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米俳優協会(SAG)賞はコメディがお嫌い?

2008/01/05
エレン・ペイジ『JUNO/ジュノ』
エレン・ペイジ『JUNO/ジュノ』
 ゴールデングローブ賞が持つ“俳優として働く全ての男優/女優はノミネートに値する”という倫理に基づくと、主要部門に半数以下の名前しか挙がらない米俳優組合(SAG)が出すノミネーション・リストには、いつも驚かされる。
 ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)の約80名のメンバーは、1月22日に発表されるアカデミー賞のノミネーションの投票には関わらない。しかし2100名のSAG賞投票者は、その多くがアカデミー賞会員でもある。つまり、アカデミー賞の行方を占うなら、HFPAではなくSAGを参考にすべきなのだ。

 外国人記者、国内の批評家、そして俳優たち——。投票者が誰であろうと、コメディは軽くあしらわれる傾向にある。そしてこの偏見は、今年再び露わになった。HFPAが出したゴールデングローブ賞のノミネート・リストに対し、SAGはコメディ的なパフォーマンスを披露した役者たちをことごとく排除した。唯一生き残ったのは、ライアン・ゴズリング(“Lars and the Real Girl”)とエレン・ペイジ(『JUNO/ジュノ』)の2人だけ。SAGのアンサンブル賞(作品賞と同等)にノミネートされたのは、ミュージカル映画の『ヘアスプレー』以外、“3:10 to Yuma”、“Into the Wild”、『ノーカントリー』、『アメリカン・ギャングスター』といったドラマ作品ばかりだった。

 コメディ作品は、与えられるべき賞賛を各賞から得る事が少ない。しかしアメリカ映画という神殿の中で、時を経ても錆びないのものはコメディ作品に多い。例えば『ガンジー』。1983年の賞レースを総なめにした壮大なドラマ作品だが、公開時と同じように新鮮で、オリジナルな笑いと感動を与えてくれるのは同年『ガンジー』に賞賛されるべき席を譲った『トッツィー』だ。

ライアン・ゴズリング“Lars and the Real Girl”
ライアン・ゴズリング“Lars and the Real Girl”
 2007年のSAG賞から完全に見放されたのは、ミュージカルの『スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師』。アンサンブル部門でもノミネートされず、主演したジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーターの名前も挙がらなかった。また、『つぐない』もノミネートから排除。批評家団体から特に高い評価は得ていないものの、ゴールデングローブ賞では3部門でノミネートされている。

 SAG賞がシリアスなテーマの作品を好むにも関わらず、デンゼル・ワシントンやフィリップ・シーモア・ホフマンといったビッグネームたちもノミネートから外された。主演男優賞で名前が挙がったのは先述したゴズリングに加え、ジョージ・クルーニー(『フィクサー』)、ダニエル・デイ=ルイス(“There Will Be Blood”)、エミール・ハーシュ(“Into the Wild”)、ヴィゴ・モーテンセン(“Eastern Promises”)だ。

 女優賞にもこの傾向は続いている。ペイジ以外で主演女優賞にノミネートを受けたのは、ケイト・ブランシェット(『エリザベス/ゴールデン・エイジ』)、ジュリー・クリスティー(“Away From Her”)、マリオン・コティヤール(『エディット・ピアフ/愛の賛歌』)、アンジェリーナ・ジョリー(『マイティ・ハート/愛と絆』)。

 助演賞部門では、さらに“コメディ排除”の傾向が強く現れ、ノミネートを受けたのはすべてドラマ作品に出演している俳優たちという結果になった。男優部門ではケイシー・アフレック(『ジェシー・ジェームズの暗殺』)、ハビエル・バルデム(『ノーカントリー』)、ハル・ホルブルック(“Into the Wild”)、トミー・リー・ジョーンズ(『ノーカントリー』)、そしてトム・ウィルキンソン(『フィクサー』)がノミネート。女優サイドではケイト・ブランシェット(『アイム・ノット・ゼア』)、ルビー・ディー(『アメリカン・ギャングスター』)、キャサリン・キーナー(“Into the Wild”)、エイミー・ライアン(“Gone Baby Gone”)、そしてティルダ・スウィントン(『フィクサー』)が候補者となった。

 ゴールデングローブ賞のノミネートを考慮すると、SAG賞のウィナーとなるのは “Into the Wild”だろう。もしかしたら外国人記者たちは、全ての主要部門から無視されたこの至極アメリカ的なロード・ムービーには反応しなかったのかもしれない。それとも宣伝にオクテで有名な監督ショーン・ペンが、記者会見で彼らに十分な敬意を表さなかったのだろうか? 何にせよ、SAG賞は同胞俳優の監督業に大きな支援をしたようだ。

 “Into the Wild”は同賞内で最多となる4部門でノミネートを受けた。

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