッド・エンヴェロープは、『パリ、恋人たちの2日間』を、昨年のトライベッカで初上映した。「批評家とニューヨークの観客たちからは、真っ当で正直な感想をもらえる。主要マーケットの反応がどうなるのか、かなり正確に予想することができるんだ」とゴールドウィンは説明している。
「最初の2年は、映画祭としてのトライベッカを信頼していませんでした。当然ながら出品もしませんでしたが、今では大切なお披露目の場として考えています」と、IFCエンタテインメントのジョナサン・シャーリング社長は話す。
同社は、これまでにトライベッカで4本の作品を購入している。今年、この独立系配給会社は、3本を本映画祭で上映することを決定した。ハーモニー・コリン監督の『ミスター・ロンリー』、トム・ケイリン監督の『美しすぎる母』、そしてガイ・マディン監督の“My Winnipeg”だ。
そして、“Jesus Camp”が06年にアカデミー賞にノミネートされるなど、本映画祭は高い評価を集めたドキュメンタリー作品も多く輩出している。「競売が横行するような映画祭になってはならないのです」と、レッド・エンヴェロープ社長のコプランドは話す。「ラインナップは秀逸。まずはトライベッカに行き、その後カンヌに飛んで、気に入った4~5本の中から、その年1年をかけられる2~3本を選ぶことは、バイヤーとして間違った選択ではありません」。
エンデバーのグラハム・テイラーは、トライベッカがマーケットとして機能しなくとも、たいした問題ではないと考えている。「間違ったパートナーに作品を早急に売りつけることは、作品にとっても幸せな結果を招かない」。
本映画祭が誕生してから、トライベッカは地元ニューヨークに4億ドルの経済利益をもたらしたと言われている。世界中に散らばる1000人近くの映画製作者たちが、本映画祭でデビューを飾っている。
ローゼンタールは、常にポジティブな気持ちでメディアが好意的に取り上げてくれることを願っている。「これはダルフールの平和調停やサブプライムローン問題なんかじゃなく、映画祭なんです。現実的になりましょうよ」。
サミュエル・ゴールドウィン・フィルムスのバイヤーであるピーター・ゴールドウィン副社長は、トライベッカの専門家だ。ゴールドウィンとレッド・エンヴェロープは、『パリ、恋人たちの2日間』を、昨年のトライベッカで初上映した。「批評家とニューヨークの観客たちからは、真っ当で正直な感想をもらえる。主要マーケットの反応がどうなるのか、かなり正確に予想することができるんだ」とゴールドウィンは説明している。
「最初の2年は、映画祭としてのトライベッカを信頼していませんでした。当然ながら出品もしませんでしたが、今では大切なお披露目の場として考えています」と、IFCエンタテインメントのジョナサン・シャーリング社長は話す。
同社は、これまでにトライベッカで4本の作品を購入している。今年、この独立系配給会社は、3本を本映画祭で上映することを決定した。ハーモニー・コリン監督の『ミスター・ロンリー』、トム・ケイリン監督の『美しすぎる母』、そしてガイ・マディン監督の“My Winnipeg”だ。
そして、“Jesus Camp”が06年にアカデミー賞にノミネートされるなど、本映画祭は高い評価を集めたドキュメンタリー作品も多く輩出している。「競売が横行するような映画祭になってはならないのです」と、レッド・エンヴェロープ社長のコプランドは話す。「ラインナップは秀逸。まずはトライベッカに行き、その後カンヌに飛んで、気に入った4~5本の中から、その年1年をかけられる2~3本を選ぶことは、バイヤーとして間違った選択ではありません」。
エンデバーのグラハム・テイラーは、トライベッカがマーケットとして機能しなくとも、たいした問題ではないと考えている。「間違ったパートナーに作品を早急に売りつけることは、作品にとっても幸せな結果を招かない」。
本映画祭が誕生してから、トライベッカは地元ニューヨークに4億ドルの経済利益をもたらしたと言われている。世界中に散らばる1000人近くの映画製作者たちが、本映画祭でデビューを飾っている。
ローゼンタールは、常にポジティブな気持ちでメディアが好意的に取り上げてくれることを願っている。「これはダルフールの平和調停やサブプライムローン問題なんかじゃなく、映画祭なんです。現実的になりましょうよ」。
























































