ヘッダーの始まり

グローバルナビゲーションの始まり
ホームニュース特集インタビュー動画コラムレビュー(選択中)ランキングフォトギャラリーピックアップ
最新映画情報V ブログ教えて!エンタ業界転職情報フロムジャパンV プラスメールマガジンプレゼント映画データベース
パンくず式ナビゲーション

にがくて悲しくて、しかし美しい恋物語

2008/04/15

●2007年/イギリス/ドルビーSRD、DTS、SDDS/ヴィスタサイズ/123分/2008年4月12日から日本公開
●配給:東宝東和

映画的なロマンスの世界を堪能

©2007 Universal Studios.All Rights Reserved
©2007 Universal Studios.All Rights Reserved
 にがくて悲しくて、しかし美しい恋物語である。ストーリーが波乱に富み、その語り口がじつに上手いし、映像的にもぐいぐい引っぱっゆく力がある。久しぶりに映画的なロマンスの世界をたんのうすることができた。イアン・マキューアンの原作の良さであり、監督のジョー・ライトも若いのに大ベテランのように落ちつきはらって存分に力量を示している。

 イギリスの田舎に大邸宅を構えている上流階級の令嬢セシーリアと、このお屋敷の使用人の息子ボビーとが愛し合っている。ボビーは秀才なので主人の援助で大学にやらせてもらっているが、身分違いだからこの恋は難しいだろうと予感される。それが家族の反対かなにかで引き離されようとするのが古いメロドラマの基本だが、そんな手あかにまみ

れた階級差別的な意識はもう持ち込まない。この恋人たちの仲を引き裂くのは、この令嬢の妹の13才のブライオニーのボビーに対する嫉妬なのである。それもムキ出しの醜い感情ではなくて、素敵なお兄さんみたいなボビーに対するほのかな憧れや、その彼の姉にあてたラブレターに書かれていた露骨すぎる文句から受けた誤解など、さまざまな条件で動揺していた心理状態で、ちょっとした嘘を口走ってしまう。それが重大な結果を生んで、ボビーは冤罪で刑務所に入れられ、そこを出るために兵士を志願しておりから始まった第二次大戦の緒戦のダンケルクの惨敗の戦場をさまようことになる。

メロドラマを超えたシリアスな感銘のあるラスト

 妹の嘘が悲劇の原因だが、この思春期の少女の揺れ動く心理がていねいに美しく描かれているためにそれなりに理解でき、憎む気にはなれない。だから恋人たちの不幸が耐えるしかない運命的なものと感じられ、見事に耐えつづけるボビーとセシーリアに強く同情でくる。その耐えつづける不運の背景として第二次大戦は圧倒的だ。緒戦でフランスに送り込まれたイギリス軍はドイツ軍の猛攻で敗北し、何万もの敗残兵が海岸に集って目前のイギリスからの救出を待った。これが有名なダンケルクの悲劇だが、失意のボビーの、もうどうにでもなれと言いたい気持ひとつを表現するのに民族の不運の壮大なスペクタクルを背景として展開するというところが映画としてまことにぜいたくであるし、これでこそこの物語は大きなロマンスになる。そう、『風と共に去りぬ』だって『君の名は』だって、大メロドラマというのは個人の悲恋を国家や民族の悲運の代表に祭りあげることで成功するものなのだ。この間、セシーリアが看護婦を志願してじっと耐えているあたりでこの作品の悲恋はさらにぐっと格調が高くなる。

 さて、妹の嘘にはどう結着がつけられるか。物語の全体を貫く主題はじつは姉の恋ではなく、妹が自分の罪をどう自覚し、どう「つぐない」をつけるかというところに置かれていて、それでメロドラマを超えたシリアスな感銘がもたらされることになる。話は現代に飛んで、老いたるブライオニーを演じるのが大女優のヴァネッサ・レッドグレーヴ。彼女の貫録ではじめて成立する『つぐない』の名場面とはなにか。これは見てのおたのしみである。

BOOKMARK Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 Buzzurlにブックマーク はてなブックマークに登録   E-MAILメールで送る   PRINT印刷する


パンくず式ナビゲーション
広告エリアの始まり

フッターナビゲーションの始まり
フッターの始まり