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星野執行役員、ギャガの新体制を語る
メディア・プラットフォーム事業で業界の閉塞状況を打破

2008/08/22
星野有香ギャガ・コミュニケーション取締役執行役員
星野有香ギャガ・コミュニケーション取締役執行役員
 2008年4月16 日、親会社のUSENが映画の新規買い付け、製作、出資等の事業からの撤退を表明。ギャガ・コミュニケーションズは7月11日、取締役会の決議を経て人事を発令し、新しい体制で動き出した。コンテンツ調達や製作など大きなリスクを伴う事業を停止、メディア・プラットフォーム事業に特化していくことで、利益の確実化を図っていく。
 同社取締役執行役員でマーケティング本部長の星野有香氏に展望を聞く。

星野有香(以下、星野) 7月11日に発表しましたが、実際は引き継ぎなどありますので、全員がそろっての新体制スタートは9月1日になる予定です。

——日本のインディペンデント系映画配給会社として業界の注視を浴びるギャガの動きは、日本映画界のゆくえを占う存在ともいえます。また世界の映画マーケットでも象徴的な存在。今回の体制について、改めて教えてください。

星野 ギャガは買い付け、製作などの機能をなくし、配給、DVD、テレビ、および海外セールスの業務を受託して、手数料をいただくビジネスに特化した会社へと変わりました。これからは、お仕事をいただく皆さんが、あまたある会社のなかからギャガをパートナーに選びたいと思ってくださるよう、ギャガがかかわることの付加価値を意識してやっていきたいと思っています。宣伝本部は、マーケティング本部と名前を変え、宣伝部、コンテンツマーケティング部、DVD発売、海外セールス、プロジェクト開発部などで構成します。プロジェクト開発部では、これまでの発想にとらわれず、コンサートやDVD発売のイベント、劇場を使ったプロモーションなど、映画周りでの新規案件を開発していきたいと思っています。

——昨年秋には、TYリミテッドとアスミック・エースが共同買い付けした『ヘアスプレー』を受託配給されました。そのころからこの体制の構想は固まっていたのですか?
 
星野 そういったリスクをともなわない手数料ビジネスも、事業計画のひとつの柱として立てておこうという計画はありました。

『セックス・アンド・ザ・シティ』の完成披露に臨む星野執行役員たち
『セックス・アンド・ザ・シティ』の完成披露に臨む星野執行役員たち
——これまでは洋画を買い付けるだけでなく、日本映画を作り、さまざまなメディアに販売、展開していくという“コンテンツ・ホルダ(権利保有者)”としてのビジネス・プランでしたが。

星野 今後のギャガ・コミュニケーションズは、コンテンツ・ホルダにはなりません。

——では、これまで保有されていた作品の権利はどうなるのですか?

星野 これまで保有している作品の権利およびその権利行使に関しては今までどおりギャガがこれを保有し、権利行使を行います。

——シリーズものなどで今後も買い付ける可能性があったものに関しては?

星野 ギャガでは新規の買い付けや製作は行いません。

‐‐映画ビジネスにおいて、コンテンツの権利を取得しないことのメリットは?

星野 そうですね。これまでは買い付けの値段にあわせて、公開規模を決めてきましたが、そこから解放されることによって、その作品に見合った配給、DVD、テレビのセールスができるようになったことでしょうか。買い付け金額という枷(かせ)を外したことで、逆に作品のポテンシャルを十分に発揮できるようになった気がします。以前のビジネスモデルでは、MG(ミニマム・ギャランティ)が5億円ならロードショー以外の公開形態は考えられませんでした。でもヒット感を出すことで付加価値がつく作品もあるじゃないですか。たとえば、『俺たちフィギュアスケーター』や『ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン!-』。これらは小さく公開したことでヒット感が生まれ、それが2次利用、3次利用のセールスに有利に働きました。いまの形のほうがフレキシビリティがあると思います。

——ビジネス・パートナーが、ギャガを選ぶメリットとして、これからさらに磨きをかけていきたい特長とはどんなところでしょうか?

星野 まずはインディペンデントでありながら、コンスタントに200~300館規模の劇場ブッキングができること。また、20~30代の若手を中心とした宣伝マンが、今の時代に合ったマーケティング・プランを立て、プロモーションを実践していくところも大きな特長だと思っています。ご存じのとおり、政治ドキュメンタリーやネイチャードキュメンタリー、ヒットしないといわれたミュージカルにも果敢に挑戦し、あの大きなP&A(配給コスト)を回収してきました。ギャガはそういう無茶振りが似合う会社だと思うんです(笑)。そのような点こそを評価し、面白がり、ギャガなら今のこの閉塞(へいそく)状況を打破できると思って託していただけるとうれしいですね。コメディの配給、宣伝を積極的に手がけていく試みもまさにそのひとつです。

 『セックス・アンド・ザ・シティ』の完成披露では、星野執行役員、宣伝プロデューサー、買い付け担当の女性4人で、髪の毛をセットし、舞台挨拶に臨んだのだそう。「誰も望んでないのに(笑)。でもそういう感じが大切なんだと思います。自分たちが乗って宣伝しているという。また映画業界自体があこがれの業界になっていかないといけない。アメリカなら映画業界はフロントランナーじゃないですか。そうなっていくといいなと思いますね」と笑った。

【ギャガ今後のラインナップ】
●買い付け・出資作品
『セックス・アンド・ザ・シティ』8月23日公開「絶対ヒットさせたい気合の1本」。イベントや来日で毎週話題にのぼる
『蛇にピアス』9月20日公開芥川賞ベストセラー映画化。蜷川幸雄監督、吉高由里子主演
『センター・オブ・ジ・アース3D』10月25日公開TOHOシネマズ六本木ヒルズを中心に展開。「世界初の本格的な実写3-D映画を全国区でどこまでヒットさせられるかにチャレンジ」。3-Dの劇場は公開までに51館決定しており、2-Dも合わせて上映。本作をきっかけに各劇場が3-Dの機材導入を検討中。公開までにさらに3-Dの館数をどこまで増やせるか
『ブラインドネス』11月公開カンヌのオープニングを飾った作品。フェルナンド・メイレレス監督。ジュリアン・ムーアガエル・ガルシア・ベルナル伊勢谷友介木村佳乃ほか各国の名優が集結したパニック・サスペンス
『ストリートファイター 春麗の伝説(原題)』   世界で伝説となったゲームの実写映画化
『MW-ムウ—』   巨匠・手塚治虫の禁断の作品ともいえるダークな原作に、玉木宏山田孝之がチャレンジ。善と悪、光とやみが交錯するサスペンス・エンタテインメント
『鈍獣』   宮藤官九郎脚本。細野ひで晃監督。浅野忠信主演。人気の舞台の映画化
『山形スクリーム』2009年公開竹中直人監督。成海璃子沢村一樹主演
『マイ・シスターズ・キーパー』2009年公開キャメロン・ディアスが母役を演じる臓器移植をめぐる家族の感動ドラマ
●受託配給作品
『CHE(原題)』2009年公開カンヌでベニチオ・デル・トロが最優秀男優賞を受けたスティーヴン・ソダーバーグ監督によるチェ・ゲバラの半生記
『スラムドッグ・ミリオネア(原題)』2009年公開ダニー・ボイル監督。インド版ミリオネアで勝ち上がる貧乏少年のクイズよりも壮絶な人生ゲーム
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