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謎の多いアカデミー賞の投票システムに迫る!

2008/01/10
昨年のアカデミー賞での最終投票用紙を整理する様子
昨年のアカデミー賞での最終投票用紙を整理する様子
 映画業界に携わる者にとって、アカデミー賞にノミネートされるか否かは、一生を大きく左右するほどの重大事項。俳優、監督などは、ノミネートされたとたんにギャラが何倍にも跳ね上がったり、また、作品の興行成績が数倍になったりする。しかし、そんな重大な投票なのに、意外とそのシステムを知る人は少ない。そこで、謎の多いアカデミー賞の投票システムを紹介する。

 アカデミー賞は、エンタテインメント業界の中で唯一「選択投票」を行っている。選択投票とは、1票の中にいくつかの選択肢が入るシステムだ。アカデミー賞ノミネーションの投票の場合は、部門にもよるが、たいていは1票に5人の監督や俳優の名前、もしくは5作品のタイトルが書ける。

 監督部門の票を例にとってみよう。すべての票が集まったら、これを何段階かに分けて数えていく。まず第一段階では、すべての票の一番上に書いてある監督の名前で振り分けをする(上に書いてある名前ほど、投票した人のお気に入り)。すると、一番大きな山から小さな山まで、たくさんの山が出来る。

 山の中である一定の数に達したものがあれば、その監督は「ノミネート決定」となる。「一定の数」とは、アカデミー会員の「監督」の人数(他の部門だったらその部門の会員の数)を6で割った数字だ。

 アカデミー会員の監督の数を6で割るのは、ノミネーションされるのが5人だった場合、それに1を足した数字だ。どうして1を足すかは、専門的過ぎるので、ここでは省略する。

第76回アカデミー賞で投票用紙を郵送しているところ。
第76回アカデミー賞で投票用紙を郵送しているところ。
 具体例をあげると、例えば2004年は約6000人以上いる会員のうち372人が監督だったので、372を6で割ると62という数字になる。この場合は、票の数が62枚になったら、その人は、監督部門のノミネート決定ということになる。

 しかし、もし票が一定の数に達しても、その票の山の中に、その人の名前が一番トップに書かれてある票が1票も無ければ、ノミネートは無効になってしまう。つまり、少なくとも1票は、その人の名前がトップに書かれてなければいけない。

 さて、ノミネートがひとり決定したとしよう。監督部門のノミネートは全部で5人なので、あとの4人をどうやって選ぶのか。

 まず、ノミネートが決定した票の山は、次のカウントからははずされる。つまり、「あなたがトップに書いた監督が決定したので、これで満足でしょ」ということだ。

 続いて、まだいくつか残っている山のなかで、一番小さなものを探し、その山の票の2番目に書かれてある名前を、すでに存在している別の山の名前のところに乗せていく。この振り分けを、小さな山の票が無くなるまで続ける。そのあとは、次なる一番小さな山を見つけ、それをどんどん別の山に振り分けていく。

 これを続けていくと、5つの山が残るはずだ。これが今年のノミネート決定者の5人になる。

 難解な集計方法のように思えるが、会計の世界では一般的なことという。アカデミー賞の票のカウントは、プライスウォーターハウスクーパース社の会計士たちが行っている事で有名。毎年、票の入ったブリーフケースが盗まれないように、同社の代表2人が自分の手とブリーフケースに手錠をかけて持ち運びする姿も有名だ。

 12人の会計士がかかりきりになるというノミネーション票のカウント。今年の票の締め切りは1月12日なので、まさにこれから彼らも忙しくなることだろう。

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