フランスのアヌシーで今月9~14日(見本市は11~13日)に開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭。1960年に、カンヌ映画祭からアニメーション部門が独立して発足した注目の映画祭を前に、各国のアニメーション事情をまとめた。Vol.1では、インド、日本、中国・香港、イスラエルを紹介する。
●インド●
最も熱い“Bollymation”ブーム
アニメ界、新リーダーの呼び声も

“Hanuman Returns”
海外企業のアウトソーシングで経験を蓄積したクリエイターや企業が、自国アニメーション製作に積極的に取り組み始めている。スタジオや学校も増え、新しい才能が次々と生まれる様子は、「スタジオ・ジブリが台頭した30年前の日本と同じ現象」と例えられている。現状、92本のアニメ映画製作が進行中で、来年に向けて2万5000人、2012年に向けては30万人の新規雇用が見込まれている。注目株は、スイスの民間複合企業から出資を受け、ホールマークや米パラマウント、ハイド・パーク、BBC、マーヴェルなどとパートナーシップを組むケララ拠点のToonzや、3000万ドル強の予算の映画3本を自社製作中の大手スタジオUTV、米ディズニーと共同プロジェクトを展開中のYash Raj Filmsなどがある。
●日本●
宮崎駿と“フランチャイズ”がパワフル
世界に誇るアニメ大国も大人向けは苦戦

『崖の上のポニョ』(C)2008 二馬力・GNDHDDT
宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』(2001年)が日本歴代最高の304億円、『ハウルの動く城』(2004年)は196億円の国内興収をあげている。7月19日に公開される最新作『崖の上のポニョ』は、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』を含む強豪作を上回るのではとの予想も。東宝は、同じ日にポケモン映画シリーズ第11弾『ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空(そら)の花束 シェイミ』も公開する。ポケモンは、テレビアニメやゲーム、キャラクター商品とのシナジーで過去の映画シリーズに好成績をもたらしてきた。「ドラえもん」や「名探偵コナン」、「クレヨンしんちゃん」といったフランチャイズ・プロパティも映画化で成功している。こうしたなか、『ベクシル 2077日本鎖国』や『エクスマキナ』といった大人向けアニメ映画は苦戦している。8月2日に公開される押井守監督の大作『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』は、配給のワーナーが目標興収を20億円に設定している。
●中国/香港●
高労働力&低コスト&アニメへの情熱
米ディズニーをも魅了する香港パワー

“The Secret of the Magic Gourd”
中国産・香港産の模倣品が無視できない一方で、アニメ映画を作るうえで大きな要素となる低コスト生産力と大きな労働力、アニメへの情熱を持ち合わせているところは魅力的。製作コストは、ハリウッドの約半分と言われている。香港のImagiは、製作費3250万ドルの『ミュータント・タートルズ』の際、米ワーナー、ワインスタインCo.から2700万ドルの出資を受けた。本作は、全世界で興収9500万ドルに終わったが、Imagiの製作コストが格段に低かったため、高収益に貢献。上記2社は2009年、Imagiが製作する日本アニメの映画版“Gatchaman”と“Astro Boy”を配給する予定。クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』のCGIの一部を担当した香港のCentro Digital Picturesは、米ディズニーが初挑戦する中国語アニメ映画“The Secret of the Magic Gourd”を共同製作する。
●イスラエル●
イスラエル初のアニメ映画がカンヌへ
技術は上々、次なる課題はコンテンツ

“Waltz With Bashir”
イスラエル人監督アリ・フォルマンは、1982年のレバノン侵攻を舞台に、自身の経験を基にした自叙伝的ドキュメンタリー映画“Waltz With Bashir”を、長編アニメとして映画化するために、製作会社Bridgit Folman Film Gangを設立。古典的なフラッシュと3-Dをミックスした本作はカンヌ映画祭でも注目を集めた。実写映画界で活躍してきたフォルマン監督は、アニメの魅力について、「夢見たことがすべて可能になる。大好きな日の出や日没を実写で映し出すのは、時間がかかりすぎて大変だが、アニメなら自由にできる」と語る。06年には、イスラエルの億万長者Erel Margolitがエルサレムにアニメ製作会社JVP Studiosを設立。テクノロジー分野で頭角を現しているイスラエルの次の課題は、コンテンツ分野で力を発揮することだ。
*フランス、ベルギー、オーストラリアのアニメーション映画事情を紹介しているVol.2はこちら⇒世界各国のアニメーション映画事情 Vol.2
*フランス、ベルギー、オーストラリアのアニメーション映画事情を紹介しているVol.2はこちら⇒世界各国のアニメーション映画事情 Vol.2


























































