『JUNO/ジュノ』
●原題:JUNO/2007年/アメリカ/96分/2008年6月14日(土)より日本公開
●配給:20世紀フォックス
●配給:20世紀フォックス
予期せぬ妊娠を出産までもっていこうという、昨今人気のミニ・ジャンルを継承し、とんでもなく生意気なセリフが次々と繰り出されるコメディ。生まれてくる子どものために計画されていた養子縁組は、うまく行かず、物語はあらぬ方向へと展開していく。本作で、“子ども”という責任を背負い込むのは、16歳の高校生。演じているのは、もう才能の塊としか言いようのないエレン・ペイジ。こうした要素を与えられ、作り自体もきびきびしている本作は、“Knocked Up”や『ウェイトレス おいしい人生のつくりかた』よりも、さらに若い層に向けて作られたものになっている。うっかり、若くして父親となってしまう少年の役にマイケル・セラ(『スーパーバッド 童貞ウォーズ』)を迎え、『サンキュー・スモーキング』で鮮烈な監督デビューを果たしたジェイソン・ライトマンの第2作目となる本作は、昨年末の米公開時、大作や賞狙いの重苦しい作品を向こうに回し、ホリデー・シーズンのもうひとつの選択肢として大健闘したのであった。
茶目っ気タップリで楽しい、急流のようなセリフの数々
登場人物の口から急流のように流れ出すセリフの数々は、茶目っ気タップリで楽しく、言葉の意味にひねりが加えられている。それだけで観客は、この仕事が、かなり力量のある脚本家によるものであることを知ることになる。その脚本家こそ、ディアブロ・コディ。若い彼女は、聡明なティーンが連発する気の利いた言葉を操ることに長けていると同時に、全く異なる2種類の大人たちの態度を巧妙に描くこともできている。
事実、おませで妖精のようなジュノ・マックガフ(ペイジ)が饒舌に繰り返し語る様は、最初のうち、あまりに次から次へと続くので、場の雰囲気が重苦しくなりかけたり、自意識過剰な聡明さばかりが目立ったりするのだが、それもこれも、親友ポーリー・ブリーカー(セラ)との子どもを身篭ることになった状況を、彼女がどれほど上手く仕組んだかを詳しく説明するためのものであったりする。
「中絶は軽率な行動」と罵られながら訪れた病院は、不愉快な場所で、結局、ジュノは中絶を断念し、両親に妊娠の事実と子どもを養子に出すという決意を告げる。労働者階級の父親と義理の母親を演じるのはJ.K.シモンズとアリソン・ジャネイ。2人が次々と繰り広げる機知に富んだやりとりが印象的で、とてもにぎやかなシーンに仕立て上げられている。
事実、おませで妖精のようなジュノ・マックガフ(ペイジ)が饒舌に繰り返し語る様は、最初のうち、あまりに次から次へと続くので、場の雰囲気が重苦しくなりかけたり、自意識過剰な聡明さばかりが目立ったりするのだが、それもこれも、親友ポーリー・ブリーカー(セラ)との子どもを身篭ることになった状況を、彼女がどれほど上手く仕組んだかを詳しく説明するためのものであったりする。
「中絶は軽率な行動」と罵られながら訪れた病院は、不愉快な場所で、結局、ジュノは中絶を断念し、両親に妊娠の事実と子どもを養子に出すという決意を告げる。労働者階級の父親と義理の母親を演じるのはJ.K.シモンズとアリソン・ジャネイ。2人が次々と繰り広げる機知に富んだやりとりが印象的で、とてもにぎやかなシーンに仕立て上げられている。
殺菌されたような新しい豪邸に住む里親候補の夫婦
ジュノは、生まれてくる小さな赤ちゃんの里親に最適な夫婦と知り合うきっかけをつかむ。彼女の町から1時間ほどの場所にある、殺菌されたような新しい豪邸に住む(撮影は、カナダのバンクーバーとその近郊)、それはまぁ魅力的なマーク&ヴァネッサ・ローリング(ジェイソン・ベイトマン&ジェニファー・ガーナー)が、その夫婦。契約が交わされ、子どもが欲しくてたまらないヴァネッサのために、ジュノは、ローリング夫妻にお腹の中の超音波写真などを見せようと、2人の家を何度も訪れる。その間、ポーリーとは距離を置いたままだ。
だが、40幾許かになろうというマークは、著名なコマーシャル音楽の作曲家でありながら、ロックスターになれなかったことに、いまだ未練たっぷりで、彼のジュノを見つめる視線が、次第におかしなものになり始める。音楽の話題をきっかけに親密になっていく2人は、後にダリオ・アルジェントとハーシェル・ゴードン・ルイスなど、スプラッターホラーの巨匠たちの功績を議論し始めたりする。あまりに親密になり、ついには不安になってしまったマークは、このチャンスを逃すまいと、結婚生活も養子縁組計画も投げ出してしまおうと考え始める。
だが、40幾許かになろうというマークは、著名なコマーシャル音楽の作曲家でありながら、ロックスターになれなかったことに、いまだ未練たっぷりで、彼のジュノを見つめる視線が、次第におかしなものになり始める。音楽の話題をきっかけに親密になっていく2人は、後にダリオ・アルジェントとハーシェル・ゴードン・ルイスなど、スプラッターホラーの巨匠たちの功績を議論し始めたりする。あまりに親密になり、ついには不安になってしまったマークは、このチャンスを逃すまいと、結婚生活も養子縁組計画も投げ出してしまおうと考え始める。
器用で遊び心に溢れる脚本家コディと
才能の塊としか言いようのない、愛らしいペイジ
この中盤のムカつくような展開にも関わらず、物語の終盤は、脚本家コディの手によってうまくまとめられている。彼女の紡ぐセリフは、時に、いかにも凝り過ぎという感も否めないが、それでもなお、器用で遊び心に溢れ、注目すべき脚本家であるという印象を、しっかりと残している。ライトマンのきびきびした演出力もあり、作品自体もスピード感のある展開を見せ、そのほとんどがキミヤ・ドーソンによる、そこそこ人気の出そうな楽曲も、上手く雰囲気を盛り上げてくれる。
セリフや映画全体も、単に飽き飽きするほど饒舌であるというものにならずに済んでいる。これは、ジュノが、時に置かれた状況に取り乱すということがあっても、ただの知ったかぶりなのではなく、真実聡明で冷静であるという事実があるからこそ、である。だが何と言っても、この映画の切り札、最大の功労者はペイジであろう。『ハード キャンディ』で感じられた彼女の優れた将来性は、本作でのすばらしい演技で、証明以上のものを見せ付けてくれた。この愛らしく若い女優は、類まれなバランス感覚と冷静さで、尋常でない量のセリフを、しっかりと自分のものにしている。
親友に見捨てられたと感じている、高校陸上のスター選手を演じるセラが見せる、控えめな物静かさと遠慮がちな態度は、そんな彼女に対する対抗勢力としてうまく働いている。
製作技術面での価値は、そこそこのものだが、しっかりとした仕事をしていると言える。
セリフや映画全体も、単に飽き飽きするほど饒舌であるというものにならずに済んでいる。これは、ジュノが、時に置かれた状況に取り乱すということがあっても、ただの知ったかぶりなのではなく、真実聡明で冷静であるという事実があるからこそ、である。だが何と言っても、この映画の切り札、最大の功労者はペイジであろう。『ハード キャンディ』で感じられた彼女の優れた将来性は、本作でのすばらしい演技で、証明以上のものを見せ付けてくれた。この愛らしく若い女優は、類まれなバランス感覚と冷静さで、尋常でない量のセリフを、しっかりと自分のものにしている。
親友に見捨てられたと感じている、高校陸上のスター選手を演じるセラが見せる、控えめな物静かさと遠慮がちな態度は、そんな彼女に対する対抗勢力としてうまく働いている。
製作技術面での価値は、そこそこのものだが、しっかりとした仕事をしていると言える。













































