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オリジナルより30分短い
まずまずの出来の絶叫マシーン

デニス・ハーヴェイ
2008/07/09

●原題:One Missed Call/アメリカ=ドイツ=日本=イギリス/2008年/86分/7月19日(土)より日本公開
●配給:角川映画

 また新たに、和製ホラーが西洋消費者向けにリサイクルされてしまった。常軌を逸した日本人ホラー映画監督、三池崇史の、彼にしては大衆向けかつ商業的な色が強い『着信アリ』(2003年製作)のリメイクである。英語による監督デビューを果たしたエリック・ヴァレット(日本劇場未公開のフランス語長編作品『マレフィク 呪われた監獄』も、2003年にファンタジー系の奇抜な作品を扱う映画祭で話題を呼んだ)は、いくつかの面でリメイク作品に改良を施している。オリジナルより30分近くも上映時間を短くしているところは、そのひとつ。派生物ではあるが、このまずまずの出来と言っていい絶叫マシーン、似たジャンルのライバル作品がほとんどない週末だったこともあり、公開週末に米国内で1350万ドルの興行収入を達成している。その他の国々でも確かな成績を残すはずで、二次使用からの収入も期待できるだろう。

大学街を襲う容姿端麗な生徒たちのおぞましい死

 日本庭園風な池で起きた若い女性と彼女の猫の変死をきっかけに、あるアメリカの大学街(ロケはジョージア州の様々な場所で敢行された)で次々と起こる、容姿端麗な生徒たちの性急でおぞましい死。被害者たちは社会的もしくは職業的につながりを持っていた。と言うのも、彼らの携帯電話のアドレス帳が、次の被害者の死を予告していたのだ。

 不気味なことに、殺された生徒たちの携帯電話に、その直前に殺された被害者から留守番電話メッセージが届く。メッセージ内容は受信した本人の最期の声、暴力的に殺された、その瞬間の音なのである。

留守電メッセージから死までの気が狂うような2日間

 メッセージを受け取ってから死までの気が狂うような2日間は、「私には死者が見える」のバリエーションともいえる様々な幻覚で埋め尽くされる。電話の電源を切っても、バッテリーを外しても、電話を投げ捨てたり粉々になるまで破壊したりしても、留守番電話で死の宣告を受けた人間は、生命の危機を避けることができない。

 こんな状況では、友人たちのグロテスクな死を次々と目撃してしまうという不幸を背負ったべス(シャニン・ソサモン)や、彼女を取り巻く友人たちのキャンパスライフが楽しいものであるはずがない。明らかに次に狙われているのはベスなのだが、彼女は疑り深い当局(めずらしく目立たない役を演じている警官役のコメディアン、マーガレット・チョーを含む)を説得することができないでいる。そんな彼女を信じるのは、妹を不可解な死で失くしたジャック・アンドリューズ刑事(エド・バーンズ)だけなのである。

三池のオリジナルとヴァレットのリメイクは一長一短

 アンドリュー・クレイヴンの脚本はオリジナル版(かつ、おそらく原作となった小説)の基本的な設定といくつかの具体的なシーンを残しながらも、かなり自由な脚色を施している。脚本家クラヴァンと監督ヴァレットはオリジナルの若干複雑でむらのある物語の展開を引き締めているものの、最後の一幕でばかばかしさをエスカレートさせたことでその部分を相殺させている。三池のオリジナルでは、登場人物の悲運がリアリティ・テレビ番組の食い物にされるというハイライトが物語の中ほどにあるのだが、本作での再現は比較にならないほど効果が薄い。

 プラスな面を見れば、ヴァレットが、おそらく雇われ仕事でハリウッドの駆け出しという状況の中、サスペンスを保つことに関しては(ほとんどが、次に何が間違うのかという恐怖に対する期待感のバリエーションだとしても)、相当の安定感を見せていることだろう。製作面は洗練されており、雰囲気をうまく醸し出している。

山ほどの悪夢や緊張感にも関わらず、PG-13はアリ?

 ソサモン(『Rock You! <ロック・ユー!>』、“Wristcutters: A Love Story”*日本未公開)は、パニック状況に陥った印象を見事に表現しているそれまでの死者たちに比べ、感情的に落ち着き過ぎであろう。バーンズは妥当。

 本作のインパクトを薄めているのは、児童虐待を物語の暗い背景に設定していることや、いかにもCGで作りこまれた怨霊たち、そして、PG-13(13歳未満の鑑賞は保護者の注意が必要)というレーティングにしかならないような「捕まえたぞ!」的ありふれた仕掛けの数々だろう。

 懸念されているレーティングの面で、この作品は、MPAA(米国映画協会)の真価を問うものになってしまっている。山ほどの悪夢のようなイメージや暴力、緊張感が描かれているにもかかわらず、あからさまな殺人(腐乱死体を除く)の描写や、明白な性的表現がなされていないため、無責任な家族なら鑑賞可能だとみなされてしまったというわけだ。

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