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「国辱なんかであるわけない」
若松孝二監督、凱旋帰国

2008/02/29
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』
 第58回ベルリン国際映画祭で、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』がアジア映画賞など2部門の受賞を果たした若松孝二監督。ベルリンからの帰途、ベイルートに立ち寄って亡き赤軍派兵士の墓に詣で、このほど日本に帰国した。若松監督にとって、今回のベルリンへの出品は“復讐戦”の趣があり、見事受賞を果たしたことで、それに勝利するという大きな意味合いがあった。

 その“復讐戦”の発端は、今から43年前(1965年)にあった。彼は、ピンク映画『壁の中の秘事』をその年のベルリン国際映画祭に出品。これが、大きな話題となったのだ。
 これには複雑な経緯があったのだが、日本からの正式なオファー作品が審査の段階で落とされ、当時の西ドイツの映画業者が独自に推薦していた『壁の中の秘事』が出品されてしまったのだ。当時は、差別の対象だったピンク映画が、正式な日本からの出品オファー作品を蹴飛ばしてしまったのだから、怒ったのは邦画大手を中心とした日本映画界の重鎮たちだ。ある新聞の映画担当記者が、『壁の中の秘事』を“国辱映画”と言い放ったことから、この出品が大きな事件になった。

 今回の映画祭では、この『壁の中の秘事』をはじめ、『天使の恍惚』など若松監督の代表作数本が特集上映された。「見た人から、なぜこれが国辱映画なのかと、不思議がられてね。今はもちろんだけど、当時だって、国辱なんかであるわけないんだよ」と若松監督。受賞や映画上映に感無量かと思いきや、「感無量というより、ちゃらちゃらした映画が多いなか、しっかりと『実録・連合赤軍~』の意味を汲み取ってくれ、評価してくれたことがうれしいね。その上で、かつての作品が上映されたことにも感謝したいよ」と言う。

 さらに「映画祭の関係者からは、コンペに出ていたら、金熊賞をとったかもしれないとも言われた。いまだかつて、見たことがない映画だ、ともね」とのこと。若松監督にとって、この2月は記念すべき“復讐の季節”となったのである。なお、この『実録・連合赤軍~』は、都内では3月15日よりテアトル新宿、ほか全国で順次日本公開されることになっている。

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