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『バットマン』のダークさ抽出した『ダークナイト』

2008/07/03
 全米公開を2週間後に控え、「バットマン」シリーズ最新作『ダークナイト』の話題でファンたちは盛り上がっている。米ワーナー・ブラザースにとって、バットマン映画を作る際のバランス感覚は難しい。『ダークナイト』にしても、それは同じことだ。

 作品を最先端のフィルム・ノワール的犯罪物語にしてしまうと、恐らく親子連れの足を遠のかせることになる。ティム・バートン監督は『バットマン リターンズ』でやり過ぎたため、その後のシリーズの監督から外されてしまった。

 一方で、ファミリー向けの子どもたちに安全な娯楽作品を作れば、バットマン神話の根底に漂う“暗さ“を享受しているコアなコミックブックのファンを激怒させるだろう。これが、ジョエル・シューマカー監督した1997年『バットマンとロビン Mr.フリーズの逆襲』が不調に終わった理由のひとつで、そのためにバットマン・シリーズを8年の昏睡状態に陥れた。

 そもそも、この黒マントの戦士は統合失調症(幻覚やもう想を伴う精神病)気味。バットマンであると同時にブルース・ウェインでもあるという二面性を超えて考えてみても、その理由はワーナーとDCコミックが、タイム・ワーナー・ファミリーの中でそれぞれ独立した企業体であるため、と言える。クリエイティブ面での決定は別々に行っているのだ。

 ここ数年ワーナーは、バットマンのバランスを適性に保つため、プロデューサーのチャールズ・ロヴェンエマ・トーマス、監督・脚本のクリストファー・ノーラン、脚本のジョナサン・ノーランとデイヴィッド・ゴイヤーの製作チームに信頼を寄せている。

 これまでは、この新チームがうまくやってきた。2005年の復活作品『バットマン ビギンズ』はおおむね好評を得ることができ、ファンたちは続編の『ダークナイト』が待ちきれない様子だ。

 もともとノーラン監督がこのシリーズに参加した理由が、バットマンの暗黒面を描きたいということだったため、彼とワーナー・ブラザースは意識的にバットマンを元の姿に戻すこと決断した。

 ファンサイトLegionsofGotham.comを運営するマット・マクナブ氏は、「バットマンはもともと、とても暴力的です」と言う。「初期のコミックブックでは、彼は銃を撃ちまくる犯罪者たちと付き合っています。ふさぎこみがちで、生まじめで、大変な自己嫌悪を抱いているのです。(映画では)彼が持っているその複雑な精神性が、正確に描かれていません」。

 マクナブ氏は、『バットマン ビギンズ』では、バットマンの自警主義的な精神状態がよく捕らえられていたと称賛する。

 新チーム2作目の『ダークナイト』では、バートン監督が『バットマン リターンズ』で見せた過度な暗さを避けつつ、またシューマカー監督のバットマン映画のように、コミカル過ぎないようにとの配慮がなされている。

 第1作から19年ほどたった今、ワーナーのマーケット担当者は、そのあたりの危険性を認識しているようだ。ヒース・レジャー扮するジョーカーの姿は、親たちにこの映画がどんなに怖いかを認識させるために、十分露出されている。また、キャラクター関連商品について、二重の負担があることにも注目している。一般的なバットマンのキャラクター商品は比較的小さい子ども、そして『ダークナイト』のタイアップ商品の方は反対に年長者が対象になるということだ。

 『ダークナイト』の“ダーク”さを決める要素の一つは、半分顔が醜くなった第二の悪役であるツー・フェイス。しかし、その全容はいまだ秘密とされている。

 ロヴェンによると、ツー・フェイスの外見は、ファンが描いているようなグロテスクなものにならないという。「私たちは細部にわたり、オリジナルのキャラクターに忠実であるかを検証してきました。しかし、身の毛がよだつようなグロテスクなものにはしていません。顔を背けるほど、リアルではないのです。少し見ても、『これは本当じゃないな』と思えるものです。それは “ハイパー・リアリティ”と呼ばれています」

 そして『ダークナイト』は、『バットマン ビギンズ』とは違うエンディングが用意されているが、ファンが求める「いい意味で、楽しめるもの」になり得る、とロヴェンは期待している。

 『ダークナイト』は全米で7月18日(金)、日本では8月9日(土)より丸の内プラゼールほか全国で公開される。

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