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オスカー効果で『ノーカントリー』好ダッシュ
適正な限定公開も奏功

2008/03/18
『ノーカントリー』
『ノーカントリー』
 第80回アカデミー賞で作品賞など4部門を制したジョエル・コーエン監督イーサン・コーエン監督『ノーカントリー』が15日、好調なスタートを見せた。全国で41スクリーンの限定公開ながら、15、16の2日間で動員3万1746人、興行収入4346万円(パラマウント・ピクチャーズ・ジャパン調べ)。現時点の記録は、環境問題に警鐘を鳴らすドキュメンタリー『不都合な真実』(最終成績4億3000万円)の152%だ。

 アカデミー賞作品賞ともなると、勲章的な意味合いとともに、かつては興行に多大な相乗効果が期待された。ただし、受賞の時期が公開前か公開中か、はたまた公開がすでに終了してしまったかなど、そのときどきによって効果は千差万別。それでも、日本の配給会社からすれば、受賞を見込んで公開時期を設定するのも配給手腕の一つだった。そのピークは、公開3カ月後に作品賞など歴代最多タイの11部門で受賞を果たした『タイタニック』(1997)。最終的に300億円を超え、いまに至るも歴代トップの興収を記録している。

アカデミー賞でのプロデューサー、スコット・ルーディン(中央)とコーエン兄弟
アカデミー賞でのプロデューサー、スコット・ルーディン(中央)とコーエン兄弟
 だが、ここ数年はかつてほどの効果が見られなくなった。最近、その効果がもっともなかった作品といえば、5億円に届かなかった『クラッシュ』(06)だろう。日本人に身近なスターが出演せず、硬質な内容をもった社会派作品だっただけに、勲章はほぼ名目のみにとどまってしまった。

 昨年の作品賞受賞作『ディパーテッド』も、20億円に届かず。レオナルド・ディカプリオ主演作にして、その数字なのだから、アカデミー賞効果の弱体化はジャンルや俳優を超え、一般的な傾向になってきたのかもしれない。

 そうした昨今の作品賞受賞作の興行動向を踏まえ、今回、41スクリーンでスタートしたのは大正解だった。受賞後、パラマウントには興行側から劇場数拡大の要請もあったというが、当初の予定どおりプリント本数は変えなかった。受賞の追い風があったにしても、やはり内容に合わせた適正な劇場マーケットが重要で、限定公開の中で最大限の成績を上げようとしたのだ。

 『ノーカントリー』の興行は、この公開館数の中でどこまでロングランできるかに、今後の成否がかかっている。今のところ男性客のほうが目立つが、女性客はアカデミー賞という勲章に引かれて、劇場に足を運んでいるという。作品内容からして、アカデミー賞効果は大きくはないが、それでもゼロにはなっていない。その効果のほどを見据えるのも、今後の興行展開には必要になってくる。

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