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サンダンス映画祭のラインナップ発表
今年の傾向は、社会派映画よりもダークコメディ

2007/11/30
 アメリカ最大のインディペンデント映画の祭典、サンダンス映画祭のラインアップが発表された。2008年1月17日(木)にユタ州パークシティで開幕する本映画祭では、ワールドプレミア81作品を含む、計121本の長編映画が上映される。

 今年の応募総数は、長編映画2051作品、ドキュメンタリー映画1573作品と史上最多。前年は、政治色の強い社会派作品が多かったが、映画祭ディレクターのジェフリー・ギルモア氏によると、今年は日常生活を描くパーソナルな作品が多いという。

 「われわれを取り囲む世界はたしかにいろいろな問題に満ちていますが、映画作家たちはダークな作品を作るよりも、暗い現実に屈せず、希望を見つける人々を描く道を選んだようです」

 ただし、これまでの映画祭と同様、今回も傾向を見いだすのが難しいと同氏は言う。
 「どれも驚きに満ちた素晴らしい映画ですが、それぞれがまったくというほど異なっています。その違いは、作風そのものよりも、現実のとらえ方にあります。それぞれ現実生活につきものの痛みやジレンマを扱っていますが、その解決法はイデオロギー的なものではなくパーソナルであり、その多くがダークコメディという形で描かれています」

 プログラムディレクターのジョン・クーパーも同意する。「世界がダークに映るいま、映画監督たちはコメディでの自己表現を選んだようです。もちろん、単純なコメディということではなく、ダークなテイストを含んだものですが」

 この傾向はドキュメンタリー界にも見られるという。ギルモア氏は、「以前はプロのフィルムメーカーがドキュメンタリー界を牛耳っていましたが、最近はいろいろな新顔が見えます。恐らくマイケル・ムーアの影響で、より多くのフィルムメーカーがドキュメンタリーに力を入れるようになり、個人的に調査した内容の作品を発表しています。今年で言えば、 “Trouble the Water”、 “Traces of the Trade”、 “A Complete History of My Sexual Failures”などです」と語る。

 実際、ドキュメンタリー作品の応募は非常に多く、ロマン・ポランスキーやパティ・スミスについての作品といった様に、フィルムメーカーやミュージシャン、その他のアーティストを取り上げたものが数多く見られ、それだけで映画祭ができるほどという。ギルモア氏はこれをブログ現象の影響ではないかと見ている。多くの人がオンラインで個人的な意見を奔流していることが映画製作にも現れているのだろう。

 また今回は、サンダンス映画祭初参加の監督による作品が多いのが特徴だ。全121作品中、初参加監督による作品は実に51作品を数える。

 日本の作品としては、荻上直子監督の『めがね』や、山田和也監督がモンゴルの遊牧民の少女を5年間記録したドキュメンタリー作品『プージェー』。そして、日中合作として釜山映画祭でも上映された、李纓 (Li Ying)監督による靖国神社参拝問題を取り上げたドキュメンタリー映画 “Yasukuni”なども含まれている。

“Phoebe in Wonderland”
“Phoebe in Wonderland”
 その他の話題作は、ローソン・マーシャル・サーバー監督、シエナ・ミラー主演の ドラマ“The Mysteries of Pittsburgh”、ウィノナ・ライダーが出演するロマンチック・コメディ“The Last Word”、ダコタ・ファニングの妹エラ・ファニングが主演する “Phoebe in Wonderland”、アンジェリカ・ヒューストンとサム・ロックウェルが共演するコメディ “Choke”など。

 最近は、『リトル・ミス・サンシャイン』や『バス男』、『終わりで始まりの4日間』、『ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた』など、サンダンス映画祭発のヒット映画が多く生まれている(全米配給権を獲得したのは、いずれも米フォックス・サーチライト)。08年のラインアップからどれだけヒット映画が生まれるか期待がかかる一方で、各作品の売値の高騰が目立ち、各国バイヤーにとっては厳しい映画祭となっている現状もある。

 また、WGAのストの影響で、エージェントなど業界関係者は経費節約のため、参加を控えることも検討しているという。映画祭全体としてはどのくらいの盛り上がりを見せるのか注目したい。

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