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録音技師・菊池信之、釜山で熱弁
特別講演で音響効果の重要性説く

2008/10/08
講演には多くの聴衆が詰め掛けた
講演には多くの聴衆が詰め掛けた
 『サッドヴァケイション』などの青山真治監督作品や、ドキュメンタリー『阿賀の記憶』などの録音を手がけた菊池信之が、第13回釜山国際映画祭で「Cinema Sound-Another Story」と題した特別講演を行った。

 「映画は音がなくても成立するが、音響の効果は人と人、人と物の関係をすべて規定していくもの」と位置づけ、映画製作における録音の重要性を説いた菊池。特にドキュメンタリーでは、シンクロ(同時録音)はもちろん、撮影現場で気になった風や鳥のさえずりといった音も録っておくそうで、「後で映像と音を組み合わせると、映像だけでは見えない新しい世界が生まれることがあり、とても興奮する」と強調した。

 中国・三峡ダムの完成によって水底に沈む村からの移住を強いられた女性とその家族を7年にわたって追ったフォン・イェン監督の『ビンアイ』を例にとり、その音響編集前後の映像を見せながら説明。随所に船の汽笛を挿入することで、水辺の村であることをイメージさせたり、主人公のインタビューをモノローグで重ねるシーンでは映像側の音を下げ言葉を際立たせるなど、細かい配慮がなされている。

 韓国の学生に対するワークショップも行い、菊池は「音が人に与える影響は大きい。音だけで表現しようとする試みが大事なんです」と言葉に力を込める。そして「自分の思っていることをしゃべるのでいっぱいいっぱいだったけれど、ストレートに何かを感じてもらったという反応はありました」と満足げだった。

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