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米で夏休み映画の宣伝戦争激化
宣伝費高騰、08年夏『インディ・ジョーンズ』『ハンコック』など25本がしのぎ

2008/04/28
『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』Photo Credit: David James (C)2007 by Paramount Pictures. All Rights Reserved
『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』Photo Credit: David James (C)2007 by Paramount Pictures. All Rights Reserved
 米ロサンゼルスのラ・シェネガ通りとヴェニス大通りとの交差点、多くの人々が行きかうなか、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』の光り輝く大看板が、8枚も掲げられている。ハリウッド基準から考えてもやり過ぎ感は否めないが、夏の大作に各スタジオがいかに社運を懸けているかが、はっきりとわかる。そして、その宣伝費は膨れ上がる一方だ。

宣伝費1億5000万ドルの成果

 「宣伝費が安くなることは、絶対にないですね」と話すのは、ある映画スタジオ専門家。今夏に公開される作品の中で、確固たる知名度を誇っているのは『インディ・ジョーンズ』くらい。昨年と比べ続編物が欠如していため、新しい作品を世界に広め、願わくばシリーズ物にしたいという期待が、宣伝費も膨らませていく。

 一説では、2008年夏の超大作を世界的に宣伝する場合、その予算は1億5000万ドルだと言われている。スタジオは製作費を確定したがる一方で、宣伝費については話し合いを嫌うところが多い。

 07年の主要スタジオ国内宣伝平均額は3590万ドル。ただし、話題作の場合はもっとかさむ。しかし、全体的に見て宣伝費が増えたのは明らかで、95年に最も宣伝された『トイ・ストーリー』の宣伝費は、07年の平均以下の3500万ドル程度だった。

 大作と言われる作品が、25本も控えている今夏のラインナップ(昨年は18本)。最低でも2本の大作が毎週末に公開される計算になり、スタジオ各社はなんとか頭ひとつ抜け出そうとしのぎを削っている。「目立つためには何かしないといけない」と他のスタジオ幹部は話す。

 スタジオ各社が高い期待をかけているのは、『アイアンマン』(米パラマウント・ピクチャーズ)、“Get Smart”(米ワーナー・ブラザース)、『ハンコック』(米ソニー・ピクチャーズ)、『ウォンテッド』、“The Incredible Hulk”(米ユニバーサル・ピクチャーズ)、そして『カンフー・パンダ』(ドリームワークス・アニメーション)。

 すでにシリーズ物となっている『インディ・ジョーンズ』、『ダークナイト』、『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』、『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』、そして“X-Files: I Want to Believe”などは、“必見の1本”という宣伝文句でキャンペーンを張っている。

 シリーズ作品の流行が宣伝費拡大の原因となっている中で、“Get Smart”と“The Love Guru”というコメディを6月20日に公開するワーナーとパラマウントは、大作バトルではないものの、多くの宣伝費をねん出しなくてはならない。「映画宣伝にとって、高くつく夏になると思います」とあるベテラン宣伝マンは話している。

 製作側が観客にアクセスする場所が増えたのと同時に、新しい宣伝ツールやコンテンツも増えた。スタジオはそれらをフル活用することを辞さないため、宣伝費も跳ね上がる。ウェブサイトやオンライン、携帯などに加え、そこで展開されるゲームやブログという新コンテンツが出現し、これに地上波やケーブルテレビ、雑誌、看板、ラジオなども入ってくる。

 「クリエイティブな地盤がどんどん増えていて、スタジオ側もそれらを利用しようとしています」と話したのは、クルー・クリエイティブ・アドバタイジングのデーモン・ウォルフ社長兼CEO。同社はアメリカで現在公開中の“Forgetting Sarah Marshall”の宣伝をしており、夏の大作では『ダークナイト』と『セックス・アンド・ザ・シティ(原題)』、そして“Hellboy 2”を担当している。

 「すべての層の観客が相手なのです」とウォルフ氏。「製作、プロデュース、公開とすべてに金がかかっている。その分、宣伝費も増えるのです」。

東京オートサロン2008の横浜ゴムブースで展示された実物大のマッハ号(レプリカ)
東京オートサロン2008の横浜ゴムブースで展示された実物大のマッハ号(レプリカ)
状況回避策はタイアップ

 さらに、企業からのプレッシャーものしかかってくる。多くのスタジオが大複合企業の一部となっている現在、株主たちの注目も高まっている。オープニング成績が目標額に届かないという噂だけで、ウォール街の投資家たちは神経質になる。スタジオがこのようなことを心配したことは、過去にはない。

 「十分な露出を見ないと、その作品の評判が悪く、公開すらされないのではないかと思われる」と、あるスタジオ幹部は話す。「すべての人を満足させるために、宣伝費をよりかけなければならなくなった。だから必要がなくても、過剰な宣伝をしなくてはならないんだ」。

 夏の宣伝費が膨らむということは、1月の段階から予想できた。1月に、スタジオはNFLスーパーボウルの試合中に流す30秒のCM枠のため、今までで最高額の270万ドルを支払った。

 高騰する一方の宣伝費を少しでも軽くするため、スタジオはマディソン・アヴェニューに並ぶ企業と手を結ぶことにした。主に海外からやってきた大手ブランドと手を結び、大作のタイアップをとっていくのだ。

 例えば、ジェネラルミルズ、ターゲット、マテル、レゴ、エンシュランス、そしてプーマなどは、8000万ドル以上を出してワーナーの目玉作『スピード・レーサー』とタイアップ。同じように、『アイアンマン』もアウディ、LGエレクトロニクスと手を組み、『ダークナイト』はノキア、ドミノス、ジェネラルミルズ、そしてマイクロソフトのXboxなどとタイアップ契約を結んだ。M&Ms、ドクター・ペッパー、エクスペディア、そしてクラフト・ランチャブルズは、『インディ・ジョーンズ』成功のために力を貸す。ブランドあっての映画『セックス・アンド・ザ・シティ』も、負けじとメルセデス・ベンツ、スカイウォッカ、香水のコティ、そしてグラソー・ビタミンウォーターなどと協力体制を取っている。

 1作品だけでなく、複数の映画と手を結んでいるのはバーガー・キング。『アイアンマン』と“The Incredible Hulk”、それに『インディ・ジョーンズ』の宣伝をする。一方で、ゼブン・イレブンも『アイアンマン』と“Hulk”を応援。どの会社も、作品が公開されるかなり前からディスプレイやテレビ、雑誌、ラジオ、ダイレクトメール、そしてオンライン・キャンペーンなどで宣伝を展開し始めている。

 スタジオのマーケティング部は、残業続きの生活となるだろう。だが、やり過ぎとなる可能性は無いか? 作品によっては、予告編やスニークプレビュー、特別映像、それに撮影舞台裏の映像をウェブ上に供給しすぎ、公開前からファンたちに「もう十分だ!」と叫ばれてしまうときもある。

 この宣伝戦争が果たして報われるのか、ハリウッドはかたずを飲んで見守っている。

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