『築地魚河岸三代目』
●2008年/日本/カラー/116分/6月7日から日本公開
●配給:松竹
●配給:松竹
サラリーマンの仕事は退屈なものという松竹映画のきまり

© 2008 「築地魚河岸三代目」製作委員会
下町的な少ししめっぽい人情を軸に、笑いとラブロマンスを適度にミックスした大衆映画として良く出来ていると思う。東京は築地の日本最大の魚市場を舞台にして、大沢たかおの一流企業のエリートサラリーマンが、その出世コースをなげうって威勢のいい魚河岸のアンチャンに見事転身するという話である。理由は彼が魚河岸の仲卸の名店の跡とり娘(田中麗奈)に惚れたからである。話としては定石どおりで陳腐と言ってもいいようなものだ。けれどもこの映画のいいところは、魚河岸の仕事をけっこうこまごましたところまで描き込んでいて、魚の売り買いといってもなかなか奥の深い職業なんだなと感心させるところにあるのだ。魚の旬とか産地だけでなく、獲れたばかりの漁師との格闘で疲れている魚は、ちょっと休ませてからのほうが旨くなる、というような面白いことを教えられる。そんな知識に感心しているうちに、なるほどこんな面白い商売ならなまじのサラリーマンよりよっぽどやり甲斐があるかもしれないな、と思わせられるのである。そうするとありふれた筋立ても新鮮なものに甦る。もっともサラリーマンの仕事だってていねいに描き込めばそれぞれに面白さもあるはずだが、サラリーマンの仕事は退屈なものというのが松竹映画では昔々からのきまりになっている。
手堅くいい仕事をした松原信吾監督
魚を扱うことがプロの客たちを相手に魚河岸の店で商売するのはただ元気がよくて頑張るというだけでは出来ない。店員はみんな、若い頃からの叩きあげである。大沢たかおの主人公旬太郎は商社の課長からの転身。それでいったいやれるものか、とは店の主人(伊東四朗)でなくても言うだろう。これに対抗するのは生れながらの味覚の才能であるという設定である。ただし才能は磨かなければならない。そこで面白いのは彼が自腹をきって魚を買って味覚の修練をすること。それを手伝ってくれる店員のひとりに拓也という気のいい若者がいるのだが、これを荒川良々が演じている。出場は少ないがこれがなかなかいい味だ。黙って無表情でつっ立っているだけでなんとなく頼もしい。こういう役者がもう何人かいるとこの映画の奥行きはぐっと深くなるだろう。
大沢たかおと田中麗奈はいつ見ても感じがいい。それは貴重なことだが、これがシリーズ化されて連作ということになると、それだけでは足りないということにならないか。松竹はこれを『釣りバカ日誌』に次ぐシリーズにしたいらしい。そのためにはもうひとつ演技の巾を大きくすることが期待される。せっかくいい材料なんだから、ぜひシリーズ化に成功してほしい。松原信吾監督は手堅くいい仕事をしている。とくに魚河岸で働く人たちのプライドをそれなりに描き込んでいるところがいい。
大沢たかおと田中麗奈はいつ見ても感じがいい。それは貴重なことだが、これがシリーズ化されて連作ということになると、それだけでは足りないということにならないか。松竹はこれを『釣りバカ日誌』に次ぐシリーズにしたいらしい。そのためにはもうひとつ演技の巾を大きくすることが期待される。せっかくいい材料なんだから、ぜひシリーズ化に成功してほしい。松原信吾監督は手堅くいい仕事をしている。とくに魚河岸で働く人たちのプライドをそれなりに描き込んでいるところがいい。











































