
現在公開中の『音符と昆布』
今年、3回めのアフガニスタン映画祭を開催しようとしている映画監督・井上春生の新作『音符と昆布』が公開中だ。
深作欣二監督の助監督を務め、映画、CMの演出家として、映画祭のオーガナイザーとして、日本・アフガニスタン合作映画『THE ROOT』のプロデューサーとして活躍する彼の新作は、予想に反してかなりリリカル。
『音符と昆布』は、エピックレコードが、音楽プロモーションを映画という形で表現しようと始めた映画プロジェクト《CineMusica》の一本。『チェリーパイ』『東京の嘘』『WHITE MEXICO』に続く第4弾となる。井上はこのプロジェクトに、脚本・監督として立ち上げから関わった。「クリエイティブに無駄な外圧がかかることなく、文化小立国的なアイデンティティを持つことができた」というこのプロジェクトでは、「ノキアのフィンランドやアニメのチェコのように、グローバリズムに左右され、屋台骨が折れることを危惧する必要がなかった」という。『音符と昆布』の井上監督に、新作とアフガニスタン映画について聞く。
深作欣二監督の助監督を務め、映画、CMの演出家として、映画祭のオーガナイザーとして、日本・アフガニスタン合作映画『THE ROOT』のプロデューサーとして活躍する彼の新作は、予想に反してかなりリリカル。
『音符と昆布』は、エピックレコードが、音楽プロモーションを映画という形で表現しようと始めた映画プロジェクト《CineMusica》の一本。『チェリーパイ』『東京の嘘』『WHITE MEXICO』に続く第4弾となる。井上はこのプロジェクトに、脚本・監督として立ち上げから関わった。「クリエイティブに無駄な外圧がかかることなく、文化小立国的なアイデンティティを持つことができた」というこのプロジェクトでは、「ノキアのフィンランドやアニメのチェコのように、グローバリズムに左右され、屋台骨が折れることを危惧する必要がなかった」という。『音符と昆布』の井上監督に、新作とアフガニスタン映画について聞く。

第2回アフガニスタン映画祭のときのフライヤー
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映画『音符と昆布』は、人の気持ちを推し量るのが苦手なアスペルガー症候群である姉かりん、臭覚障害のある妹ももの物語。自分自身持て余す思いを交わらせたため、不協和音を生じさせる二人。だが、やがてその不協和音こそが外から新しい風を呼ぶ突破口だったことに気づき、彼女たちは成長していく。その姉妹を、池脇千鶴と市川由衣が静かに演じる。「最後に、癒しという言葉が通用しないとき、ヒトは力強く生きるしかないんだということを、池脇さん、市川さん演じる健気な姉妹が教えてくれたように思います」と井上監督。
一方のアフガニスタン映画祭。インドやイランという映画大国に挟まれたアフガニスタンの映画文化を日本に知らせたいという思いで始めた。「9.11は知られていますが、10.7にアフガン空爆があった事実は覚えられていないように、世界の脳裏から切り離されやすいアフガニスタンという国の現状を映画というツールはダイレクトに伝えてくれます」と井上はいう。
映画『音符と昆布』は、人の気持ちを推し量るのが苦手なアスペルガー症候群である姉かりん、臭覚障害のある妹ももの物語。自分自身持て余す思いを交わらせたため、不協和音を生じさせる二人。だが、やがてその不協和音こそが外から新しい風を呼ぶ突破口だったことに気づき、彼女たちは成長していく。その姉妹を、池脇千鶴と市川由衣が静かに演じる。「最後に、癒しという言葉が通用しないとき、ヒトは力強く生きるしかないんだということを、池脇さん、市川さん演じる健気な姉妹が教えてくれたように思います」と井上監督。
一方のアフガニスタン映画祭。インドやイランという映画大国に挟まれたアフガニスタンの映画文化を日本に知らせたいという思いで始めた。「9.11は知られていますが、10.7にアフガン空爆があった事実は覚えられていないように、世界の脳裏から切り離されやすいアフガニスタンという国の現状を映画というツールはダイレクトに伝えてくれます」と井上はいう。

『チェリーパイ』
「25年もの間、紛争が続くアフガニスタンは、いまだ揺れている国です。この国の映画について知る人は日本にはほとんどいませんが、娯楽を一切否定したタリバン政権時代以外は撮影所も稼働していました。そのタリバン政権が崩壊してわずか2年の2003年、カンヌで新人監督賞(カメラドール)を取った『アフガン零年』では、少女が生き延びるために髪を切り少年になります。見る人の心を鷲掴みにする分かりやすい内容です。重要なのは、そうした題材を叙事詩として成立させてしまうという明確なビジョンで、映画を商業としてだけではなく、文化として捉えることのできる作り手たちが、すでに存在している事実です」。現在、井上は、ハイビジョンのデジタル技術を供与して日本・アフガニスタン合作映画『THE ROOT』を製作総指揮している。だが機材の面などで優れた技術力を持つ日本とアフガニスタン、「究極の所、どちらが豊かなのか分からない」という。

『東京の嘘』
井上監督は、物事の捉え方は多様であるべきだと作品から語る。アスペルガー症候群のかりんにとって、音符(外灯を音符に見立てたポラロイド写真)は他の人と異なる意味合いを持つ。音楽を語るものというより、彼女の方程式に則って、規則正しく並んでいるべきもの。その他人との違いをこそ、井上は肯定する。
「同じモノを見ても、人は自分と同じ見方をしていません。人と異なった考え方をしても良いし、自分なりの視点を持つことは素晴らしいことです。誰しも彼女たちと同じように個性的でユニークな面があるはずです。そうした個性の相互理解を、この映画では行方不明の一枚の音符(写真)に託しました」。リリカルな『音符と昆布』と、アフガニスタン映画祭は、“多様な視点”というテーマでつながっていた。
「同じモノを見ても、人は自分と同じ見方をしていません。人と異なった考え方をしても良いし、自分なりの視点を持つことは素晴らしいことです。誰しも彼女たちと同じように個性的でユニークな面があるはずです。そうした個性の相互理解を、この映画では行方不明の一枚の音符(写真)に託しました」。リリカルな『音符と昆布』と、アフガニスタン映画祭は、“多様な視点”というテーマでつながっていた。
『音符と昆布』は、現在シネマート六本木、お台場シネマメディアージュ、TOHOシネマズ西新井、TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ伊丹、敷島シネポップ、TOHOシネマズ トリアス久山で公開中で、以降も全国にて順次公開予定。また第3回アフガニスタン映画祭は、3月上旬に開催の予定。そこでは、『THE ROOT』(アーマディ・ラティフ監督)も上映される予定とのこと。
井上春生(いのうえ はるお) 同志社大学法学部政治学科卒。卒業後、東映京都製作課と契約、助監督として主に深作欣二監督に師事、『華の乱』など映画を5年間、多数経験。ジャンルを問わず、テレビ、CM、ドラマ、音楽PVなどを数多く手がける。資生堂CM「おもてなしの国から。」篇でJAA広告コンクール銅賞など。アフガニスタンとの合作劇映画『THE ROOT』(製作総指揮)が完成間近である。映画監督作に『ため息の理由』『bird call』『チェリーパイ』『東京の嘘』『WHITE MEXICO』など。



















































