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頭のてっぺんからつま先まで
リサイクル感たっぷりのウェディング・コメディ

Lael Loewenstein
2008/07/01

●原題:Made of Honor/2008年/アメリカ/100分/2008年7月12日(土)より日本公開
●配給:ソニー・ピクチャーズ

(c)2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved
(c)2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved
 店頭にずっと飾られていたウェディングドレスに新しいサッシュをつけてごまかしたような、頭のてっぺんからつま先までリサイクル感たっぷりの映画になってしまっている本作。というのも、ジュリア・ロバーツ主演、1997年の大ヒット作『ベスト・フレンズ・ウェディング』の性別を入れ替えてみただけの作品であるからに他ならない。その作品では、親友の結婚相手に恋をしてしまったことに気がついた主人公が親友の結婚式を邪魔しようとするが、今回の作品で結婚式を邪魔する役を引き受けているのは、テレビ・シリーズ「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」で人気のパトリック・デンプシー。安易に予想がつく役柄ではありながら、女性ファンの票を獲得しなければという役割を課されている。劇場とのハネムーン期間は短いかもしれないが、マックドリーミー先生にぞっこんというファンと独り身でさびしい女性たちが、女友達だけで集まった夜なんかにレンタルビデオで、このロマンチック・コメディを楽しんだりすることはあるだろう。

楽観的な未婚女性に向けた内容は
ネイルサロンのブライド誌の方程式と同じ

 ハリウッドに、あまた数え切れないほどウエディング・コメディが存在するのは、言うまでもなく、いつまでも楽観的な未婚女性の人口が多いからということで説明がつく。数少ない特筆すべき例外を除き、その方程式は、ネイルサロンにページの端がぼろぼろになるまで無造作に置いてある、モダン・ブライド誌の内容にますます似てきている。まあまず、まっとうにおもしろく、男性も楽しむことができる『ウェディング・クラッシャーズ』(日本未公開)のような作品もあれば、『ザ・ウェディング・デート』(日本未公開)や『ウェディング・プランナー』などのつまらない作品は、半ダースにも及ぶという具合である。

 残念なことに、『近距離恋愛』は後者に入ってしまう。脚本のアダム・ステイキエル、デボラ・カプラン、ハリー・エルフォントが作り上げた設定は、デンプシー扮する独身主義のトムが、親友のハンナ(ミシェル・モナハン)に対する長年にわたる自分の気持ちに全く気づかない、というところから始まる。

 ものすごくかわいらしい大学キャンパスのセットが舞台のプロローグでは、トムとハンナの不運な初対面が描かれている。ハンナを自分のルームメイトだと勘違いし、彼女のベッドに潜り込む泥酔したトムは、香水を浴びせかけられてびしょびしょになるという憂き目にあう。驚きゾッとしたハンナは、トムが、例え地球上最後の男だとしても、彼とは絶対に寝ないと宣言。しかし、それから10年の年月が流れ、いまでは2人は、とても仲のよい友人となっている。

いかにハンサムなデンプシーとは言え、
雨風にさらされた42歳が約31歳の役とは無理がある

 もし、この映画の中の論理と暗に示されている時間配列を信じるとすれば、物語の残りの部分、トムは約31歳ということになる。確かに、デンプシーはハンサムだが、実際は雨風にさらされた42歳。それを考えると、設定にはちょっと無理がある。だが、どうやら、もっともらしさや本当らしさは、本作の招待リストにおいて、あまり優先順位が高くないようなのである。

 トムとハンナが、最初の出会いにもかかわらず親しい友人になったり、また、彼女が、ずっとよい判断を下したにもかかわらず、ナルシストな女たらしのカサノバに気持ちを寄せたりするといったことは、必ずしも無理があるとは言わない。週ごとのランチとマンハッタンでの散歩をくり返しながら、ハンナはトムの恋愛における頑ななルールをたしなめる。そのルールとは、1人の女性と長く付き合わないこと、深く本気で関わらないこと、そしてもちろん結婚はなし、というものである。いまや、企業家として成功をおさめている彼は、6度もの結婚を経験しても、救いようのないほどロマンチストな父親(シドニー・ポラック)のようになりたくないのだ。

男らしいトムが“筆頭花嫁付添い人”を
喜んで耐え忍ぶ設定の無理

 仕事の責任上、ある時ハンナはスコットランドに長期出張をしなければならなくなる。そのとき、トムはいかに自分がハンナを恋しく思っているかということに気づくのである。感情的なぎこちなさと肉体的なドタバタ劇を効果的に混ぜ合わせ、とてもよく演じられている場面を通して、トムはハンナへの気持ちを告げる計画を立てる。ただ、同時に彼は知ってしまうのだ。彼女が、ウイスキー会社の御曹司で大富豪のコリン(ケヴィン・マクキッド)に出会い、まっさかさまに恋に落ちてしまったことを。

 スコットランドでの結婚式を2週間後に控えたハンナは、トムに筆頭花嫁付添人になって欲しいとお願いする。彼は、それこそが結婚を邪魔する唯一の機会だと考える。ただ14日間で海外での大規模な結婚式を計画し、実行するということは、たとえメラニア・トランプ以上に裕福であるとしても、現実的には信じがたい。また、それよりさらにありえないのは、男らしい性格のトムが女々しさの代名詞のような“筆頭花嫁付添い人”という呼称を、喜んで耐え忍んでいるということだ(現実に、親しい男の友だちを結婚式に巻き込もうとする花嫁は“案内人”とか、解剖学的により正しい“ベスト・マン<本来は新郎の付添い人の意味>”を使うことが多い。“筆頭花嫁付添人”よりは、ごてごて飾り立てた感じが少なくなっているが、もちろん両義語句のもととしての使い勝手はずっと悪い)。

ペーソスとコメディの間を演じるデンプシーは、
もっとよい主演作品を見つけるべき

 物語が、ここから弾みをつけていくことを予想するのは簡単なことだろう。トムは、責任を果たしていく過程で何度もつまずき、繰り返し他の花嫁付添人たちの怒りを買いながら、スコットランドへと向かう。そのスコットランドで、彼は自分に、まだ男としてハンナを手に入れる可能性があるのかどうか、彼女の前で証明してみせなければならない。監督ポール・ウェイランドも物語の流れをうまくコントロールしており、いくつかのシーンはまあまあおもしろく、作品自体も俳優たちの才能や製作価値をケチっている様子はない。しかし、どうしても、すでにどこかで見た、どこかで触れたと感じずにはいられないのだ。

 そういったことは、特にデンプシーのクラスの俳優にとっても言えることなのだ。ペーソスとコメディの間の微妙な線を出すことで、本領を発揮する彼のような俳優は、演技の幅の広さを見せることのできるような役柄を積極的に探していくべきであろう。彼がこんなポンコツ車よりも、ずっとよい主演作品にふさわしいことは確かなのだから。

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