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ニューライン勝負作『黄金の羅針盤』が直面する難題

2007/12/01
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
 イギリス人作家フィリップ・プルマンの子ども向けファンタジー「ライラの冒険」3部作の第1巻「黄金の羅針盤」の映画化作品が12月7日に全米で公開されるが、この作品が、製作会社ニューライン・シネマの業績に一筋の光をもたらす灯台のような存在になるのかどうか、注目を集めている。

 1億8000万ドルの製作費をかけた『ライラの冒険 黄金の羅針盤』は、ニューラインがこれまで製作した作品の中で最もコストがかかった作品になりそうだ。言うまでもなく、今秋公開される映画の中では最も製作費が高い。ニューラインは、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作と同じくらいの興行成績を挙げることを期待して、『黄金の羅針盤』に投資し、勝負に出たのである。

 同社は、12月1日(土)に、アメリカ国内の750館から800館の映画館で先行上映を行うことにした。

 ニューラインは、今年、『ヘアスプレー』という予想外のヒット作があったものの、興行成績の面では振るわない作品が続いており、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』の興行成績いかんでは、ニューラインと親会社であるタイム・ワーナー社との契約更新に影響を与える可能性もある。

 『ライラの冒険 黄金の羅針盤』は、現実世界と並行して存在する世界を発見した少女が主人公の物語で、監督はクリス・ワイツ。ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、ダコタ・ブルー・リチャーズらが出演している。

 『ライラの冒険 黄金の羅針盤』の興行はいくつかの難題に直面することになる。

 まず、本作はPG-13(13歳未満は親の同伴を強く求める)という指定がついており、PG(親の同伴を勧める)指定が付けられたディズニーの『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』のように、家族連れの観客を惹きつけることが難しくなる可能性があること。『ナルニア国物語』は、公開された週末に6550万ドルを稼ぎ、アメリカ国内だけで2億9170万ドルの興行成績を挙げた。

 この点に関しニューライン・シネマは、プルマンの3部作は、英語の原題“His Dark Materials”からもわかるように、ヤングアダルトを読者対象にした作品であり、それより幼い年齢の子どもたちを読者対象にしたC・S・ルイスの「ナルニア国」シリーズとはターゲットが異なる。それゆえ、PG指定が付けられるような映画にすれば、ティーンエイジャーの観客を惹きつけることが難しくなると強調している。

 同社の『ロード・オブ・ザ・リング』は全てPG-13指定が付けられていたし、『ハリー・ポッター』シリーズの最新2作もPG-13指定だったが、いずれの作品においても興行成績に悪影響を与えていない。

 しかし、『黄金の羅針盤』の原作書は、映画化の影響で最近のベストセラー・トップ50入りしてはいるものの、その知名度は、J・R・R・トールキンの「指輪物語」やJ・K・ローリングの「ハリー・ポッター」シリーズ、それにルイスの「ナルニア国物語」ほどは高くないのも不利な条件である。

 さらに、ワイツとニューラインは、映画化にあたってプルマンの3部作に一貫している反カトリック的な所感を和らげたものの、全米カトリック連盟がボイコットを呼びかけているという問題もある。ただし、この問題についても、宗教面で論議を呼んだソニーの『ダ・ヴィンチ・コード』やメル・ギブソンの『パッション』がいずれもヒットしたことから、興行成績にはあまり影響しないのではないかという見方もある。
 ニューラインが社運を賭けて挑む本作、公開は近い。

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