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映画とレストランの美味なる関係。

2007/11/01

Vol.2 「NOBU」オーナーシェフ松久信幸インタビュー
レストランビジネスで
成功する秘訣、お教えします。

NOBU MATSUHISA 松久信幸
1949年生まれ。寿司職人として東京・新宿〈松栄鮨〉で修業した後、海外のレストランの経験を経て、1987年にビバリーヒルズに〈Matsuhisa〉を開店。ハリウッドの著名人たちを魅了し人気店へ。開店から7年後、俳優ロバート・デ・ニーロ氏の誘いに応え93年8月に〈NOBU New York City〉を開店。2000年10月にはデザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏とパートナーシップを組み〈NOBU Milan〉をオープンと話題を呼んできたマツヒサは現在も世界中から出店のオファーが絶えない。
世界で最も著名な日本人シェフの一人であるノブ・マツヒサは日本食を世界に広め、より身近にした第一人者。NOBUの料理は日本料理の技術と食材を基本に、西洋、特に南米料理の要素を取り入れた独創的な料理。フード業界でも全米ベストシェフ10人(Food & Wine紙)や全米「味」部門1位(Zagat Survey)、NOBU Londonのミシュラン一つ星獲得と数々のレーティングで評価されている。

「ハリウッドにセレブリティがこっそり通う日本食レストランがある」といううわさが聞こえてきたのが1990年ごろのことだっただろうか。その後俳優ロバート・デ・ニーロと共同経営する〈NOBU New York City)をオープンするやいなや、〈NOBU)は日本食の代名詞となった。そしていまや自身がプロデュースする〈NOBU)レストラングループの店舗数が21店舗。今年虎ノ門にオープンした直営店〈NOBU TOKYO)も順調、プライベートジェットで世界各国の店舗を見て回るジェットセットなライフスタイル。まさにレストランビジネスで大成功した典型に思える松久信幸さんだが、ご本人は「私はシェフ」と胸を張る。そこに、彼の自負と誇りがある。
「誰でもお金さえあれば、お店は作れます。でも、レストランは仕事をする人がいないと、まわっていかない。だから何より、まず人を育てることが大切なんです」
 この信念があったからこそ、彼はロバート・デ・ニーロの「一緒にレストランをニューヨークでやろう」という、夢のような誘いも、最初は断ったのだ。

デ・ニーロが4年待ったことで
開店を決意

Eiichi Takahashi & Shibata Publishing Co. Ltd
Eiichi Takahashi & Shibata Publishing Co. Ltd
 その理由について、松久さんはこう説明する。
「1987年当時、私は40席の小さなレストラン〈Matsuhisa)を開いたばかりで、この店をなんとしても完成させようと必死でした。だから、映画を観る暇もなかったし、ロバートがそこまで有名な俳優だって、知らなかった。というのも、私はそれ以前にアンカレッジでやっていた店が火事で全焼してしまい、何もかも失って、もう死ぬしかないか、みたいなところから再出発し、やっと〈Matsuhisa)を出したばかりだったんです。店を広げるより何より、まだこの小さな店舗も完成していない。お客様のおもてなしを一番に考える店にはまだ到達していない。そう思ったからです」
「だからその時は断ったんだけれど、彼はそれを了承してくれた。その後も客として、ロスアンジェルスに来たときはふらりと寄ってくれていた。その間に知り合うにつれ、人間として彼は信頼できる人なんだな、と感じるようになったし、4年経った頃、『そろそろどう?』と言われて、そこまで時が満ちるのを待ってくれた。一人の人間として礼と尊敬をつくしてくれる、すばらしい人だと思ったんです」
 つまり、ロバート・デ・ニーロと松久さんの間は、ビジネスパートナーというよりも、おのおのの職業で必死に闘っていることを認め合う、人間同士の絆が礎となっている。「彼としては『レストランビジネスをやりたい』というよりも『自分の気に入りの店が、ニューヨークのご近所にあるといいな』という気持ちだったんじゃないかな。その彼が賛同してくれたのは、お客様を大切にする、という私の考え方です。私が店をやり、彼はそれを見守る。普通、アメリカではビジネスパートナーと契約を結ぶ際、シビアな契約条件がついたりすることも多々あるけれど、それもない。売上目標のノルマもない。だから私はサービスの質と料理のクオリティに専念することができた」

ひとつの成功が成功を呼ぶ。
「好き」という気持ちが核になる。

Eiichi Takahashi & Shibata Publishing Co. Ltd
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 二人の共同経営者の間に尊敬がある。そこから始まったニューヨーク店は大成功を収め、97年にはロンドンのグリーンパークを見渡せる一等地に〈NOBU LONDON)をオープン。これも大成功。以来、松久さんのもとに「NOBUを私の国にも」というオファーがたくさん舞い込むようになる。
 ハリウッドのセレブリティに圧倒的に支持されるようになった理由を彼はこう語る。
「やはり映画業界のお客様はセンシティブです。食べ物にしても、すごく気を使っている人も多いし、サービスについてももちろんそう。そんな彼らにとっては〈NOBU)にいけば大丈夫、というのが、本当に安心なんじゃないでしょうか」
「最初からマーケティングし意図して大きくしようと思っていたわけではありません。私はシェフで、そんな発想はなかった。ただひとつ言えるのは、この料理、このサービスが好きだ、という気持ちがないままスタートしても、結局そこにはハートはない。店っていうのは、お客様が料理を楽しみ、サービスを楽しむ場所。魂が入っているからこそ人は感動する、ということを、我々二人とも、ジャンルは違うながらも深く理解していたことが、〈NOBU)を単なるレストランではなく、エネルギーを感じる場所になったのだと思います」

アメリカではレストランは
一世代の事業

 同時に松久さんはこうも言う。
「日本では200年、300年世襲で続いている料理屋さんもあるけれど、アメリカでは成功したら、それをキャッシュアウトする、という考え方が一般的。私がもっと年をとったら〈NOBU)もまた次のステップに移っていくんだと思います。例えば、今ホテルをオープンする計画があったり、来年にはメキシコ、モスクワ、ドゥバイにもレストランをオープンする予定です」
 母国である東京の店舗はやはり特別かわいい、そう結んだ松久さんは、明日ハワイの店舗を見に飛び立つ予定だといった。東京滞在1週間弱。その間毎日店に出て打ち合わせをし、チェックしてまわる。確かに、動機がビジネスだけではこのスケジュールはこなせないのである。

NOBU TOKYO●ノブ トーキョー
〒105-0001
 東京都港区虎ノ門4丁目1番地28号
虎ノ門タワーズオフィス1階
tel. 03-5733-0070
http://www.nobutokyo.com/
営業時間
◆ ランチ
14:00 ラストオーダー  11:30 ~ 15:00 日  平  
◆ ディナー
22:30 ラストオーダー 22:00 ドアクローズ  18:00 ~ 23:30  月~土曜日  
22:00 ラストオーダー 21:30 ドアクローズ  18:00 ~ 23:00   日曜・祝日  
◆ 定休日 : 年末・年始、ビル側のメンテナンスにより年2回予定

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