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イタリア映画の将来めぐり大激論
イタリア映画祭2008座談会

2008/05/03
鋭い切り口で問題提起したフランチェスカ・アルキブージ監督
鋭い切り口で問題提起したフランチェスカ・アルキブージ監督
 1日に開幕した「イタリア映画祭2008」の座談会が3日(土)、東京・有楽町朝日ホールで開催され、フェルザン・オズペテク監督、俳優のヴァレリオ・マスタンドレアら7人が登壇した。

 ユーモアを交えながら自己紹介するなど和やかな雰囲気で始まった座談会だが、最近のイタリア映画の不調について話題が及ぶと、様子が一変した。

 初監督作となる『湖のほとりで』で来日したアンドレア・モライヨーリは、「今後も作家性の強い作品をつくり続けたいという希望はあるが、現在のイタリア映画界は健康的とはいえない」と吐露。そして、「製作サイドに新しいものをつくりたいという気概がない。興行成績を見据えて需要が高くないと助成金も得られない状況なのだから」と苦言を呈した。

 『いつか翔べるように』のフランチェスカ・アルキブージ監督も同調したうえで、「確かにイタリア映画界がさん然と輝く黄金期があったが、いまだに先人と比較されてしまう。私たちの世代は、永遠に自責の念を抱かなければならないのか?」と問題提起。そのうえで「イタリア映画の再生・復興を考えると海外市場に頼るしかないのかもしれない。国内事情は複雑で混とんとし過ぎている」と持論を展開した。

座談会終了後のサイン会でリラックスした表情のヴァレリオ・マスタンドレア
座談会終了後のサイン会でリラックスした表情のヴァレリオ・マスタンドレア
 本座談会で司会を務めた映画評論家の岡本太郎氏は、「問題はイタリアの配給会社にあります。おおらか過ぎる気質なのか、ワールドセールスをきちんとマネージメントできる人材が少ないのです」と説明する。しかし、「イタリア国内でイタリア映画が不調かといえば、必ずしもそうではない。観客は舌が肥えていますから、若い作家が育っていることを敏感に察知しています」と語った。

 実際に、モライヨーリ監督の『湖のほとりで』は、大々的なプロモーションをすることなく口コミで少しずつ観客動員数を伸ばし、今年のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では10部門を受賞した。これは、初監督作ながらも自らの描く作品世界が、観客に受け入れられた証拠といえる。

 『考えてもムダさ』で主役を演じたマスタンドレアは、熱論が交わされるなか、冗談を口にして場を和ませてきたが、「大いなる沈黙と考察が現在のイタリア映画の特徴だと思う。でも、何も考えない方が良い」と真しに話した。

 そして、「混迷した時期もあったけれど、観客の心に訴えかける作品は確実に増えているし、ゆっくり再生の道を歩んでいるように思う。野心や大志を抱かずにどこまで演技の領域を広げられるか、自分自身を消耗させながら明るく取り組んでいくことが大切なのだと思う」と力強く語ると、場内からは温かい拍手が鳴りやまなかった。

 本映画祭の開催期間は、5月6日(火・祝)まで。

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