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黒澤作品リメイクブームは諸刃の剣

2007/10/30
(C)2007「椿三十郎」製作委員会
(C)2007「椿三十郎」製作委員会
 黒澤明監督の名作時代劇『隠し砦の三悪人』がリメイクされることになった。この作品は、東宝の製作・配給により、1958年に公開。スケールの大きな殺陣やアクション、壮大な展開を持つストーリーなどから、黒澤時代劇の代表作の1本とされる。

 映画で千秋実と藤原釜足が演じた農民の演技が、『スター・ウォーズ』のロボットのモデルになったとかつて喧伝されたこともあり、本作の海外への影響は計り知れない。リメイクにあたっては、監督に『日本沈没』の樋口真嗣、出演に松本潤(嵐)、長澤まさみ、阿部寛が起用され、いくつか新解釈のストーリーが付け加えられるという。

12月1日(土)全国東宝系公開
12月1日(土)全国東宝系公開
 最近、テレビドラマや映画で、黒澤作品のリメイクが頻繁に行われている。テレビでは今年、『生きる』と『天国と地獄』が放映。映画では、12月1日(土)から公開される『椿三十郎』、そして今回の『隠し砦の三悪人』。さらに『用心棒』も待機中という。

 近年海外では、『用心棒』がブルース・ウィリス主演『ラストマン・スタンディング』として公開されたほか、『生きる』もリメイクの候補になるなど、国内のみならず、海外でも相変わらず黒澤人気は高い。

 こうした背景にあるのが、黒澤作品の抜きんでた娯楽性だろう。テーマが明確で物語の骨格がしっかりしており、万人にわかりやすい。時代劇やサスペンスでいえば、その圧倒的な描写力。余人にはマネのできない演出が産み出す映画の爽快感が、時代や国籍を超えて、尽きぬ関心を呼ぶのであろう。

 世界的なリメイクブームも、理由のひとつだ。リメイクされるものは知名度の高い作品が多いから、ゼロから知名度を上げる必要がない。それだけ宣伝面において有利であり、ヒットの可能性は高くなるわけだ。加えて、いいオリジナル企画がなかなか出てこないこともこの背景にはあるだろう。

 ただ黒澤作品は、オリジナルが偉大なだけに、リメイクは諸刃の剣となる。昨今のテレビ版のように、オリジナルの凄さを理解せず、交通整理的にただ物語をなぞっただけの悲惨な例も出てくる。これでは、黒澤監督の神格性が強化されるばかりだ。誰がリメイクしようが「かないっこないよ」というような黒澤プロの自信さえ感じる。だから樋口監督、腹を据えてかからないと、大恥をかくことになる。

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