『百万円と苦虫女』
●2008年/日本/ビスタサイズ/ドルビーSRD,DTSデジタル/121分/2008年7月19日よりシネセゾン渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国にて日本公開
●配給:日活
●配給:日活
他人と付き合うのが苦手な若い女性にとってはフリーターという生き方は案外いいものかもしれない。
『タカダワタル的』(04年)『赤い文化住宅の初子』(07年)のタナダユキ監督の新作。蒼井優演じる主人公は、人付き合いが好きではない地味な女性。といっても、引きこもりとは違う。与えられた仕事はきちんとこなす。それなりの社会性、協調性は持っている。ただ他人と密な関係にはなりたくない。いわば自分だけの世界を大事にしたい柔らかいアウトサイダー。
『タカダワタル的』(04年)『赤い文化住宅の初子』(07年)のタナダユキ監督の新作。蒼井優演じる主人公は、人付き合いが好きではない地味な女性。といっても、引きこもりとは違う。与えられた仕事はきちんとこなす。それなりの社会性、協調性は持っている。ただ他人と密な関係にはなりたくない。いわば自分だけの世界を大事にしたい柔らかいアウトサイダー。
自律する若き女性のアウトサイダー
自分勝手な男とのトラブルで警察の厄介になった彼女は家に居づらくなり、放浪の生活を始める。若い女性だって放浪に憧れる。
まず働かなくてはと海辺の町へ行き、アパートを借り、海の家でアルバイトの仕事を見つける。このあたり自立精神に富んでいる。彼女が終始好ましいのは自立しているからだ。
海の家で、かき氷の使い方がうまいと店主に褒められるのが笑わせる。小学生の弟に、姉さんには意外な才能がありましたと手紙を書くのも。弟は学校でいじめられている。それに耐えている。そんな弟を、姉が時折り、気づかって手紙を書く。姉弟愛であると同時に、同じアウトサイダーへの励ましだろう。
まず働かなくてはと海辺の町へ行き、アパートを借り、海の家でアルバイトの仕事を見つける。このあたり自立精神に富んでいる。彼女が終始好ましいのは自立しているからだ。
海の家で、かき氷の使い方がうまいと店主に褒められるのが笑わせる。小学生の弟に、姉さんには意外な才能がありましたと手紙を書くのも。弟は学校でいじめられている。それに耐えている。そんな弟を、姉が時折り、気づかって手紙を書く。姉弟愛であると同時に、同じアウトサイダーへの励ましだろう。
蒼井優の困惑した顔
仕事はきちんとする。しかし、他人とは距離を取る。そうはいっても、若いし、きれいだから男たちが放っておかない。海の家では、客の、いかにも軽薄そうな男の子が声を掛けてくる。さかんに誘う。この時の蒼井優の困惑した顔が彼女の心をよくあらわしている。怒るのでも突き放すのでもない。ただ「困った」「放っておいて」という困惑の表情。以後、彼女は行く先々でこの表情を見せる。
うっとうしくなったので彼女は逃げるように海の家を出る。次に、山里の村に行き、農家で桃もぎのアルバイトをする。田舎暮しは気に入るが、都会から来た可愛い女の子は、年寄りの多い村では目立ってしまう。目立つことの嫌いな彼女にはそれが苦痛になる。村起しのために「桃娘」なるキャンペーン・ガールにさせられることになり、また困惑。逃げ出さざるを得ない。このエピソードでは、彼女になにかと親切にしようとする農家の一人息子(ピエール瀧)の存在が面白い。気はいいのだが、彼女から見ればやはりうっとうしい。
うっとうしくなったので彼女は逃げるように海の家を出る。次に、山里の村に行き、農家で桃もぎのアルバイトをする。田舎暮しは気に入るが、都会から来た可愛い女の子は、年寄りの多い村では目立ってしまう。目立つことの嫌いな彼女にはそれが苦痛になる。村起しのために「桃娘」なるキャンペーン・ガールにさせられることになり、また困惑。逃げ出さざるを得ない。このエピソードでは、彼女になにかと親切にしようとする農家の一人息子(ピエール瀧)の存在が面白い。気はいいのだが、彼女から見ればやはりうっとうしい。
恋愛というもっとも濃密な他者との関係
次に彼女がやってきたのは東京近郊の町。そこのスーパーか何かの花売り場で働く。同僚たちの飲み会に誘われる。にこやかにしているが本当は家に帰って一人になりたい。またしても困惑の表情になる。
それに気づいたのが、同じ売り場で働く、アルバイトの大学生(森山未來)。同類と思ったのか、何かと彼女に親切にしてくれる。彼女も次第に彼に惹かれてゆく。それまでケータイも持たず、他人と深く関わるまいとしていた彼女がはたして、恋愛というもっとも濃密な他者との関係をうまく築くことが出来るのか。
「あの最後のところ、聞えなかったんですけど」「気にしないで下さい」「気にします」。ぎこちない会話に微苦笑を誘われる。
彼女がアルバイト先に決して水商売を選ばないのも分る。生ぐさい「おんな」の部分も消したいのだから。
それに気づいたのが、同じ売り場で働く、アルバイトの大学生(森山未來)。同類と思ったのか、何かと彼女に親切にしてくれる。彼女も次第に彼に惹かれてゆく。それまでケータイも持たず、他人と深く関わるまいとしていた彼女がはたして、恋愛というもっとも濃密な他者との関係をうまく築くことが出来るのか。
「あの最後のところ、聞えなかったんですけど」「気にしないで下さい」「気にします」。ぎこちない会話に微苦笑を誘われる。
彼女がアルバイト先に決して水商売を選ばないのも分る。生ぐさい「おんな」の部分も消したいのだから。












































