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退屈で煮え切らない
時を越えた感傷ロマンス

ジョー・レイドン
2008/07/17

●原題:Closing the Ring/2007年/イギリス=カナダ=アメリカ/118分/2008年7月19日(土)より日本公開
●配給:松竹

(C)Scion Films Premier(Third)Limited Partnership/UK Film Council/Closing The Ring Limited/CTR Canada Limited
(C)Scion Films Premier(Third)Limited Partnership/UK Film Council/Closing The Ring Limited/CTR Canada Limited
 『きみに読む物語』の時間を越えたロマンスに心熱くなった観客の中になら、本作の10年の時を越えた感傷主義にも、同じように心を熱くしてくれる人が多少はいるかもしれない。ただ、発育不良のままの人生、忘れ去られてしまった秘密、そして報われない愛に関する、強引なほどにほろ苦く、それでいて不思議なことに少しも感情移入のできない、このドラマ。世界的な映画祭に少しだけ顔を出した後に、劇場公開がされたとしても、日の目を見ることなく消えていくことは、火を見るよりも明らかである。真正直に老人層を狙ったリチャード・アッテンボロー監督の、1999年の目立たなくても当然であった“Grey Owl”(日本未公開)以来久々の監督作品は、ホームビデオとケーブルTVに頼らなくてはならないというところだろう。

酒びたりの毎日を送る未亡人と、発見された指輪

 このぬるい、泡のような作品の舞台となるのは、1991年頃、ミシガン州の小さな町。未亡人となったばかりのエセル(めずらしく、悪趣味ともとれるほど不機嫌なシャーリー・マクレーン)は、亡くなった夫を埋葬するのだが、慰めようのない悲嘆に暮れている様子もない。エセルの娘マリー(ネーヴ・キャンベル)は、それまでの間も、ずっと夫に対し、よそよそしく冷たかった母親に怒り、彼女を責めるが、母親はそんな彼女の言葉を受けとる様子もなく、ただ酒びたりの毎日をおくる。

 ただ、そんな不機嫌な未亡人も、古い友人ジャック(クリストファー・プラマー)が葬儀に現れると、楽しげな様子ともとれる態度を見せ始める。

 同じ頃、北アイルランドでは、何かに取り付かれたような老人クィンラン(ピート・ポスルスウェイト)と、まだあどけなさの抜けない青年ジミー(マーティン・マッキャン)が、暇を見つけては、第2次世界大戦時にB-17爆撃機が墜落したとされる丘陵の斜面を熱心に掘り起こしていた。彼らの行動を、地元IRAの幹部たちは面白く思わない。その理由は彼らの組織が、その丘陵地帯に葬り去った犠牲者たちの死体を捨てていたからである。しかし穴掘り人たちは、その行動をやめず、神のご加護か、そこから文字の刻まれた指輪を見つけ出してしまう。その指輪とは、エセルが当時、彼女が人生でただひとり愛した人に捧げたものだった。

時代と大陸を行き来しながら1940年代の回想へ

 時代と大陸間をぎこちなく行き来しながら、本作は、40年代の回想に入っていく。そこで、若き日のエセル(ミーシャ・バートン)は、颯爽としたテディ(スティーヴン・アメル)と、彼が戦友ジャック(グレゴリー・スミス)やチャック(デイヴィッド・アルペイ)とともに米陸軍航空隊に送り込まれてしまう前に、極秘裏に結婚をする。

 彼の乗った飛行機がベルファーストのブラックマウンテンに激突する直前、テディはチャックに、もし彼が生きて戻れない場合は、エセルの面倒を見て欲しいと頼む。果たして、彼は愛のない結婚生活を送ることで、テディとの約束を守る。不幸なことに、エセルに対し恋の炎を燃やし続けるジャックは忌々しいほど誠実で、彼の本当の気持ちを打ち明けようとするそぶりも見せない。

非難や自分への哀れみが目立ち、憂鬱なムード

 その後のことは、脚本家ピーター・ウッドワードが、うまくまとめているのだが、とにかく、そこに行きつくまでが長く、つらい。その上、その道すがらの時間の多くが、怒りにまかせた非難や酒びたりの自分への哀れみに費やされてしまっている(プラマー演じるところの酒におぼれるシーンはやりすぎで、残念なことに腹を抱えて笑えてしまうほどだ)。全体的に大げさで憂鬱なムードが氷解するのはほんの少し、ブレンダ・フリッカーの登場シーンだけで、戦時下のがさつな生活を臆面もなく思い出す、元気のいい祖母の役を演じ面目躍如たるところを見せている。

 製作面では、本作が必要とする時代物の雰囲気を、監督のために作り出していることで十分な役割を果たしている。しかし、なんと言っても問題なのは、作品自体が少しでも意味のある感情的なぶつかり合いを持つには、あまりに退屈で、煮え切らないものになってしまっているということだろう。

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