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ソウルの故郷アメリカに集う英国の歌姫たち

2008/03/17
ソウル・シンガー、ダフィー
ソウル・シンガー、ダフィー
 英国チャートを席捲したソウル・シンガーのダフィーが、ソウルの生まれ故郷であるアメリカでパフォーマンスを初披露した。アルバムの全米発売は5月中旬だが、アメリカはもう一度、このイギリス発のシンガーの類稀な才能を認めることになるだろう。女性シンガーの輸入が目立つなか、ダフィーは、英国出身のケイト・ウォルシュ、ローラ・マーリング、そしてスウェーデンからのリッキー・リーらのなかでも異彩を放ち、シンガー・ソングライターのなんたるかを堂々と見せつけた。

 イギリス・チャートで6週間トップを独走しているシングル曲「Mercy」を引っさげて、世界3大音楽見本市のひとつ、SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)にやって来たダフィー。昨年、エイミー・ワインハウスが衝撃的なライブを披露し、英発のソウル・ミュージックを目覚めさせたレヴィー/フェダー・パーティ会場で、計5曲を披露。「Mercy」はそのラスト・ナンバーだった。しかしワインハウスとダフィーは、コインの表と裏のように違う。ワインハウスが1960年代後半の音を使用しているのに対し、ダフィーの音楽は70年代初期の脈を受け継ぐ。ダスティー・スプリングフィールドや、ザ・ステイプル・シンガーズからインスパイアされているのだ。

 ダフィーは、60年代のグラム・ルックに身を包んで登場。彼女の両手は空に向かって掲げられ、彼女がマイクをクルクルと回すごとに、妖艶なボーカルに子猫のようなビジュアルが重なる。「Mercy」はヒット曲に間違いないが、「Warwick Avenue」を聴けば、アメリカの観客たちもダフィーをただの“ワインハウスの二番煎じ”とは思わないだろう。

 ダフィーのほかにも、今回、注目を集めたシンガーはいる。「Alas I Cannot Swim」が、イギリスで絶賛を浴びた18歳のマーリングは、言葉を巧みに操る吟遊詩人。「Shine」や「You’re No God」などの曲を聴けば、彼女の言葉遣いの巧みさがわかる。恋が持つ落とし穴に対する、大人びた視点には驚かされる。マーリングは、人生に期待するリストから、“希望を持つこと”を削除しているようだ。これまでに多くの落胆・挫折を味わっているように感じられるが、力強い音楽と歌詞が、それらの再現を防いでいる。マーリングは来週、ロサンゼルスにあるホテル・カフェでライブを行い、その後ワールド・ツアーに出る。

 「Tim’s House」でイギリスiTunesチャートの1位を飾ったウォルシュも、素晴らしいパフォーマンスを見せた。マーリングのように、ウォルシュも観客を自分の世界に惹き込み、集中させる物語性のある歌を歌う。このふたりは、多くのシンガーのライブならば、ものの数分で破られてしまう静寂を保ち続ける。これは、彼女たちの歌詞がいかに力を持っているかということを裏づけ、“魅せる”ことより“聴かせる”ことに焦点を置いていることを意味する。観客を夢中にさせ、感動的なほどのボーカル・コントロールを武器に、リーは子どものような声で、ウォルシュは天使のような声で歌う。

 リーの素直な快活さと同じように伝染したのは、シャラ・ウォーデンの弦楽四重奏曲のアンサンブル、マイ・ブライテスト・ダイアモンド。明るい心を持つ、シリアスな音楽だ。オペラの勉強を積んだウォーデンは、ギターを片手に登壇。彼女は非情に荒々しく、そして優しくアコースティック・ギターを奏でた。ロイ・オービソンの「It’s Over」を、心が躍るようなバージョンでカバーしたウォーデン。深夜の教会でのパフォーマンスは、まるで天国の門が開け放たれたようだった。

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